71・沸騰する頭と紫の光
頭が沸騰する。
電撃の威力からだけじゃない。
ゼフィーに琥珀が流し込まれるのを見た瞬間、脳裏にスパルネが浮かんだ。
火竜公主に変えられてしまったスパルネの姿が――
「アアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ほとんど反射だった。
体内に走る電撃を【死】で殺す。
単なる電撃ではなく、精霊の体の一部と見做し、殺す!
「エエッ!?」
電撃を伝わり、【死】が雷の精霊に広がっていく。
自然を司るとか関係ない。
そんなことはもう考えていなかった。
知ったことか。
「キャアアアア!! ヤダヤダ!!!」
雷の精霊は絶叫し、黒が広がる体を無理やり引きちぎった。
その分小さくなって、ぬいぐるみサイズからゲーセンのプライズのフィギュアサイズになる精霊。
だが、そんなのはどうでもいい。
「サンデラ……!」
「うるせえ」
精霊を無視し【死】を両手に纏わせてアルガスの方に突っ込む。
「【珀槍】!」
掌から琥珀の槍を伸ばして突き出すアルガス。
だが、鈍い。
対人兵器が進歩しなかったこの世界で、槍術はまともに存在しない。
かい潜りながら、ついでに槍にタッチして殺す。
「くっ!?」
次から次に槍を繰り出して来るが、なんだ、警戒するほどのこともなかった。
遅い。
作って、伸ばす。
作って、飛ばす。
なら、作っている間に殺せばいい。
間に合わず、いくつか体を抉ってきたが、問題ない。
この程度の痛み、我慢すればいいだけだ。
「あ」
「終わりだ」
アルガスの懐に飛び込み、【死】を纏わせた手を突き出す。
当たる直前、胸に琥珀を集めて盾にしてきたが無駄だ。
それごと殺すべく、腕を突き入れた。
が、その瞬間、アルガスは微笑んだ。
「ありがとう」
「何?」
【死】は間違いなく広がっている。
だが、アルガスの笑みは間違いなく勝利のもの。
では一体、何に勝利を感じて――
「あっ!?」
胸の琥珀が崩れ落ちていく中から、【精霊琥珀】が現れた!
いつの間に仕込んでいた!?
【死】は【精霊琥珀】に広がっていく。
「その【死】で、彼女の【呪い】も死ぬ」
しまった、そう感じた瞬間、【精霊琥珀】が砕け、中から紫色の光がほとばしった――




