66・精霊の声を聞ける者たち
おかしい。
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしい!!
なぜ、精霊が奴についている!?
だが、琥珀のスキルを発動せずにいきなり雷が来た!
間違いなくあの精霊が奴の味方をしたんだ!
でも、理屈が合わない!
だって、アイツは【精霊琥珀】の中の精霊を求めていて――
「ガングレーナさん! 起きて下さいまし!!」
「!」
そうだ!!
今はそれより、ガングレーナを助けなければ!!
自分も雷で心停止したからわかる。
落雷のショックで心臓が止まっているだけなら、すぐに処置をすれば助かる!!
「……いらんっ!!」
ガングレーナが跳ね起きた!
いや、背中から風を巻き起こして無理やりに自分の体を引き起こしたんだ!
「ちぃーと今のは危なかったわ……」
ガングレーナの胸で小さな台風が渦巻いていた。
そこには、まだいくらかの電気が残り、ぱちぱちと爆ぜている。
「光が見えた瞬間に、心臓だけは守らなアカンと思うてな」
どうやら、【風】と基礎スキルの【水召喚】を組み合わせ、雲を作り出したようだ。
そして、風で雨を散らし、そこに雷を乗せて放電させたのだ。
パコニカのように直接【雲】が呼び出せるわけではないのに、一瞬でこれが出来るのが凄まじい。
「さぁ、仕切り直しや」
ガングレーナは試験管を口にくわえ、再び両手に風を纏う。
「……無駄だよ。君では私たちに勝てない……人が精霊に勝とうなんて驕りが過ぎる話だ……」
「ウフフ……」
雷の精霊は、親しげにアルガスの周りを飛び回る。
「何でだ! 何で雷の精霊がお前に味方をする!!」
「……私は何もしていない……ただ、聞こえるだけだ……彼女たちの声が……」
「……たち?」
「……言ったって無駄さ……どうせ君たちには聞こえないんだ……悲痛な精霊の声なんて……」
「俺たちだって聞いたことはある。風の精霊だったけどな」
「……なんだって?」
初めてアルガスが関心らしい関心を見せてきた。
外れ大迷宮の砂漠で、風の精霊は「【Eスキル】を成長させよ……」と伝えてきた。
それと、外れ大神殿で聞こえた「神に見捨てられた地を、この力で救うのだ……」と言ってきた声の主……おそらくは時空の精霊も。
「ええ。私たちは、【神の嫌がらせ】を踏破し、精霊さまたちの意を受けて旅をしているのですわ!」
胸を張るジゼロジゼロ。
「……そうか。君たちは、精霊の声が聞こえるのか……」
「!?」
瞬間、空気が凍りついたように感じた。
それが、アルガスから放たれる殺気だと気づいた時、アルガスが吠えた。
「彼女の声が聞こえていながら……無視していたのかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」




