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6・外れ大迷宮1F

 何もかも上手く行かない。

 外れスキルはもらえないし。

 パーティーは追放してくれないし。

 一般人もスキルが使えるから無双もできないし。


「……だが、それもここまでだ」


 俺の正面にあるのは、山肌にツタが生い茂り、まるで髭面の巨人の口ように開いている穴。

 外れ大迷宮【神の嫌がらせ】。


「たいまつはいらないらしいが……」


 外から覗く限り、暗がりであり、中の様子は見えない。

 迷宮と言えば、ミノタウロスのラビリントスの話が有名だが、迷宮とは本来一本道であるという。

 一本道じゃないなら生贄入れられてもミノタウロスは餓死してしまうだろう。

 が、セカンダールでは、ダンジョンという概念が一番近い。

 外れ大迷宮に限らず、ダンジョンはあちこちにあり、鍛錬のためにいくつか踏破した経験はある。


「とにかく、入ってみるか……」


 昭和の過程によくあった謎の玉すだれのように垂れ下がるツタをくぐり、大迷宮に侵入する。


「なるほど……」


 奥の方が明るい。

 人の気配もないが燃え続けるたいまつが並び、岩壁を直接削り出して作られた神殿らしき構造物が見える。

 本来の入り口はあそこか。

 手入れがされていれば、入り口は自然光で照らされるので、そこには照明がなかったのだろう。

 逆に言えば、手入れが放棄されるほど、魅力のない場所なのだ。


「外れスキルがもらえるというのは本当らしい……」


 こんなことに意味があるのか、ダンジョン自体が問うているようでもある。

 だが、前世では無難に無難に生きてきた。

 その挙句、何も得られずに死んだ。

 だから、第二の人生は、その逆を行く。

 無駄に命を懸ける。


「……あれ?」


 神殿の入り口で気づいた。

 足跡がある。

 だいぶ小さいが、靴の跡だから、ゴブリンの類ではない。

 近隣の子どもだろうか。

 しかし、一種類で、一人で来るとも思えない場所だが……。


「おーい」


 やはり薄暗く見えない奥に向かい、試しに声をかけたが反応はない。

 確かめるには入るしかない。


 まぁどちらにせよだ、と足を踏み入れると、急に視界が明るくなった。

 見えてきたのは――


「は?」


 そこに広がっていたのは、どこまでも続く砂漠だった。

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