46・サバイバルゲーム
様々な遮蔽物が用意されたスクエア。
樹脂ではなく大理石で作り出されたそこは、明らかにサバゲー場だった。
滑り台のような遊具や、簡易的なトーチカのようなものもある。
俺たちがいるのは、正面に遮蔽物がある、いわばスタート地点と言える場所だった。
かがめば塹壕のように使えるだろう。
「サバイバルゲームしろってことかな……」
「それはなんですの?」
「基本的には敵味方に分かれて撃ち合って生き残るのを目指す試合って感じかな」
「その通りでございます。相手はあちらに」
バトラーの言葉に合わせて、光の環が床から上がる。
まさにゲームのスポーンのように、重装備の特殊部隊らしき一群が出現した。
その数8人。
各人の手にあるのは――
「な、なんですのあの人たち!?」
「アサルトライフル!?」
俺と他のメンツでは驚いていることが違った。
だが、あれは看過できない。
サバゲーだからエアガンならわかる。
手にあるアサルトライフルは、樹脂ではなく、明らかに金属製だ。
もちろん、現代のアサルトライフルは樹脂製だ。
だから、本来は銃口でも見なければエアガンと見分けがつかないはずなのだが、第一次世界大戦の機関銃のようなアサルトライフルなのだ。
「あくまで再現で、貴方様が思い描いているものとは違います」
「なるほど……」
この世界には火薬もプラスチックもない。
だから鉄で見た目だけ再現されているということか。
「しかし、危険度は近しいとお考え下さい。具体的には【雷】のスキルを高速で撃ち出します」
「マジか……」
「即死はしないだけマシですが、何発も当たれば命はないでしょうね」
まずい。
最悪だ
「どうしたんですの? 顔が真っ青でしてよ?」
「あまりに、相性が悪すぎる……」
【万気】吸収効率のため、軽装が基本のこの世界で、重装備でなければ防げない銃弾というのは最悪の相性だ。
弓なんかで銃の速射性には勝てない。
どうする?
雷の速射とやらは、岩で防げるのか?
アサルトライフルだと下手したら貫通するが、どのくらい近い威力なのだ?
例えば、上からはどうだ?
それなりに天井も高いし、雲で制空権を取るという手もあるが……
「考え込んでおるところ悪いが、今回わしは参加せぬぞ」
「え?」
「どうしてですの?」
「簡単じゃ。年齢的にわしのスキルはもう成長せぬ。参加する意味もないし、おぬしらの成長を阻害するだけであろう」
確かに、スキルの成長はやがて止まる。
無限に成長するのならみんな国宝級になれるだろうが、そんなことはないのだ。
見た目こそ若いが、高齢者と言える年齢のパコニカは、スキル成長などしないのだろう。
「しょぼーんですわ……」
「でも、筋は通ってる……」
そうなると、更に状況は厳しくなる。
自陣から一歩も動けないんじゃないか。
どうする。どうする……!
「それでは始めましょう。全滅させた方の勝ちでございます。あ、パコニカさんは白線の外側まで下がってくださいね」
「ちょっ、ちょっと待っ――」
「ダメです♡ スタート!」
ピーッとどこからともなくホイッスルが鳴り響く。
その瞬間、敵兵が一気に動き始めた。
「さぁ、行きますわよー!!」
「待て! 伏せろ!!!」
飛び出そうとするジゼロジゼロ。
言葉を選ぶ余裕すらなく警告を発するが、ジゼロジゼロは聞いていない。
ハチの巣にされてしまう!
が、ジゼロジゼロは周囲の大理石の遮蔽物を岩石操作した。
あっという間に、岩石は鎧となってジゼロジゼロを包む。
目や口など、上手いこと兜のようにスリットを用意してあるのは、砂漠でのゴーレム作成の時の試行錯誤のおかげだろう。
「じゃーん! わたくしゴーレムですわ!」
「!」
大理石に包まれたジゼロジゼロ。
そこに雷弾が次々撃ち込まれるが、揺らぐ程度。
凄い……!
これは一方的に勝てるのでは……?
「よぉし、反撃ですわよ……あら」
ジゼロジゼロの動きが止まる。
「どうしたの!?」
「岩が重たくて動けませんわ」
「いや、ゴーレム操作で動かせるんじゃ?」
「外から見てないと、動きをイメージできないのですわ。これどこをどういう順番で動かせばいいのでしょう?」
「あっ」
「足をいちにいちにって動かすことくらいは出来ますけど……たぶん、追いつけませんわ」
そういうことか……!
ゴーレムはラジコン操作のようなもの。
見てなくても歩くくらいは出来る。
だが、体に纏わせた岩を、連動的に動かすのは処理が違いすぎる。
そして、大理石は腕力でどうこう出来る重さじゃない。
つまり、ジゼロジゼロはもう動けない。
「……命の心配がいらないだけマシか……」
自力でなんとかするしかない。
弓はあるが、そんなので狙いをつけていたらハチの巣だ。
遠距離戦で勝ち目はない。
遮蔽物を使って接近するしかない。
覚悟を決めて進んで行く。
と、すぐに敵の一群の姿が遮蔽物の影から見えた。
「っ!」
銃撃される前に、進行方向に生成したバナナの皮を投げる。
【バナナ生成】は皮だけ生み出すことも出来るのだ。
そして別方向に逃げ、遮蔽物に隠れる。
流石にひっかかりはしないだろうが時間は稼げるだろう。
背後でも取らない限り勝ち目はない。
だが、遮蔽物が足りていない。
今見えたのは二人だけだった。
敵は明らかに部隊を分けている。
2か3か。
いずれにせよ、すぐに囲まれてしまうだろう。
「くっそ……どうする」
バナナしか生成できないんじゃ、打てる手が……。
……待てよ?
バナナ生成って果実だけだと思い込んでいたけど、それだけじゃないのでは……?
試してみる価値はある。
と、敵の別の部隊が進行方向から現れた。
「!」
銃を構える敵二人。
ええい、ままよ!
「生成!!」
地面に手をつき、【バナナ生成】を発動する。
すると、瞬間的にバナナの木が生えてきた。
「出来た!」
銃撃が降り注ぐが、バナナの木が弾け飛ぶ前に次のバナナの木を生成する。
あっという間にバナナの木が次々と生えていく。
サバゲー場はバナナ農園になった。




