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45・ネタバレの化身

「はぁ!?」

「おぬしがバトラーを生み出したじゃと!?」

「ということはバトラーってバナナですの!?」


 頼む。ジゼロジゼロは黙っていてくれ。


「全く心当たりがない。何を言っているかわからない」

「それも当然。()()()()()()()()()()()()()()


 バトラーは慇懃無礼なまでに笑顔で言う。


「だから、意味がわからない」

「貴方様の存在によって()()()()()のです。貴方が神殿で【Eスキル】を授かった時、地下が生成されたのですよ」

「!」


 自動生成……!?

 それじゃまるで――


「ここはゲームの中ではありませんよ」

「!?」

「心は読めません。しかし、貴方様の知識を基に生成された世界ですからね。同じ知識はあるのです。ああ、ご心配なく。貴方様にどんな秘密があろうと私が漏らすことはありませんから」


 こいつ……。

 俺の中から生成されただけあって、腹黒いことこの上ない。

 ゲームの中という概念は、他の二人にはどうせ理解できないだろうと踏んでか。

 いい性格してるな……。


「とにかく、ここは貴方から雑多に要素を抜き出して生み出されたために、モザイク状になっているのですよ」

「でも、不思議ですわ。なぜそんなことをする必要があるんですの?」

「それは言えません。しかし、ジーロ様は凡そ予想がついているのではないですか?」

「あ、ああ。うん」

「そうなんですの? 聞いちゃダメなやつですの?」

「ええと、よきタイミングで話すよ」

 

 異界因子とやらをこの世界の因子と掛け合わせて、新たなスキルを生み出すためなんだろう。

 だから、俺の前世の記憶が必要だったのだろう。

 当然、そこを説明すると前世の話をしなければならなくなる。

 ……いや、ここまで情報が集まればパコニカあたりはもう読めているんじゃないかという気がするが。


「だけど、上の階でも進化は起きてたけどな……」


 【大地母神】や【不死鳥】のように。


「ええ。この大迷宮自体、異界の影響がありますから、そういうこともあるでしょう。しかし【Eスキル】は別です。これもジーロ様にはわかるのでは?」

「……」


 そういうことか。

 【Eスキル】は、そもそもが異世界のスキルだ。

 異界因子とやらの影響を受けようがない。

 だから、特別な進化方法が必要になるんだろう。


「それではそろそろ修羅場に向かいましょうか」

「待て。過去にスキルを授かった者が生み出した世界もあるはずじゃ。ここ以外にエレベーターが繋がるのか?」

「過去に授かった人間などいないと思いますよ」

「は? 何を言っておる」

「そうですわ。大迷宮をクリアした人がいるから伝説があったわけですし……」


 外れスキルの伝説は、通常のスキル神殿の大神官さまに教えてもらったものだ。

 あんな立場がある人が嘘をつくとも思えない。

 それにパコニカも別のところで話を聞いていたようだし。

 ……。

 だとすれば。

 それでもバトラーの言うことが真実だとするならば。


「ジーロ様がクリアした際に、()()()()()()伝説が生成されたのではないでしょうか」


 とんでもないことを、けろりと言いやがる。


「過去改変……じゃと?」

「みなさまだって1秒前に生まれたかもしれないのです。世界も記憶もの条件が揃っていきなり生まれたかもしれないでしょう。私と同じように」

「そのような思考実験の話をしておるのではない」

「実際のところ私もわかりません。しかし、精霊の中には【()()】の精霊もおりますから、出来なくはないでしょう」

「!!!???」


 初耳の情報が次々溢れ出して来る。

 コイツ、ネタバレの化身か!?


「【時空】の精霊なんて聞いたことないですわ!?」

「いや、納得できる。こんな場所を作れるんだから」

「じゃな。上の階は土や水の精霊が作っていた。ここはどう考えても既知の精霊によるものではあり得ぬ」


 とすれば、俺を転生させたのも【時空】の精霊だったのだろう。

 あるいは、スキルを授与する際に聞こえてきた声の主こそが……。


「そんなことより、お急ぎなのではないのですか? いい加減、修業を開始した方が良いと思うのですが……」


 正しいが、ヤな言い方する奴だ……。

 やはり、俺から生まれたというのは正しそうだ。


「バトラーの言う通りですわ。早く力を得てスパルネさんを助けなくては!」


 異論などあるはずがない。

 頷き、修業場とやらに向かうことになった。

 それは、例の「死の島」にあった。

 岩で出来た小島の中央に複数の針葉樹がそびえ立ち、岩壁をくりぬいたかのような建物がそれを取り囲んでいる。

 壁に空いた長方形の穴から建物に入ると――


「……()()()()()?」


 外から見たサイズよりずいぶん広い、室内サバゲー場が広がっていた。

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