3・自主追放
「パーティー抜けるとか許されないんだけど」
参ったな……。
外れスキルを貰えさえすれば、自動で追放されると思っていたから、引き留められるとは思ってなかった。
……冷静に考えると、我ながらすごく嫌な奴だな……。
辞める気で会社入る奴というか。
だからこそ、前途ある若者たちとは一緒に居ない方がいい。
「悪いが俺は何のスキルもない。だから一緒に旅は出来ない」
厳密には、この世界の人間なら誰もが使える水の【基礎スキル】だけはあるのだが、それは含めないのが、セカンダールでは常識だ。
ちなみに、ステータスを映し出す【水鏡】も基礎スキルである。
「スキルを授かればいいだけでしょ」
「欲しいのがない」
「はぁ?」
「だから、追放してくれ」
スパルネが、深くため息をつく。
「ほんんんんっと、びっくりハテナ! 幼馴染じゃなかったらとっくに見放してるわ」
スパルネの指先に炎が宿る。
炎は妖精の形になり、スパルネの周りをくるくる回る。
「あなたがどんなスキルだろうと、私がフォローしてあげるから安心して。私のスキル【火精召喚】でね」
神殿で【火精召喚】を授かっていたのか。
これは、火の系統のスキルで、妖精だけじゃなく、竜や鳥など、さまざまな形の炎を、使役できる形で生み出す能力で、非常に汎用性が高いレアスキル。
前評判に違わない才能だ。
「なるほど、いいスキルを引いたみたいだな」
「でしょでしょ。だからあなたが心配することなんかないの」
うーむ、いい子だなあ……。
だから、胸が痛む。
が、心を鬼にしなくてはならない。
「長い付き合いだから、お前にだけは言うよ」
「え!?」
なぜそこで顔を赤くする。
……いや、さんざんラノベを読んできたから、どういうことかは流石にわかる。
だが、勘違いすぎる。
というか、都合のいい単語だけピックアップしすぎている……。
「俺は、外れスキルをもらうのが夢なんだ」
「え? は?」
「だから、ここでお別れだ。俺は外れスキルを探しに行く」
「待って待って待って!! 意味がわからないんだけど!? ハテナってレベルじゃないんですけど!?」
全員が車の免許を持っている世界で、徒歩で生きると言っているようなものだ。
スパルネが混乱するのも無理はない。
「そんなことしてどうするの!?」
「結論だけ言うが、世界的英雄になってちやほやされるためだ」
「英雄なんて【防険者】になってからじゃん! スキル無しで【防険者】になれないんだから矛盾してるじゃんか!」
まぁ、それはそうなんだけど。
【防険者】はこの世界における英雄への正道。
【防険者】は冒険者とは異なり、読んで字のごとく危険な魔物を防ぐための存在である。
優秀な【防険者】は尊敬され、英雄詩される。
例えるなら地球でのメダリストと軍人の間くらいの存在だ。
国から正式に許諾を受ける必要があり、その際にスキルの名簿登録が必須なので、スキルが無ければなれないのは間違いない。
「どっちにしろ、外れスキルを授かったらなれないんだから、一緒だよ」
なれないか、追放されるかの差でしかない。
「だから、ソルダたちには自主的にパーティーを追放されたと言っておいてくれ」
「自主的に追放ってなに!?」




