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101・最強のジョーカー

 炎天君の半身が吹き飛んでいる。

 ちょうど背中から腹にかけて、丸く消滅していた。

 抉られた部分は焼け焦げ、煙を放っていた。


「嘘……だろ……こんな……」


 ドラゴンの表情なのに、信じられないというのがはっきり伝わってくる。

 まさか己の体を破壊されると思っていなかったのだろう。

 マグマを吐く怪物など、ミサイルでも倒せるかどうか。


「なん……で……」


 赤竜は崩れ落ちた。


「……炎天君!?

 まさか……まさか!!」


 水宮君は視線を動かし、事態を即座に理解したらしい。

 炎天君の惨状に、ただでさえ青い顔を蒼白にする。


「……なんという奴だ……!!」


 初めて、その表情に畏怖に似た色が浮かんだ。


「悪魔か貴様……」


 悪魔。

 魔物も存在するこの世界においても、実在はしないとされるもの。

 子どもをしつけるために使われることも多い、悪の象徴。


「ドラゴンから言われるのは光栄だな」


 うそぶく。

 こんなもの、駆け引きのためのブラフだ。

 まだこれくらいの手札はいくらでもあるぞと思わせるための……。


「よもや、()()()()()()()()()()()()()()()()!!!!」


 そう。

 炎天君の半身を消し飛ばしたのは、白竜帝の攻撃だ。


「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 白竜帝の慟哭が響く。

 自分がしでかしたことの大きさに、激しく打ちのめされている。


「余が……余が……

 嘘だあああああああああああああああああああああああ!!!!!」


 強力なドラゴンの雷撃には、()()()()()()()()()


 白骨公主との戦いで気づいたことだ。

 それは、あまりにエネルギーが大きすぎること。

 そのため、二つの大きなリスクが存在する。


 まず、味方に対しても危険すぎる威力であること。


 もう一つは、()()()()()()()()()()()()()()()()


 敵だけではなく、自身も何も見えないほどの光のはずだ。

 生来の生態なら目やまぶたが適応したり、その間の感知器官も鋭敏になったりするかもしれない。

 だが、雷の精霊から渡されたものである以上、後付けの能力のはず。

 おそらく、目はつむる。

 ゆえに――


「よくも……やってくれたな……!!」 

「悪いが、これが弱者の戦い方だ」


 必殺の雷撃のタイミングで、俺は()()()()()()()()()()()()()()()


 それこそが、俺が用意していた最強の手札だった。


 ただ、()()()()()()()()()()()()()

 敵が最強であるがゆえに、それが最強のジョーカーとなり得る。

 ちょうど炎天君と水宮君が重なる位置を狙ったが、当たったのは炎天君だけだった。

 巨大キメラの全身が消し飛んだのはおそらく存在が不安定だったのもあるだろう。

 それを差し引いても、マグマを吐く炎天君の外殻ですら吹き飛ばされてしまった。

 おそらく命中箇所がプラズマ化してしまう温度のため、防御それ自体が不可能なのだろう。

 だがそれも、もうおいそれと使うことは出来ない。


「炎天君の言う通りであった!! 貴様は、肉弾戦で引き裂くべきだったのだ!!!

 余が……余がこの期に及んで格を見せようとしなければ……

 こんな……こんなことにはならなかった!!

 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 自省はしても、自制は出来ていない。

 怒りのままに突撃してくる白竜帝。


「言ったろ。……()()()()()()()()()()()()()()()

「なにっ!?」


 直後、白竜帝の巨体が、()()()()()()()()()()()()()()――

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