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俺は男だ? ~三十路オトコ性自認を探し求める~  作者: モーニングあんこ


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32/36

31話 ファミレス ☆

エロ度★

お父様度★★★★★

  園長「レン先生乗っていきますか?駅まででも」


  レン「ありがとうございます。買い物もありますので歩いて帰ります」


  園長「そうですか。ではお気をつけて」


 園長からの誘いを断り徒歩で駅へ向かう。

 しばらく歩いていると


  ?男「レンさん」


 振り向き目を細める。


  お父様「こんばんは。レンさん。私のこと避けてませんか?」


 挨拶もほどほどに、本題に入るほど切羽せっぱ詰まっている様子。


  レン「こんばんは。どうかされたんですか?」


  お父様「どうというか。レンさん。私を避けてるように感じるんです。というか、避けてますよね。どうしてですか。私何かしましたか?」


  レン「ここではなんですので、明日お迎えに来られた時にでも園長先生を交えてお話しませんか?ボクは買い物をまだしてないので急ぎますので」


 レンの腕を掴む。


  レン「痛い!やめてください。明日。明日のお迎えの時にと」


  お父様「レンさん。なぜ私を避けるのですか。理由を言うまではなしません」


  レン「警察呼びますよ」


 キリっとした目で言う。おそらく保護者は見たことない目だ。


  お父様「別に呼んでもいいですよ。ただの男性同士のいさかいくらいにしか思わないでしょう。注意くらいで終わりますよ」


 バッグからスマホを取り出し電話。


  レン「宏一さん?迎えに来てもらえますか?」


 誰か分からない男の名前を呼ぶ。腕をつかむ手にじんわりと汗。


  レン「今人を呼びました。すぐに来ますよ。離すなら今のうちですよ」


 困惑しながらも緊張してるのか掴む手が離れない。


  レン「さすがに痛いです。逃げませんから腕を離してもらえませんか?」


 掴む手が少し開いたところで腕を振りほどく。


  お父様「あ。」


  レン「ボクは逃げも隠れもしません。もう少しすると人が来ます。来ましたらそこのファミレスに入りましょう」


 逃げないことを約束する。もう腕をつかむ必要がなくなった。レンは対面にいるため触ることもできない。もどかしくも無言が続く。


  宏一「レーン。悪りぃ。待たせたな。どうし」


  レン「宏一さん!」


 宏一に飛びつく。


  宏一「レン。どうした?珍しいな」


  レン「待ってたんだよ」


  宏一「そっか。じゃあ帰ろうか」


  レン「待って。そこに、男性がいるの。で、そこのファミレスに3人で入りたいんだ。ちょっと付き合ってもらえる?」


 理由はわからないが、暗闇の中で男性がひとり立ちすくむことに今気が付くほど、気配を感じないことに何かあったのかとようやく気づく。

 レン主導でファミレスに入る。窓側の席に男3人が座る。


  レン「とりあえず、飲み物取ってくるね。ドリンクバーでいいよね」


 レンが席を離れると宏一とお父様のふたりきり。


  宏一「あの。なにかありましたか?」


 声低くボソっと話す。


  お父様「いえ。というか、あなたはレンさんとどういうご関係ですか?」


  宏一「それは、本人が戻ってからレンの口から伝えるでしょう」


 再び沈黙。

 レンはトレイにコーヒーを3つ載せて席へ戻る。


  宏一「レン。こちらの方が、俺とレンの関係を聞いているが。レンから伝えてもらえるかな」


  レン「わかった。お父様。ボクの横にいるのはボクの彼です。今お付き合いしているんですよ。それと一緒に住んでいます」


 胸を張り鼻息が荒め。


  お父様「そんな。そんな話聞いてません!」


  レン「そりゃね。保護者の方々には話してませんもん」


  お父様「これは問題ですよ!園長先生に言わねば!規律が乱れる!!」


  レン「あの。園長先生もほかの先生たちも存じ上げてます。保護者の方々には特に伝える必要もないと思ってますので、こちら側から伝えることはしませんでした」


  お父様「え?知ってる?」


 うんうんと頷き落ち着くのを待つ。


  お父様「いやいや。おかしい!なんなんだ!男同士で同棲?なんだそれは!!」


  宏一「レン。ちょっといいか?」


 目を見合わせ頷く。


  宏一「あの。何か問題でもあるんですか?男性同士の恋人になにか問題があるのですか?今の時代、特に問題があるように思えないのですが」


  お父様「ですが!子供たちが知ったらどう思うでしょうか!情操じょうそう教育が乱れてしまいます!!ああ。なんてことだ。そんな大事なことをなぜ保護者に伝えないのでしょう。やましい気持でもあるんじゃないんですか!?」


  宏一「男性カップルで情操教育が乱れるというのはどういうことですか?それに、私は以前、園長先生にお会いしましたが付き合うことにたいそう喜んでいただきました。園の方針としては問題ないということだと私は理解しております」


  お父様「なにもかも隠していたのか。そうですか。次の保育所が見つかり次第転園(てんえん)させます。こんないかがわしい所に大事な息子を預けられません!」


  レン「そうですか。残念です。息子さんだいぶ慣れてきたところだっただけに。お父様申し訳ありませんでした。早く次の保育が見つかるといいですね」


 待機児童という社会問題があり、次を見つけるのは苦労すること間違いなし。


  宏一「ところで、少し話が変わるんだけど、レンはなんで俺を呼んだの?」


  レン「うん」


 掴まれていた腕を見せる。


  宏一「なんだこれ。真っ赤になってるじゃないか」


  レン「怖かった。宏一さんが来てくれなかったらボクどうなってたか」


  宏一「もう大丈夫。な?」


 腕に絡みつく。頭をぽんぽんと撫でる。


  宏一「説明してもらえますか?」


 水を一気飲みして


  お父様「レンさんに話しかけようとして逃げようとしたのでつい」


  宏一「逃げられるようなことをこれまでしてたんじゃないんですか?」


  お父様「それは。わかりかねます」


  宏一「逃げようとして、つい、腕をつかむものなのですか?」


  お父様「ですが」


  宏一「レンを待ち伏せていたということですよね。待ち伏せるほどの話なのですか?」


  お父様「ええ。話がしたかったので。それで逃げようとするので」


  宏一「園の中で取り次いでもらって話をしたらよかったのでは?」


  お父様「忙しそうにされてたので」


  宏一「待ち伏せされて逃げようとするのは普通じゃないですか?誰かすぐにはわからないでしょうし。それなのに、腕をつかむのですよ。恐怖だと思いませんか?」


  お父様「おお。大げさな。男ならそれくらいで」


  宏一「暗闇から出てきて襲われると思うのはふつうのことですし、逃げようとするのは当たり前の行動です。男女関係なく危険だと思えば逃げますよ」


  お父様「ちょっと待ってください。いきなり掴んだんじゃないんですよ。挨拶して顔が分かってますし!ただ最近私を避けるのでそのことを言ったら立ち去ろうとした。だから腕を咄嗟に掴んでしまった。それだけなんですよ。なんですか!私がまるで暴漢かのように!あなたこそ何もわかってない!分からないなら黙っててください!私とレンさんの話なんです!」


 テーブルを叩く音に、ほかの客もこちらを見る。


  店員「お客様。お静かにお願いします。あまり酷いようですと退店たいてんとなりますが」


 関係のないレンが店員に謝る。

 依然いぜん、鼻息荒く腕組みをしてのけ反る。


  宏一「なにをイライラしてるんです?なにか思い当たるふしでもあるんじゃないのでは?でなければもう少し冷静に話し合いができると思うんです。なにもなければ、冷静になりましょ」


  お父様「ふん。いいでしょう。冷静にですね。あなたも冷静にお願いしますよ!!」


  宏一「わかりました。冷静にいきましょう」


  宏一「レン。悪いけどハーブティーを俺と彼に」


  レン「わかった」


 ハーブの香りは心を穏やかにする効果がある。それをあんに伝える。


  お父様「さすが、々しい飲み物を気に入るわけだ」


  宏一「うーん。まぁ今はそれでいいでしょう。そこでやりあうなんて時間の無駄ですからね。では、本題に入りましょう」


 レンが運んでくれたハーブティーをすすり頷く。

 レンと目を合わせ軽く微笑む。


  宏一「なぜ避けられるようなことがあったんですか?」


  お父様「ちょっとよくわからないんですよ」


  宏一「じゃあ本人に聞いてみましょう。レン。なんで避けてたの?」


  レン「実はね。ボディタッチがだんだんとエスカレートしてるように感じたんだ。最近じゃ、お尻を叩くというか。あっ。でも。ポンとね」


 お父様のハーブティーがみるみる減っていく。


  宏一「それは、どういうことで?」


  お父様「ただのスキンシップですよ。お尻をポンと叩くくらい誰でもするじゃないですか」


  宏一「そうですね。ある程度ちかしい関係になれば」


  お父様「でしょ。それくらいのことで避けられるなんて自意識過剰じいしきかじょうなんじゃ」


  宏一「少し黙ってください。自意識過剰かどうかはさておき、園の職員と保護者の関係は契約で成り立つものであり、関係性が密になるのはあくまでも通う子供たちであり、保護者との関係性は密になることはまずあり得ません。そこで近づくようなことがあれば、ほかの保護者たちとの間に疑惑がついてまわります。『あの先生は、誰々さんと仲が良くてなにかあるんじゃないのか』とか、『うちの子が不利になるんじゃ』などと疑いをもたれてしまう。なので、他の先生方を見てもわかるように、一線を引いているんですよ。見えませんか?」


 保育だけでなく学校でも同じ。一線を引くことで近しい関係にならないように細心さいしんの注意を払う。


  宏一「いいですか。待ち伏せも腕をつかむ行為もろもろ裁判で訴えればあなたが負ける可能性が高いでしょう。暴行罪に問われるでしょうから」


  お父様「なんですか。脅しですか。別に近しい関係だと思ってませんし、なろうと思ってません。ただ、人生の先輩として応援してるだけのことです。お尻をポンと叩いたのは嫌なことでしたか。わかりました。今後お尻は触りません。ですから、挨拶位させてください」


  宏一「本当にそれだけですか?先ほどの情操教育がのくだりで、ずいぶんとイレ込んでましたが本当にそれだけの理由なのですか?」


 空のティーカップを持ち口に運ぶ。


  宏一「レン。おかわりお願いしてもいいかな」


  レン「わかった。砂糖入れるよ」


 砂糖を入れるというのは、話疲れて脳に糖分が行き渡ってないと思ったからだろう。


  お父様「私はそのままの味を好むんですがね」


  宏一「まぁまぁ、まだ話は続きますから」


 ほほ笑む


  お父様「ええ。あの保育所では息子の情操教育に悪いと思った。これは真実です」


  レン「あの。情操教育という意味をご存じですか?情操教育とは、体験を通じて知的好奇心ちてきこうきしんはぐくむことなんです。男性カップルが子供に知れ渡ったことで、どのような悪影響があると思いますか?男女のカップルや結婚とどう違うのでしょう」


  お父様「なんですか。ふたりがかりで」


  レン「話をそらさないでください」


  お父様「異常じゃないですか。男同士のカップルなんて。それを知った息子の性癖せいへきゆがんだらどうしてくれるんです」


  レン「男女の恋や結婚ならば性癖が歪まないとでも?」


  お父様「可能性の問題です。異常者が混じってるだけで充分可能性は高まるでしょ」


  レン「そうなんですか?最も園のほうから知らせることはしませんし今もまだ他の保護者さんには知れていません。ボクがゲイだということは知れてません。その状態で、どうしたら歪むのでしょう。お父様は今知ったから異常だとか情操教育に影響がと言われてるのです。園からなんの情報もなく、園からボクの指導に問題があると注意されたこともありません。それでも歪むものなんですか?」


  お父様「ですが。もし知れたら。他の保護者だって黙ってられませんよ」


  レン「そこは、園から知れ渡るようなことはしません。そうですね。誰かさんが拡散させるようなことがあれば知れ渡るのも時間の問題でしょうね」


  お父様「俺か?失礼な!」


  宏一「レンはそのようなことは言ってません。誰かさんです。落ち着きましょ」


  レン「ですから、情操教育に影響はゼロということはありませんが、特に無いものだと思いますよ。これでも納得できませんか?」


  お父様「私は納得できかねます」


  宏一「では、話を変えましょう。レンを待ち伏せて逃げられそうになって腕をつかむという流れは分かりましたが、レンになにを求めてるのでしょう。人生の先輩というのは理解できますが、人生の先輩は他の保護者も同じですし、ボディタッチをしてくる人は決まって世話焼きのタイプだと聞いてます。レンに人生の先輩を押し付けてはいませんか?押しつけた上でなぜ尻を叩く必要があるのですか?言葉だけでは足りないのでしょうか」


  お父様「なにも求めてません。人生の先輩を押し付けてますかね。そう見られてるとしたら私が悪い。もう押しつけません。それならそうと言っていただければ」


  レン「人生の先輩はここで初めて知りました。ずっとなぜボディタッチが多いのかとしか思ってませんでした。そうでしたか。世話焼きの保護者さんでも、手や肩までです。ボクの統計ですけどね」


  お父様「人とちょっとくらい違ってても不思議じゃないでしょうに。なにをそんなに」


  宏一「嫌がることをしてる人からしたらそう思うのは不思議じゃないですね。イジメの構図とそっくりですね。待ち伏せなんてせずに、園で取り次いでもらい話をすれば良かったんです。それとも別の理由でもあったとか?」


  お父様「なんですか?別の理由って」


  宏一「憶測でいう話ではないので」


  お父様「あなたが言い出したんでしょ。なんですか。言ってみなさいよ」


  レン「ボクは、襲われるような印象があったんだ」


  お父様「襲う?なぜ?男を?やはり自意識過剰だ」


 店内に響くほどの乾いた笑い


  宏一「華奢きゃしゃで背も低い。それゆえに声も高めで、スカートでも履けば女性に見えなくもない。一方、あなたは男らしい体型。覆いかぶさったら跳ね除ける力が足りない。少なくともレンは襲われると思ったわけです。あなたの意見は関係ない。被害者がそう思うのだ」


  お父様「それでも私がそんな風に思われることも被害者のうちになるのでは?」


  宏一「うん。それもそうですね。ただ、これまでにボディタッチが行き過ぎてると感じたうえで、暗闇で待ち伏せをして顔を出し話しかけるも逃げようとした男性の腕をつかむ。そこまでするようなことでしょうか。ただ避けられてるのが嫌なら仕方ないと思わないことが問題なんですよ。やり方が卑怯なんですよ。卑怯だから怖がり逃げたくなった。と考えることはおかしいことですか?自意識過剰ですか?」


  お父様「わかりました。明日園長先生を通じて話しましょう。こんな目にったとね。なんなら保護者会を開くよう進言しんげんしましょう。逃げなければ話せばわかることだったというのに。お二人に責められたと。まったく。私も暇じゃないんですよ。ここの支払いは私が。では」


 スッと立ち上がり店を立ち去る。


  レン「宏一さん。ありがとう。怖かった」


  宏一「ふぅ。まったく最後まで何を言ってんだって話だ。ああいうハラスメントがあるんだな。レン。仕事で困ったことがあれば抱え込まず俺に言えよ。なんのために一緒に住んでるんだよ。そういう苦労も一緒に背負いたいんだよ。仕事のことはわからないこともあるだろうけど」


  レン「ううん。宏一さんかっこよかった。惚れなおしちゃう」


  宏一「じゃあ俺らも帰ろうか。っとその前にトイレ行ってくる」


  レン「いっトイレ」


 せっかくのファミレス。ここで食事することにした。隣に座って食事。男はいなくなったのだから対面で座ればよいものを。


  宏一「そろそろ帰ろ。今日はお疲れ様」


  レン「お風呂入ったらするよ!」


  宏一「あっはい」


あと1話で決着します

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