23話 そば ☆
エロ度★
レン「ご苦労さまでした。ベッド組み立て貰えて安心です。あっ、これ気持ちです」
よく冷えたペットボトルを人数分渡す。
業者は何度も頭を下げ出て行く。
レン「ヒロさん。おつかれさま。だいぶ片付けて貰ったね。あとは、カーテンとかだね。とりあえずお昼まわったし、どこか食べに行かない?」
ヒロ「そうだな。引越しそばと行くか」
レン「じゃあ検索するね」
ヒロ「いや、散歩がてら良さそうな店に行かないか?」
レン「そうだね。この街のこと知っておきたいし」
ふたりは、内見した最後の部屋が気に入り翌月の終盤引っ越をした。
ヒロ「こんなとこに医者があるんだ。時代を感じさせる建物だな」
レン「うん。なんかノスタルジックで素敵だね」
ヒロ「映画とかの撮影に使われてそうな雰囲気があるな」
門構えや建物は昭和中期を連想させる。
レン「こっちなんて神社があんな高さだよ!全然わかんなかった!階段何百あるんだろ。ね?せっかくだから神社に行かない?」
ヒロ「え?これ?今から。あー、うん。ゆっくりでいいなら」
疲れが出るとまた腰を壊しそうで、少し躊躇してしまう。
レン「無理しなくていいよ?思いつきだし」
ヒロ「いや、手すりがあるし、カニ歩きで登れば」
腰が痛い時に、カニ(横)歩きすると腰への負担が少なく段差でも響きにくい。
ひぃひぃ
ふぅふぅ
ようやく昇り鳥居をくぐる。
レン「おつかれさま。ゆっくりしてて」
境内を歩いてまわる。
レン「ヒロさーん!こっちこっち!」
疲れ重くなった身体を必死に奮い立たせ向かう。
レン「見てみて!この景色!!」
神社の境内の横は崖になっており、街がよく見える。駅の向こうの方まで。
ヒロ「凄いな。疲れが吹っ飛ぶな」
レン「ね?感動するね!」
レンの肩をトントンと叩く。
レン「ん?なに?」
ヒロ「そっちにも鳥居あるんだな。タクシーが見えるけど」
高台にある神社だが、クルマで乗り付けることの出来る場所だった。階段があるのは、元々昔からある側の鳥居であり、クルマで来れる方は後から作られた。時代の流れで、階段側はあまり使う人が減っている。そのため、気づかれにくさがある。
2人はタクシーに乗って蕎麦屋へ。
ヒロ「ざるそば2枚ずつで」
あいよーざる4
レン「ボクそんなに食べれないよ」
ヒロ「残ったら俺が食う」
レン「タクシー代ごめんね」
ヒロ「いいよ。俺の腰がこんなんだから」
レン「ちょっとはしゃいじゃった」
ヒロ「おかげであの景色が見れた」
レン「キレイだったね。また行こ」
店員「お待たせしました。ざるそば2枚ずつ。と、そば湯はここに置いときますね」
ヒロ・レン「いただきます」
ずっずずずずず
ヒロ「美味いな」
レン「ほんと」
ずずずずずず
ヒロ「契約前に大家さんに会うのなんて初めてだよ」
レン「ね。面談なんて初めて」
同性カップルに難色示していた大家は、営業の説得により顔を合わせたいとして面談という運びになった。
レン「どんな人かは営業さんも知らないし怖かったけど」
ヒロ「まさか、俺の職場の名前聞かれるとは思いもしなかったよ」
レン「営業さんが止めに入ったから良かった」
ヒロ「一応、大家さんが知る必要無いとはいえ、ほら、特殊だろ?より一層難しくなったら嫌だし」
大家とは言え、個人情報を取得する謂れはない。またその個人情報を保護出来るとは考えにくい。
仲介している不動産屋は、本職なので個人情報を流すことは基本ない。たまに流出するのは、ITに疎いか社員教育が出来てないか。
本職の不動産の営業は、個人情報を取得しようとした大家に止めに入れるように相席してもらった。
ヒロ「それでも一応、何してる人かとして、玩具開発をしている会社員。とまでは言ったけどさ。会社名聞かれた時は営業さんの顔見たもんな」
レン「大家さんどこで納得してくれたんだろ」
ヒロ「勤続年数かな?大学出て今の会社だから、9年か。まもなく10年だな」
ずずずずずずっ
ヒロ「そば湯いいね。温まるわ」
レン「そば湯?美味しいの?」
ヒロ「茹で汁をそばつゆに入れて飲むんだ。そばは捨てるところはないんじゃ無いかな」
レン「殻は?」
ヒロ「枕に入れると香りもいいぞ」
レン「ほんとだ。すごいね」
ヒロ「こうして無事引っ越せたし蕎麦は美味いし神社からの景色は良かったし。大家さん感じのいい人だったし。決め手はたぶん、レンの仕事じゃないかな。保育士なら安心だと思ったに違いないよ」
レン「だといいな」
ヒロ「よし、食べ終えたし帰ってカーテンでも着けるか」
まもなくクリスマス
物語はまだ夏




