25.エピローグ
ルイツァーリ様と両想いになったあの日。
唇が腫れる直前まで、何度もキスをされた。いえ、すでに腫れていたかもしれないわ。
それから三日。
食事のときすら部屋から出してもらえず。
もう両手を使える状態なのに、何度も食べさせてもらっていた。
最初の頃は断ったのだけれど、ダメですかとまるでしょげた犬のような幻覚が見えてしまって、完全に敗北したわ。
でも三日間も二人きりで過ごして、ようやく解放された。さすがに身体を清めたいと言って、やっとよ?
もちろん、婚前交渉はしていないわ。
ただひたすらに甘えられて、甘えさせられて、年上なんてちっぽけなプライドなんてすっかりなくなってしまった。
だって呪いは解けたのに、わたくしからはまだ甘い香りがすると言われて。意地を張ったところで意味がないじゃない?
……困るけれど、嫌ではないのよ。それが、困る。
+ + +
さらに三日後。わたくしは備え付けの浴室にいたわ。
「お嬢様。湯加減はいかがでしょうか」
「丁度良いわ。改めてよろしくね、カリア」
「お任せください。本日は午後からお出かけになるとシチェス様より窺っています。歩きやすい服装でしたよね?」
「そう。ルイ様と両想いになれたから……ルイ様が誕生したときに身を挺して守ってくださったポーヴァルン様のお墓参りに行くのよ」
浴室から出る。長い銀髪をかき上げていると、またカリアがポーッと顔を赤らめた。
「ふふ。カリアも変わらないわね」
「お嬢様を奪われ呪ってやろうかと思いましたが、お嬢様が幸せなので許してあげます」
「まぁ、寛大な心だこと」
軽口をたたきながら、カリアに外出の準備を調えてもらう。
鏡の前には、外行きの服が置かれていた。
長い間手入れを怠っていたけれど、恋の力かしら。以前よりも髪の艶が増しているような気がするわ。
複雑に編み込まれた髪に、薔薇が出現する。まさか、髪だけで薔薇が作れるなんて思いもしなかった。カリアも腕を上げたようだわ。
「完っ璧、です! いまここに、創世の女神が誕生しました……」
ふぅと額の汗を拭いてやり切った顔をするカリアに、感謝の気持ちを込めて微笑む。
顔を赤らめたカリアの頭を撫でて、ルイツァーリ様が使う主寝室の隣の部屋から出る。
「行ってくるわね」
「行ってらっしゃいませ」
見送ってくれたカリアに手を振って、部屋の外で待っていたルイツァーリ様の隣に並んだ。
( 完 )
これにて、『甘噛み』終了です!
≪呪いの完全解呪といえば≫の王道はうっすらと考えていますが、一旦ここまでということで。
『甘噛み』、いかがでしたでしょうか。
感想、リアクション、「★(いくつでも!)」などくださいますと、次の話への糧となります。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
またお会いできる機会を楽しみにしています (@^^)/~~~




