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episode3 遊び

対抗戦前日、この日は教習がなく簡単に言えば休日になる

普段許されないような二度寝も遊びに行くことも可能になった訓練生たちは皆年相応の子供として好きに過ごす


そしてその一人であるシャーレも今日は出かけようと着替えているところにラングレイが顔を覗かせた


「明日から対抗戦だ、……わかってるな?」

「わかってるよ、一班を引き摺り下ろせば良いんだろ?」


再三言われているのか、シャーレが面倒くさそうに答える


「契約、僕が最も信用している言葉だ

契約は金や税よりも古い最古の人類の決め事であり双方の利益を表面化させ履行することで満たされるそれは愛だの友情だがよりは数段尊い」


「……俺はそうは思わんがな」


ラングレイの言葉を無視して支度をするシャーレ

本来であったら訓練兵と陸軍大佐、タメ口など許される関係ではないのだが二人は上司と部下の関係というわけではない


ラングレイはシャーレにこのアカシアの家で行われている競争を加速させて全員の成長を促し、優秀な兵士を作ることを条件として報酬として市民権と戸籍、そして病気の治療をを約束している


特殊な雇用関係、いわばラングレイの私兵のような働きをしているのだ


「まぁいいよ、僕は遊びに行ってくる」

「……ほどほどにな」






ーー

慣れた足取りで複雑な裏路地を歩くシャーレ

呆けていたのか正面から歩いてきた通行人に肩をぶつけて倒してしまった


「あぁ、すみません」


すぐにしゃがみ込んで尻餅をついた人の顔を覗き込む

そして小さな声で囁く


「“血の味は?“」

「“甘くて酸っぱい”」


答えを聞いて懐から透明な袋に入れられた粉を渡す

そしてそれを確認した通行人が笛を手に握らせた


「まいど」


笛の中に代金が全て入っているのを確認してから中から三割分抜いてから誰も使っていない郵便ボックスの裏に隠してその場から離れる

そしてポケットに入れていた分と合わせて数える


「ひぃ、ふぅ、みぃ………だいたい三十万か、これで……」

「––儲かってる?」


ポケットに札束を雑に入れて美味いものでも食べに行こうしたところに声をかけられる

後ろを振り向くと私服のノアが立っていた


「……いくら欲しい?」

「そういう問題じゃないと思う」


よりにもよって一番面倒な相手だ

何よりやりにくい、こっちに踏み込んでくると見せかけてある程度の距離を一応は保ってくる、これならバレたのがイリューワとかの方がマシだ


「こういうことはやめた方がいいと思う、そもそも……」

「––待て、どこかに座って喋ろう、こんなところ長居する場所じゃない」


そう言ってとりあえずその場から連れ出す

苦し紛れの言い訳でもあるが半分くらいは本心だ

こんなところで若い女の子がウロウロしていると変なやつに目をつけられるだけだ

たとえそれが兵士としての訓練を受けたノアみたいなやつでもだ


とりあえず最近気になっていたカフェに入る

表通りにオープンしたばかりの店だ、ケーキが美味しいと評判になっていた


「あ、ボクあんまりお金持ってきてない…」

「はぁ…、こちらから誘ったのに金を出させるほど卑屈なやつではない」


とりあえずおすすめケーキセット二つとコーヒー、そしてノアの紅茶を頼む

無言の時間が数分ほど続き、ようやく出てきたコーヒーに手をつける


正面に目を向けると自分に出されたケーキをまじまじと観察して食べようか迷っているのが写った


「磁石でも使えばいい」

「……いただくよ」


誰から聞いたのか、はたまたあの会話を聞いていたのかわからないがようやく口をつけたのを見て自分もケーキに手をつける


「美味しい…!」

「そう、……すみません、苺タルト二つ」


思ってたよりも単純そうな思考回路の可能性が出てきたためとりあえず苺タルトを注文する

するとどうやらかなり当たりだったらしく出されたタルトにかなり目を輝かしている


「……で、あんたは何がしたいの?」

「––あっ!そうだった」


できるだけ機嫌がいいうちに話をいい方向に終わらすためにこちらから話を切り出す


「単刀直入にいうとあんなことを続けてると先生にいうよ?」

「ラングレイにか?」


僕がそう答えると驚いたような顔をされた

何か変なことを言ったのだろうかと思っていると呆れたような顔をされた


「君もラングレイじゃないの?シャーレ・ラングレイ」

「……ロッドにか?」


ラングレイにチクられたところでと言った感じだ

彼は基本的に僕の私生活に不干渉気味だ、いや僕が過干渉を嫌っているからなのかもしれないがそもそも僕と彼の関係は仕事上のものだ

利害が一致しているから協力しているだけ、それ以上でもそれ以外でもない


「いいの?チクっちゃうよ?本当にスパってチクっちゃうよ?」

「……」


変な擬音と共に珍妙なポーズをとるノア

どこかいとこを思い出す性格をしているような気がしないでもない


「……そろそろ腹を割ってしゃべらない?」


紅茶を一口飲んで真剣な顔つきをする

先ほどまでのギャップで少し気圧された


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