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episode28

切れた手首から血が垂れて刀を形どる

瞳が赤く染まればそれに応じて魔力も震える、異能によって作られた刃が光を反射して銀の髪を彩る


「つゆ払い頼んでも?」

「……そのための僕だ」


一気に駆け出すシャーレ、それにピッタリとスバルがついていく

たった二人で突撃を仕掛けてきた、それを戦車の間から顔を出した敵指揮官が見る


「……銀髪…!ドレイブンの白い死神かぁ!?202小隊、203小隊、あの死神を廃業に追い込んでやれ!」


異能者対策の一つ、物量差による飽和攻撃で圧殺する

それを忠実に再現したオルガ王国軍、しかしシャーレには、いやドレイブンの死神には通用することはなかった、赤い瞳で捉えた弾丸をひたすら弾いていくシャーレ、当然真後ろを走るスバルに当たることもない


高速で戦車の横をすり抜け、そのまま敵の指揮官の首を切り落とすシャーレ、戦車をまるで飴細工のようにとかし装甲を歪ませていくスバル

ドレイブン戦線でオルガ王国兵に最も恐れられている『白い死神』と『灰陽』、その二人が存分に暴れていく


「死ね゛ぇ!死神ッ!!––グフッ…!」


懐まで潜り込んだシャーレが一振りその刀を振るたびに命が散っていく、血飛沫がその身を飾り断末魔が色をつけていく

シャーレが敵のヘイトを一身に集めている間にスバルがとうとう戦車の破壊を終えた、それと同時にレグレットが指揮する中隊が列を組み、橋を駆けてくる


「銃剣装着!オルガの屑どもを一人残らず蹂躙瀬せよ!祖国のために命を燃やせ!!全隊突撃ッ!」


「「「「祖国のためにッ!!」」」


銃剣を装着した決死のおおよそ二百名程度、一個中隊全員が100mほどの距離を雄叫びを上げながら駆け抜ける

スバルによって戦車という絶対的な盾を失い、シャーレに切り込まれ隊列を乱されたオルガ王国軍はその勢いに呑まれ対応できず、倍はいたはずの兵士を次々と減らされていく


最後に残ったのは最初から半分ほどまで減ったエリーシェ王国の紋章でその身を包んだ兵士と橋を造る石の色すら見せぬよう地面を埋め尽くした死体だった

全てが終わり、勝利を謳うエリーシェ王国兵、死体の中に寝転がった血だらけのシャーレはその声を聞きながら空を流れる雲を眺める


「今日も……死ねなかった」


傍に転がるさっきまで一緒に戦っていた兵の死体を眺め、全身を包む血の匂いに悪酔いしながら物思いに耽る


(生き残ったのが良いことなのか、それとも地獄が長引くだけなのか、あぁ…、疲れた、疲れたな、なんで僕がこんな目に…戦って殺して眠れず走って、……赤ってなんだか安心する、綺麗な赤色だ…、ダメだな、疲れてる、––煙草だ、煙草を手に入れないと、……もう十七歳か、本当だったらこんな目に遭うことはなかったのに)


自問自答を繰り返しながら敵兵の死体を漁り煙草を探すシャーレ

一般兵はだめだと悟り自分が最初に首を切り落とした敵少佐の荷物をひっくり返して中を見る、缶詰に水筒、何かのペンダント、そして薄汚れた紙でできた箱、期待を膨らませその小さな箱の中身を見ると一本だけ煙草が入っていた


「一本…?どうせ死ぬのになんで勝手に吸ってるんだよ……」


そうは言いつつも煙草を味わおうと地面の砂を少し手で退けて座り込むシャーレ、そしていざ煙草に火をつけようと軍用マッチをポケットから取り出す、そしてマッチを擦った瞬間、その光に目を細める


(––眩しッ!……いや、これは…!)


その光が自分の手のマッチからではなくさっき敵少尉の荷物を地面にひっくり返した場所から出ているのが見えた


「––魔道具!?」


光が一段と強まりシャーレを包む

咄嗟のことに目を瞑る、だんだんと光が弱まり目を開けれるほどに視力が回復した時、自分の体にかかる水の流れを感じて嫌な予感がする

おそるおそる目を開くと先ほどまでと全く違う場所、どこかもわからない浅い川にに自分が座り込んでいることを認識した、そして自分の手から煙草が逃れどこかに消えたことを、だんだんと現実が飲み込めていき絶望が喉の奥から這い上がってくる


「あ…ぁ…、あ゛あ゛あ゛!私のタバコォがぁあ゛あ゛!!!」


喉の裂けるような声が響いた






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