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episode25 酒盛り

注意、このエピソードはちょっとだけ過激な表現が含まれています

不快に感じてしまう方もいらっしゃると思いますので不安に感じた方は気をつけてください

とある一室、わざわざカーテンまで閉めた一部屋にシャーレ、スバル、アンダーソンが集まっていた、ベッドに座るシャーレ、椅子に座るスバル、ソファに座るアンダーソン、三人で囲めるようにわざわざ移動させた机の上には大量の酒とおつまみが置かれていて、今から何が始まるのかが手に取るようにわかる


「二人ともお酒飲めるよね」


軍服ではなく仕事ではなくプライベートだということをわかりやすく示すために私服の中でもかなりラフな格好のアンダーソンが二人に尋ねる、その質問に対してシャーレはグラスのワインを一口飲んで見せ、スバルはすでに少し赤くなっている顔を見せた


「赤子の頃、乳母は乳の代わりにワインを与えていたそうですよ」


「グーギレヌルス王伝説じゃないか、だいぶニッチな逸話を持ってきたな」


ワイン片手に塩っけの強い生ハムを二枚重ねで食べるシャーレ、手掴みだというのにその所作の細部には気品が宿っている、そしてそれは残りの二人も同じである

名家の生まれのスバル、上流階級の生まれではないが最低限の教養を自力で身につけた自他ともに認める美形のアンダーソン、ただ男三人が部屋に集まって酒盛りをしているだけだというのに少しはだけた格好をしているためかなり絵になる光景になっている


三人とも酒が回っているのかシャーレは饒舌に、スバルの口は軽く、そしてアンダーソンの熱唱に拍手が集まる

そしてそんな酔いの回った男子が集まれば遅かれ早かれ自然とある話題に焦点が当たる


「ていうか女性はやっぱり料理の腕と性格で選ぶべきだと思うんだ、容姿は別に……いや普通でいい、やっぱり結婚するなら私のことが好きで性格がいい子が良い」


「ここだけですよ…?俺はやっぱり…秘密ですよ?やっぱり…手フェチって奴なんですよ、特に手入れのされた爪が好きなんですよ、絶対秘密ですよ?」



おそらく酔いが回ってなかったら絶対口にしないようなことをスバルがワイン片手に口にする、そして二人の視線がこの話題になってから黙々と二枚重ねの生ハムを楽しむシャーレに視線が向いた


「で、君はどうなんだい?」


「僕か?…ですか?……ぅん…、私はかなり美味しくて、誰かを好きになったことが無いので分かりませんが、何かに真剣になっている人は応援したくなりますよ…ぉ?」


一人で三本目のワインを空にしたシャーレはすでに泥酔していた、顔は少し紅潮し呂律はまだ回ってはいるがすでに言動が怪しくなっている


「誰かを好きになったことがない?そんな男がいるもんか、私の初恋は七つの時だぞ?」


「そう…ですか?そう…ですね、私も実は初恋はそれくらいだったかもしれませんね?けれどもう誰かを好きになるという気持ちにはなれないと思います、だってみんなバナナですもん」



とうとう生ハムをそのまま食べるのに飽きたシャーレはクリームチーズを生ハムで包んで食べる、スバルも釣られて同じ食べ方をし、その姿にアンダーソンは何が面白かったのかひたすらに笑う


「ふふ、ふははっ!私もそれ食べたいぞ」


「しょうがないですね、ほら、口開けて」


シャーレが生ハムを生ハムで包んだものをアンダーソンの口に突っ込む、そして一度自分の口にワインを含み、アンダーソンに自から口移しをした


「扇情的だ!」


妖艶な雰囲気を纏うシャーレの口から葉を伝う雫のようにワインがこぼれる

その姿にスバルが呂律の回っていない感想を残し、それを聞いたアンダーソンは笑い転げる


完全に泥酔して今にも収集がつかなくなりそうな、そんな瞬間扉が開いて光が一気に部屋の中を照らした、逆光を背負って部屋に入ってきたのはティア、部屋中に漂うアルコールの匂いに嫌そうな顔を見せる


「あんた何やってるのよ、私は少尉からあんたを任されてるんだからちゃんと言うことを聞きなさい?ご飯を食べて夜はちゃんと寝る、そして体に負荷がかかるようなことはしない、そんなに難しく無いでしょうが」


怪我をしている期間のシャーレの生活を少尉に任されていたティア、その責任感からシャーレをわざわざ探しに来たのだ、そしてノアからスバルと歩いているのを見たという情報を頼りにこの場所を探し出したのだ


ティアは自分の意見をズバズバ言うし責任感も強い、そんな彼女を怒らせるのはスバルにとって一番避けたいことであり、そしてアンダーソンにとっても自分が安静にさせるためにティアに預けたのにお酒をいっぱい飲ましたことを思い出しさっきまでの楽しい気分はどこかに、一気に酔いが覚めていく

苦し紛れに顔を逸らす二人、しかし彼女のヘイトが向くことはなかった、おそるおそる顔をあげるとティアにクリームチーズを巻いた生ハムを食べさしているシャーレが映ったのだ


「––うッ!?……あんた何すんのよ?」


「えへへ、ティアも食べますか?美味しいですよ」


「何がえへへだこの野郎、乙女の口に食べ物突っ込むなんて次はないわよ?」


口では怒ってはいるが内心そこまで怒っていないのがわかるティア、足取りの覚束ないシャーレにため息をつき手を引っ張って部屋から連れ出して行った

少々の沈黙、ウルガ大森林からティアとシャーレが一緒にいるタイミングで会ったことがなかったスバルは呆気にとられその顔が徐々に青ざめていく


「え、仲良くなってる…?俺が一週間目を離してる間に何が…!?」


「……?良いことじゃないか、あの子は少々難しい過去を持ってるから心配だったから少し安心できるよ、もちろん君とノア君もだよ」


シャーレがラングレイの養子になった経緯を知っており、その頃から一方的にだが気にかけていたアンダーソンとしてはシャーレが誰かと仲良くしている光景を見ると安心できるのだ、それはスバルも同じ、シャーレと多少なりとも距離が近づいているのは嬉しい、しかしティアとの関係がここまで急激に深まるとは思っていなかったのだ


「の、ノアが…」


「ノア君がどうしたんだ?」


「多分あれを見るとノアが機嫌悪くなります、“なんでだよ“って…」


その答えを聞いてアンダーソンは納得する、そりゃそうかと

某満月さん「な、なんか…、すごいモヤモヤするよ!」

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