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episode15 獅子と巳

エルフィン王朝第三位ハーレクインの生まれという恵まれた出たちながら身内に裏切られ七つの頃に他国のマフィアに売られ四年間、言葉にするのも憚られるような扱いを受けていたエルフ

かたやエリーシェ王国の名家レッドソード家最高傑作と評され、十分な愛情と教育、そして尊敬する両親による騎士たるものの英才教育を受けてきた騎士


全く違う生き方、しかし似た原点を持つ二人

そのためシャーレはスバルの清廉潔白を謳う生き方に嫌悪感を感じ、スバルは自分の信条と違う生き方をするシャーレに羨ましさとそれよりも遥かに大きい啓蒙的な何かを感じていた


「やっぱりこうなったか…、ここまで想定通りかい?」


スバルがシャーレに問いかける

フィールドで残っているのはすでにシャーレとスバルのみ、つまりここで勝った方の班が対抗戦一位の成績を手に入れることができる、だというのに全く構えずにまるで休日の街角で偶然ばったり会ったような雰囲気を出すスバル


「いや、ここからもだ」


しかしシャーレはそうでもない、先ほどのノア達との戦闘でできた水溜まりをバレないようにこっそりと足で触れて異能の操作条件を満たす

しかしそれを見たノアが叫んだ


「気をつけてスバル!シャーレは水を操る異能だよ!」


突如訪れた空白、全く警戒を緩めず今にも不意打ちをかけようとしていたシャーレですら視線を完全に向けるほどの注目が集まった、そしてティアが思いっきりノアの太ももを叩いた


「ばか!本当におばか!」

「え!?ちょっと、な、なんで!?」


困惑と焦り、目を丸くして二人がその光景を見つめる

情報は生物だ、必要な情報というものは必要な時にあって初めて役に立つ、逆に言えばそれ以降は情報は劣化するも同然、価値は次第になくなっていく

異能の情報はその性質上知られるだけで無効化されることもある、そのため人によっては恋人にすら教えないこともあるのだ


「……ローカルルールってやつかい?まぁいいよ」


ルール上の死人がしゃべったことにシャーレが皮肉るとスバルが呆れたような素振りを見せながら笑った


「そうは行くまい、……俺の異能“天童の歩み方(ヴァールハルトゥング)“は太陽の祝福、陽の光に比例し魔力と生命力が際限なく増幅、熱と炎、そして光を自在に操ることができる、もちろん陽の光を浴びている時は魔力は消費しない」


聞けば効くほど反則だ、心の中で悪態をつくシャーレ

異能には明確な上下関係は存在しない、医療、医療関係に応用が効くもの、そもそもの性質が人を傷つけるのに向かないもの、その人の性質や精神性が出ると言われている異能は多種多様なものがある

しかし戦闘にしか向かないモノとそうではないものは一線を画すのだ


「この前の続きだ、今度はカウントまで行かない、悪いけど五分で肩をつけさせてもらうよ」

「奇遇だね、宣言しよう、五分以内に僕に勝てなかったら君は負ける」


二人が一気に意識を戦闘に切り替える

赤と青の魔力が互いに跳ね、ぶつかり、ハジけ、そして混じり染まる


天道の歩み方(ヴァールハルトゥング)

血汐を泳ぐ(ヴァイン・シテルン)


誇りを賭けた戦いが始まった















ーー

対抗戦からしばらく

一位のチームは発表されなかった、ていうか一班と六班の同率二位で対抗戦は幕を締めた

表向きは大雨の影響でこれ以上の続行が命の危険が出てくるための引き分け、しかしラングレイの思惑はどうにも別だったらしい

シャーレとスバルの戦いはどうなったのか誰も知らない、雨の降ったタイミング的には勝敗は決まっているはずとノアとティアは思っている、しかし二人も直接決着を見たわけでもない

その上シャーレに聞けば、同率の意味はわかるか?、と残し

スバルは静かに笑うだけであった、誰が聞いても二人は態度を変えなかった


しかし季節は進む

アカシアの家の生徒達は一人ずつ15歳を迎えていき、生徒の大半が成人を迎えた日

シャガールの本人が研究室と言い張る部屋でペンを走らせほとんどの人が理解できない言語と数列を書き続けるシャーレとシャガール


「…この数字ずれてる」

「あ、気づかなかった、助かるぞ」


それを見てラングレイが少し驚く

共通の趣味というか、シャーレはお小遣い稼ぎのために手伝っているのだがいつの間にかかなり仲良くなっていたのだ、かなり思う所があるらしい


「……ラングレイ、何か用でも?」


シャーレが入り口から入ってきた光に気づき顔を上げるとラングレイの存在に気づいて声をかける、こんな薬品と埃の匂いでいっぱいの部屋に何か用かと、忙しいのに何の用だと


「……獣人の里に行かないか?一応任務だ」

「いいよ」


即答でそう答え、ラングレイを部屋からすぐに閉め出すシャーレ

義子の作業を少し見ていたかったラングレイはシャガールの、扉くらい閉めてから喋れよ眩しいな、という言葉を背に一人寂しく部屋に戻ることになった

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