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episode14

イネと分断されてからシャーレはノア、ティアの二人と川の浅瀬で交戦していた

スバルの熱光線を避けるために転がった際、シャーレは勢い余って川に落ちた、その時に小銃が水に浸かり故障したため物陰に隠れるシャーレとそれに対して一方的に弾幕を張ることができるノア達という不利な状況を強いられることになった


(不良品が!弓だったらこんなことにならないのに!)


シャーレは憤っている、支給された武器が思いのほか簡単に使い物にならなくなったこに、しかしそれ以上にこの状況に納得がいっていないのだ


(僕の相手があの金ピカ野郎じゃないってことに耳鳴りが止まない…!)


しかしそうは言ったもののこの状況流石にまずい

上流を陣取っているノア達、それに対してシャーレは川の中腹にある大きめの岩に陰に隠れているのだ、顔を出せば撃たれる、この膠着状態で追い詰められてるのはシャーレなのだ


「このままスバルが来るまでこの状態を維持するだけの簡単なお仕事だ、今回も楽勝だったな」


そうティアが大きな声でそんなことを言う、もちろんわざとシャーレに聞こえるようにだ

ティアはシャーレが嫌いなのだ

アカシアの家の子供達はあと半年で訓練を終えるのにこの時期に入ってきた先生と同じラストネームを持つ子供、愛想は悪く他人は見下しおまけに落としたパンまで食べる意地汚さ、ティアの嫌いな男の要素を凝縮したような人間なのだ


「スバルが何を思ってたか知らないけどこんな奴別に警戒する必要もない劣等生じゃないの!」


(……好き放題言いやがって…!こちとら好きであんたらみたいな奴とこんな地形で…、––悪いけど契約違反なんて気にしてる状況じゃない、使わせてもらうよ)


シャーレの魔力が波立つ、瞳が赤に染まって水面が震える

この手だけは使うつもりはなかった、しかしラングレイとの契約を本格的に果たせないのならとシャーレは開き直る


「……勝てば良いんだろ異能“血汐を泳ぐ(ヴァイン・シテルン)”」


突如、水が不自然に震えた










ーー

水が自然に跳ねた瞬間、ノアとティアは発砲した

この状況から抜け出すためには強行手段しかないと思っていたため警戒十分、すぐに反応できたがどうにも飛び出したわけではないらしい


「なんだ、ただの水の跳ねか」


そういって納得するティア、しかしノアには違和感が残った

水の跳ねの大きさ、ずっと同じくらいの速さで流れているのに急にあんな大きく水が跳ね上がるだろうか、もしシャーレが飛び出したとかならギリギリ納得いく、しかしシャーレは依然としてその姿を岩陰から見せない、しゃがんでいるはずだから体を起こさずにあの大きさの波は作れない


(ていうかそもそもあそこにいるの…?もしかしたらボクたちが知らない方法で岩陰から……)


ティアと違って心配性なノアはどんどんと思考の闇に囚われていく

そんなノアを見かねたティアが目線を岩陰から離さずに足を叩く


「心配しないの、あいつ訓練で手抜いてるからわかりにくいけど射撃だけは真面目にやってあの成績だから、この距離を保てば何もできない」


「……うん、うん!確かにいけるね!」


一瞬ネガティブ気味になった思考に気合いを入れ直して集中するノア

いつでも反応できるように構え直した瞬間に反射的にティアを抱き抱えて横に転がり避けた、瞬間大きなトスっという小さな音と鳴らし()()()が直前まで居た地面に垂直気味に刺さっていた


(水の矢…?)


疑問に思った瞬間岩陰からまた何かが飛び出した、水の矢だ

もちろん透明な水のため視認性は最悪、かろうじて光の反射でわかる程度のものだ

それを避けた瞬間に岩陰からシャーレが飛び出した、手がまるで透明な弓でも構えているような形をしていて、しかもスムーズに矢のようなものをつがえ、それを放った


そしてその透明な矢が空を切るような音を鳴らした瞬間に二人は状況を完璧に理解した


「––異能!」

「弓なんて時代錯誤な物を…!」


それを聞いてシャーレは笑う、まさに予想通りだった

素人目には弓と銃、どちらが優れているか聞けばまず銃をあげる、しかしシャーレはどちらも優れていると答える


銃は破壊力と速度が簡単に出るが弓は隠密性とその安価さに優れている、状況と場合によっては弓が優れている時もある

もちろんこの程度なら素人でも考えればすぐにわかる、しかしシャーレの狙いは別にあった


(やっぱり曲射に慣れてない…!)


弾丸は真っ直ぐにしか飛ばない、だが矢は工夫次第で七色の軌跡を描くのだ

シャーレにとっては常識だった、しかし今は猟師でも弓ではなく猟銃を使って狩りをする、そんな国で育った二人にとって弓なんてものに縁はなく障害物を無視し時間差で空から矢が降ってくる曲射、複数の矢が飛んでくる乱れ打ち、次々と矢を放つ連射での使い分けと自由度の高さで苦戦を強いることが可能だった


シャーレが三度空に向かって矢を穿つ、そして二人を分断するように立ち回りながらティアに集中的に攻撃する


「––チッ!しつこぉ…い゛!!」


ティアが向かってくるシャーレに向かって弾丸を打ち込む、それをステップで避けて重心を掴み地面に向けティアの首元にナイフを突き立てた


「……降参」


銃を捨てて両手を上げるティア、しかし言葉とは裏腹にニヤリと口元が動いた、直後シャーレの体をノアが掴んで揉み合いに発展した

腰からナイフを抜いてシャーレの首に突き立てようとするノアの手首を掴んでそれを防ぐ、しかし勢いは殺せなかったらしくシャーレは地面に組み伏せられた

ナイフを掴む手が緩んだ瞬間にノアがナイフを遠くに足で蹴りマウントをとる


「えへへ、結構良い眺めだね」

「……ぁん…」


掠れるような声を出すシャーレにノアがニヤニヤと笑う、今だったら少し意地悪なことをしてもいけるのではと企んだ


「うぅ〜ん?聞こえないなぁ?」

「にぃ…いち……」

「––え?」


謎のカウントダウンについ間抜けな声が出るノア、そんな彼女の頭にシャーレが最初に空に放った塗料の混ざった水の矢が降り注いでびしょ濡れになった

そして遅れるように背中に残りの二発が降り注いで全身が塗料まみれになったノアが何が起きたか飲み込めないように笑う


「あはは……え?…なんで?」

「最初に放った矢が最後に命中する、銃じゃできない芸当だな、で?」

「……ぃた」


小さく、歯切れ悪く喋るノアにシャーレが先ほどの仕返しと口撃を仕掛ける


「うぅん?聞こえないな?」

「……意地悪!!」


珍しく笑い饒舌なシャーレに真っ赤な顔したノアがプルプルと震えながらそう叫んだ

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