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episode13

人の嫌がることはしない、イネが昔よく親や神父様に言われたことだ

イネの昔はガキ大将で通っていた、近所の子供を広場に集めて大人の手伝い放り出して探検、勇者ごっこ、時には近所の優しいお兄ちゃんと一緒に森に行って拾った木の実を売ったりもしていた、けどそれと同時にいたずらっ子でもあった

誰かを驚かせることが好きでよくゲンコツを落とされるような子供でもあった


そんなイネは六班で唯一シャーレの言葉をそのまま受け止めるのではなく自分なりに解釈を探していた


(別にシャーレが伝えたかったことは俺が話し上手ってことじゃない、自分の武器を最大限活かせってことだ)


スバルは正真正銘天才だ、まず異能者なんていう自分とは違う存在の上にその異能者の中でも別格の能力、そんな相手に正面から正々堂々戦うなんて本当に自殺行為だ

理想は自分の強みを一方的に押し付けてスバルが戦いづらくする、それが理想だ


そしてこの場でイネが取るべき行動はシャーレを信じて時間を稼ぐことだと考えた

きっとシャーレならすぐにあっちの二人を片付けてこっちに加勢に来てくれる

それが情けないことに唯一の勝算だと


そう考えたイネは緊迫した空気の中、突然背を向けて走り出した


「……は?」


突然の逃亡にスバルが固まる、警戒していたどの行動とも違う選択肢、頭が一瞬空っぽになったがすぐに冷静さを取り戻す


(……逃げる?なら俺はあっちの加勢に行けば…)


しかしすぐにその考えは甘かったことを思い知らさせる

背を向けようとした瞬間にイネがスバルに向かって弾丸を撃ち込んだのだ、当然走りながらしかも後方への発砲だ、当たるはずもなく空をきる結果に終わったがその事実がスバルにとって自分の思ってたよりも厄介なことになったことを示す


全力でスバルも追い駆け始めるがこんな入り組んだ地形で視界も悪いとなると追いかける側よりも逃げる側の方が有利、見失ってしまって立ち止まった瞬間にまた少し顔を見せてスバルが弾丸を打ち込む


「……なるほど、俺を倒す気はさらさらないけど甘えた素振りを見せれば遠慮なく倒しにくる、その上追いかけたら全力で逃げる、時間の欠けたくない俺にとって一番嫌な展開だ」


この状況でイネを倒さずシャーレの方の加勢に向かったら一番嫌な展開の時に横槍を入れられる、それがわかってるからこそスバルはイネから目を背けることができない


スバルは考えた、考え抜いてたどり着いたのがとてもシンプルな答えだった


「異能“天道の歩み方(ヴァールハルトゥング)”」


スバルの元に不自然に太陽の光が集まり、そしてスバルの魔力を再現なく増幅し始める

そして右手を掲げて振り払うとそれに呼応したかのように熱が上昇し一気に解放、樹海の一部を熱光線で焼き払った


「俺の異能“天道の歩み方”は太陽の光をそのまま自分のエネルギーに変換する、つまり極論だがこういうことも可能だ」


スバルの体を熱を帯びた複数の黄金の環が回り始める、そしてその環がイネの打ち込んだ弾丸を一瞬で溶かした、だというのにスバルの周囲のものは燃えていない、弾丸だけが燃え尽きたのだ


「魔力を熱量に変換したんだ、俺の能力は何も攻撃だけじゃなくて防御にも使えるんだよ……全身全霊で君に勝たしてもらう」

「光栄だよ、手加減してあげるからかかってきな」



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