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episode9 しょうがないこと

「クソッ!クソ!クソがぁ゛ッ゛!!」


イリューワが感情を声に出して発散する

足を前に踏み出すたびに顔のあたりにある生えている葉が皮膚を擦れ切れる

ろくに踏み込めないぬかるんだ地面のせいで何度も転び、仕舞いには羽虫が口に入ったのだ


しかし彼が怒っているのは何もそんなしょうもないことに向かってではない


彼は対抗戦が始まって真っ先に一班を探しに向かった

他の班が水源探しや地形把握を行なっているのに関わらずだ


各班は基本的に2kmほど離れた位置でスタートする、そのためフィールドが決められているとはいえ当然広い上に視界が悪い樹海、狙った班を見つけることは難しい

しかし彼は悪運が強いことに見事一班を見つけることに成功した


(なんで誰も痺れてねぇ!?確かにジュースに毒を混ぜてやったのになんでだ!?)


しかし彼らは敗走した

自信満々に真正面から姿を現し、「体の調子はどうだ?天才諸君」とバカにした瞬間に仲間の一人が撃たれた

そしてスバルが魔力を解放した瞬間になぜか毒が効いていないことに気づき恥をかなぐり捨てて背を向け逃げたのだ


「あいつらと逸れちまった、クソが…!!……ん?」


何かが引っかかったらしく状況を整理していく



––リュウノドクガは俺が直々に買ってきたやつだ、そしてジュースに入れたのも確実だ

三つ確かに入れた、俺と、ミュウと、そして新入りがそれぞれ一つずつ

俺の仲間にあいつらにこの計画をチクるような奴はいない、なら残るは食堂にいた奴だが全員わざと割った皿の音に気を引かれていたはずだ


「あのクソガキ…!」


自分を騙したこと

そして自分に従わないということは自分が舐められていることに値する


それは自分以外のほとんどの人間を見下しているイリューワにとって最大の屈辱だった


「ん…?……見つけた…!!」






ーー

シャーレたちは湖のすぐそこにあった洞穴、そこに身を隠した

利点は三つ、直射日光を防ぎ無駄な消耗を避けられる点

敵からの発見確率を大きく下げられる点

入り口を一つに絞ることで奇襲を防ぎ見張りを一人に減らせる点


対抗戦は戦闘ももちろんだがサバイバルの側面も含んでいる

そのためシャーレはこの一日目の初めに優れたポジションを確保することを最優先に動き、それさえできたのなら首位争いは硬いと考えていた


しかし予期せぬアクシデントが起きた


「すぐ治るから、あんまり気にするな」

「……熱と汗が酷いな、脈もおかしい上に寒気と来た」


対抗戦開始から四時間半、リッタが動けなくなった

シャーレの考えではこの後回復する見通しはなくむしろ急変する可能性が高い


「朝食は?」

「……食べる気になれなかったから残した」

「朝からどれくらい水を飲んだ?」

「コップ一杯だ」


専門的な医療知識のないシャーレでもわかる

無理をすると取り返しのつかないことになると


「少し横になれ」


リッタを横に寝かしつけ、少し離れた場所で三人が集まる



「……どうするリーダー」


トートとイネがシャーレの答えを待つ

しかし答えを聞くまでも無く続行が不可能だということに二人ともわかっている

だから班全体の意識を確認しているのだ

リタイヤさせてもいいかと


「……お前達のどっちがリッタを背負って待機場まで連れて行くか決めろ」

「リーダーは?」


そう聞き返されて小さくため息をつくシャーレ

そして立ち上がって二人の横に立つ


するとちょうどトートとは頭一個分、イネとは目の高さにイネの肩がある

そしてリッタの身長はトートと同程度、平均より少し小さいシャーレだと難しい部分があるのだ


「……」


無言で訴えるシャーレ、それを見て理解した二人が気まずそうに顔を逸らす


「小さい頃から腹一杯食って十分に寝てたら今小さくてもそのうち伸びるから安心しろよ」

「……そうだな、……食べれるものでも探してくる」


そう言い残し洞穴から出ていったシャーレ

それを見てトートとイネが顔を見合わせる


「……怒ったな」

「……お前のフォローにな」


イネは怒らせた責任を取らすために塗料を変にフォローをしたトートの体に塗ったのだった

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