episode7 必然的な結果
「もし自分の手に負えないイレギュラーが起きた時、戦死条件を満たした場合、試験即効が困難になった場合のみこの信号中を撃て、一人一つ渡しておくが油断はするな、状況によれば数時間から数十時間かかることがある、試験といっても死ぬ可能性が大いにある
よし、今から五分後に目隠しを取ることを許可する」
送迎用の車から降りて歩くことおおよそ二十分ほど、対抗戦の公平性と実践に近づけるために目隠しをされてスタート地点につれて来られたシャーレ達六班が五分後に目に入ったのは見慣れた樹木の数倍ほどの大きさを持った植物だった
「物資の確認をする、全員支給されたリュックを開け」
「言われずともわかってるよ」
支給されたリュックを開くと中からは水筒、チョコレート二つ、信号銃にナイフ、双眼鏡と戦闘用の拳銃が入っていた
もちろん拳銃は訓練用のもので弾は非殺傷、そして当たれば塗料が飛び散り被弾がわかるという設計だ
「俺はAL–11のアサルトと同じくP–13だ」
ALー11、王国軍が採用している二つのアサルトライフルの内の一つ
もう片方のアーキースー3,2に命中精度が劣りはするが水に濡れても発砲することが可能でいざという時に頼りになる小銃の訓練用だ
「私のはこれだ」
リッタが見せたがもう一つの採用小銃、アーキース3,2だ
圧倒的な命中精度を誇り有効射程430mもあり長距離の狙撃に向いている
しかしその一方で反動が強い上にAL–11と違い壊れやすいため命は任せられないという兵士も一定数存在している
「俺はシャーレと一緒」
武器の確認をしてリュックに一つずつ丁寧に戻していく
かなり厳しい状況からのスタートということを自覚したシャーレ、食料は幸い自分の知識があれば木の実や薬草を食べられるが武器に関しては二人が主要武器を持っていない
「……食用の物も探しながら水源を探す、僕を先頭にトート、イナ、リッタの順だ、警戒を怠るな」
「はいはい」
隊列を組んで進む
性格の悪い大人たちがもしかしたらスタート地点付近は安全だと思い込んでる僕らの思考を逆手にとって近くに違う班を配置している可能性もあるのだ
「……何をしている」
だというのに銃を構えずあくびをしながら歩く三人、シャーレも流石に見過ごすせず止まってわけを訪ねる
すると何を今更と言わんばかりにトートが答えた
「お前は入ったばっかだから知らないけど、俺らって六班じゃん、だから基本的に接敵した時点で負けなんだよ、簡単な話さ、成績のいい方が勝つ、ただそれだけだ」
自虐的に、そしてひねくれた態度でそう答えるトート
本当に何を言っているのかわからなく困惑してるところに残りの二人が続ける
「それに他の班は一番弱い俺たちを探す、そして倒して簡単に得点確保、俺たちはいわばボーナスなんだよ、一番最初に見つけれた運のいい班に得点を献上する係さ」
「ていうかなんであんたは真面目にできるの?私たちに才能がないのはスバルとかを見れば明らかじゃんか」
接敵したら負け、一番弱い、才能がない、彼らの言葉を聞いて彼らがなぜやる気がないのかがわかった
そしてシャーレは少し考えた上で口を開いた
「……まず僕は頑張れない理由はあれどそれを諦める理由にしてはいけないと思っている、それはあまりにも君たちを信じている人間に失礼だ
次に僕は君たちが罰走を受けてはいるが教習を真面目にこなしていることを知っている
最後に君たちは才能がないわけではない、人は誰しも他人の良いところがよく目に入って、逆に自分の良いところはわかりにくいものだ」
シャーレは基本的に排他的というか他人に嫌われる態度をとっている
食事は一人で摂るし教習中も基本的に口を開かない、顔を見られたくないのか髪で顔を隠しているし距離が近いのも嫌う
壁なんてものではなく他人を嫌っている、それがアカシアの家の人間全員の共通認識だ
そして他人を煽てないことも共通認識なのだ
「トート、お前の肺活量の大きさは驚異的だ、確か海辺の育ちだろ?泳ぎが得意なのもわかる。イナはコミュニケーション能力が高い、その自然な笑顔は環境が良かったのだろう、組織というものはトップの間に一人挟むとうまく回ることが多い
リッタは口は悪いが他人をよく見る節がある、気遣い上手とも言う、他人の気持ちがわかる人間は優しい人間が多いと聞く
いろんな個性、いろんな考えたを持った人をうまく使える人間が今まで君たちの前にいなかっただけだ」
ふとシャーレが顔を見ると三人とも変な顔をしていることに気づく
「……将来の夢は先生か?それか結婚詐欺師」
皮肉りつつも少し嬉しそうなリッタ、トートとイナは少し恥ずかしいのかシャーレの方を向けずに顔を隠している
「……さてさて頑張りますか」
「ま、まぁな」




