故郷への道
「私に触るなぁ!」
ローネの叫びと共に投げ飛ばされた俺は体が宙に浮く感覚と共に
ようやく気づくことが出来た。
知らずのうちに意図せずローネを抱き寄せる形になっていたことを。
「ぐはァ!」
背中から地面に落ち、肺の中の空気が一気に口から出る。
「こ、こんな時に何考えてるのよ!」
声のする方に視線を向けると、顔を真っ赤にしたローネが茂みから俺を睨んでいた。
「誤解だ!」
直ぐに弁解しようとするが、たちまち衛兵に包囲される。
「動くな!怪しい奴め」
「待ってくれ。俺は・・・」
ローネもそうだが衛兵の誤解も解かねばならない。
そう思った矢先、ローネが剣を構えて茂みから飛び出してきた。
「見られたからには仕方ないわね。ここで!」
相変わらず血の気が多い奴!。今ここで衛兵と戦闘になったらまずい。
俺は相変わらず仰向けの状態だったが、タイミングよく足を突き出して突撃してくるローネの足元を払った。
「ッ!。何を!」
バランスを崩したローネは前のめりになり、そのまま・・・俺の上に倒れた。
「おっと」
「キャッ!」
咄嗟に抱き留めたが、ローネの怒りに油を注ぐような行為をしたことに後悔し、恐る恐るローネを見る。
「あ・・・ああ・・・」
ローネも今の状況を理解したのか思考回路がショートしたように固まって動かなくなっていた。
やってしまった感が拭えないが、今は町の衛兵との衝突を回避できた事に安堵する他ないだろう。
「・・・もしかしてクルトさんですか?」
衛兵の一人が俺に話しかけてきた。
「そういうお前はアルフレッドだろ。大きくなったな」
アルフレッドは俺が士官学校に行く前まで、よくミアと三人で遊んでいた俺にとっては弟分のような存在だったが、
当時より顔は大人びており、自警団に入っていたことも知らなかったから気づくのに時間がかかってしまった。
「やっぱりクルトさんだ!。良かった、士官学校に行ってから全然音沙汰がないから心配だったんですよ」
「見ての通り、海軍で元気にやってるよ」
「そうみたいですね。・・・ところで先程から気絶しているそちらの女性は一体・・・クルトさんの彼女ですか?」
「しまった!って気絶してるのか・・・。ローネは俺の・・・そうだな、戦闘仲間みたいなものだ」
「よくよく見たらそちらの方は近衛騎士団の方ではないですか!」
「あ、ああ」
「・・・これはミアさんが黙ってないだろうな」
「何か言ったか?」
「いえ、どうぞ村に入ってください。ここはまだクーデター軍の脅威はありませんので、安心して休んで頂ければと」
「ありがとうな」
俺はローネを抱え、入り口の門をくぐり村へ入る。
目指すは村長宅の予定だったが、気絶しているローネを抱えたままでは無理なので、気乗りしないが俺の実家へと向かうことにした。




