市街戦
ミアは近衛騎士の中でも若手のエースといった感じで、ローネやクルトたちでは歯が立ちませんが、優しい性格のため、ためらいが多いです。
アンホルト居住区
「まだ制圧できんのか!。敵は1人、ただ1人なんだぞ!」
部隊の総指揮官である陸軍大尉は焦りを隠せずにいた。
「しかし、相手はあの近衛騎士団副団長です!生半可な攻撃では…」
「既に2個小隊と連絡が取れず、増援で送った部隊からも制圧完了の報告が上がってきていない…。このままでは私は降格に…」
「大尉殿!」
「何だ!今は忙し」
「ミア中尉が到着しました!」
兵の報告を聞いた大尉はそれまでの焦りが嘘の様に、笑みを浮かべ始めた。
「そうか。中尉に伝えろ。現在居住区で戦闘中の第3小隊の支援に就けと」
「了解!」
伝令に向かう兵士の背中を見ながら大尉は独り言の様に言う。
「化け物には化け物を…か。近衛には近衛をぶつけるまで。なに足止めさえしてくれれば良いのだ。私の為、精々中尉には働いてもらわねばな」
「第3小隊の支援?」
「は!大尉殿からミア中尉にそのように伝えるよう仰せつかっております」
居住区制圧の後詰として配置されていた第3小隊が戦闘中という事は我々政府軍が苦戦するような相手が居住区にいるという事だ。
海軍の陸戦部隊?。いや、陸戦の練度では圧倒的に陸軍主体の政府軍の方が圧倒しているはず。となると残るは…。
「近衛…か」
「中尉殿?何か?」
「いえ、何でもないです。ミア中尉、第3小隊の支援任務に向かいます」
近衛だとして一体誰が…。
先程市場街で戦闘したローネ少尉が脳裏によぎる。
「まさか…ね」
ローネ少尉はクルトが連れて行ったはず。クルトが…抱えて。
「クルト…今度こそ…力ずくでも…」
私は新たな決意を胸に秘め、銃声が鳴り響く居住区の中心部へと駆け出した。
アンホルト居住区中心部
居住区中心部へ到着した。
状況を見る限り、戦況は芳しくないどころか押されてさえいるような状況であった。
「ミア中尉です。増援に参りました」
「第3小隊隊長のニール曹長だ。増援は中尉殿…お1人かな?」
「ええ、そうですが」
「ご覧の通り第3小隊の生き残りは俺を含めて2人のみだ。全滅も時間の問題だろう」
曹長は完全に戦意を喪失しきっていた。
もう一人の兵士は切られたのか腹部に包帯が巻かれており、意識も朦朧としていた。
周囲を警戒しながら私はニール曹長に尋ねた。
「敵は精鋭部隊…近衛…ですか?」
私の問いにニール曹長は薄ら笑いを浮かべた。
「部隊?。は…ははは。部隊だったらどれだけ良かった事か。あれは間違いなく……」
「曹長?」
話が途切れた事に違和感を感じた私は振り返って曹長を見る。
変わらない状態で曹長は同じ場所に立っていた。…首から上が無い事を除いて。
「!?」
時間差で曹長の首が地面に落ちる。私はその光景に驚く前に、このような芸当を実行した犯人について思考を巡らす。
先程まで敵の気配は無かったはず。物音や足音など、部隊が接近している様子も無かった。
曹長の話を踏まえた上で導き出される答え、それは…。
敵がただ強いというレベルではなく、一騎当千の強者であるという事。




