アンホルト上陸
マブラヴオルタネイティブのアニメついに始まりましたね。めちゃくちゃ影響を受けた作品です。
9アンホルト
東の地平線から太陽が昇ろうとしており、辺りが暗闇から徐々に明るくなり始めていた。
フィーアは王都を脱出後、順調に航海を続け、アンホルト港へ入港する準備を始めていた。
「見張員、アンホルト港の様子は見えるか?」
「早朝で漁師達の姿は確認できますが、陸軍の姿は未だ確認しておりません」
見張り員の報告にオルリック艦長は安堵した表情になり、言葉を続ける。
「どうやらアンホルトはまだクーデター軍の勢力下にはないようだ。ここで補給を行い、今後の方針についても考えるとしよう」
「しかし、アンホルトと帝都はそこまで遠い訳ではありません。いつ陸軍部隊の襲撃が来てもおかしくはないかと」
「クルト副長の言う通りアンホルトに長居は出来ないだろう。早急に補給を済まさねばならないな。ラース航海長、港の桟橋に接舷は出来そうか?」
ラースは艦の資料室から持ち出していた資料を見ながら言う。
「あの港の水深はこの艦が座礁する程浅くは無さそうっすね。でも接舷となると軍港と比べてかなり狭い港内の為、操艦に時間をかけて慎重に行えば可能かと」
「分かった。接舷は慎重に頼むぞ。そうだ、クルト副長」
「何でしょうか?」
「私は睡み…もとい艦に残ってやらなければならない作業がある。その為補給物資の確保を貴官にお願いしたい」
睡眠って言おうとしたよな。艦長のここぞという場面での指揮に尊敬の念を覚えつつあった俺は不承不承ながらも了承した。
「了解です。リストはこちらで作成しますか?」
「もう既に作成してある。えーと…これだ」
「ありがとうございます」
俺は艦長から貰ったリストをチェックする。食料、燃料、日用雑貨に消耗品か。細かく品目と数量が記載されている。
リストの中に入っていた安眠まくらと高級ウール布団については聞かない事にした。
「そういえば買い付けの際の資金は用意されているのですか?」
「まさか、そんなに弱小海軍艦長の俺が高級取りに見えるか?。買い付けはいつも通り海軍司令部発行の軍票を利用するように」
軍票は海軍司令部が物資調達用に独自発行しており、艦ごとに司令部から支給されている。
王国の海軍は弱小であるという国内外の評判と、王国の海軍への軍事予算割り当てが陸軍と比べて極めて少額であることから海軍の軍票は信用性に欠け全く使えないとの噂は有名であった。
軍票には発行期日、司令部の印と共に所属艦名と艦長名が記載されている。
「あんな紙屑になりかけの軍票使えますかね」
「まあ、普通は断られるだろうな。だが、このアンホルトは別だ」
「?」
「実際に行けば分かるさ。お、そろそろ港に着くな。俺は作業の為に艦長室に戻る。後は頼んだぞ副長」
「了解です」
早速艦長室で睡眠をとるべく艦長は足取り軽やかに指揮所を出ていった。
ラースを買い出しに誘ってみたが既に艦内に姿は無く、アンナに聞いてみたが
「ラース先輩ですか?先程急いで町へ向かったようですが…まあ概ね察しは付いてます。ナンパでしょうね…」
アンナは平静を保っているように見えたが、士官学校からの付き合いである俺はアンナの内に怒りの炎が静かに揺らいでいる事に気づいた。
「何、ラースの事だ。また強引に誘って振られるのがオチだろう。俺もこれから町へ買い出しに行くから見つけ次第連れ戻すよ」
「クルト先輩、これから町へ買い出しに行かれるなら私もお供しましょうか?」
「いや、一人でも十分こなせる量だよ。アンナはまだ海軍に入って間もないのにこんな事態になって疲れているだろう。短い時間になると思うが、ゆっくり休んで欲しい」
「それならクルト先輩も同じく疲れているのでは?」
「まあ、多少は疲れているが、まだ大丈夫だ。それにラースを捕まえるのにアンナがいては奴が逃げ出すかもしれないからな。ここは俺に任せてくれ」
「分かりました。お言葉に甘えて休みます。ラース先輩をお願いします」
「任された」
アンナと別れた後、俺は軍票を用意し早速アンホルトの町へと向かった。




