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優しい海で

久しぶりの恋愛系描写ですね… 

「…軍人のあなたに私の気持ちなんて分かるわけありません!私のお父様は軍人に殺されたのです!所詮軍人は人の命を奪うことが仕事…。そんな人に命について説教なんてされたくないです!」


「…王城での戦いでどれだけの犠牲が出たと思ってるんだ。国王1人を救い出す為に一体何人が死んだ!。その道中とはいえ、あの戦いで救い出すことが出来た君の命が粗末にされて黙っていられる訳がないだろ!ふざけるな!」


俺は王城での戦いで死んでいったヘイルダム乗員達の顔を思い出し、彼女の発言に冷静ではいられなくなっていた。


「……」


「…すまない、感情的になって少し言い過ぎた。だが君がいたあの王城で王国を思って戦い、そして死んでいった軍人もいたことは知っていて欲しかった」


「…そろそろ離して頂けませんか?」


「え?」


俺は彼女を抱きしめたままであったことに気づき、慌てて離れた。


「うわ!ごめん!」


彼女は俺の方に体を向けるとクスッと笑う。


「あなたは王城にいつもいる軍の方とはどこか違いますね」


「近衛みたいに優秀でなくて悪かったな。どうせ俺は落ちこぼれの海軍士官だ」


「いえ、そういう意味ではありません。王城にいた方々は皆、私の家柄だけを気にして誰も本音で私と話してくれませんでした。でもあなたは本音で私を叱ってくれました。それが少しうれしかったんです」


「俺だけじゃない。少なくともこの艦に乗っている軍人は全員君の味方だ」


「…そう、ですね。先程は失礼な物言いをしました。ごめんなさい」


彼女はそう謝ると今まで被っていたフードを取り、俺の顔を見る。

金髪ロングの髪が風で揺らぎ月明かりに反射してきらめく。その整った顔立ちも相まって俺は少しの時間見とれていたが慌てて会話を続ける。

「い、いや、家族を亡くしたんだ。思いつめるのは当たり前の事だろう。だが、些細な事でもいいから今後は一人で悩むより誰かに相談した方が気が晴れると思う」


「クルトさんでも?」


「ああ、俺でもいいしレナート副団長やローネ少尉、他の海軍の奴でもいいんだ」


「…お父様がもうこの世にいない。そのことを受け入れるにはまだ時間がかかりそうです。ですが、私は一人ではない。そう思えたことで生きる希望が湧いてきました。クルトさん、ありがとうございます」


彼女の初めて見せた笑顔に再び見とれながら、俺はまだ彼女の名前を知らなかったことに気づく。


「あー、そういえばまだ君の名前を聞いてなかったな」


「…私の名前…」


彼女は一瞬困った表情をしたが、直ぐに口を開いた。


「…そうマリー、マリーとお呼び下さい。クルトさん」


「分かった。これから宜しくな。マリー」


「はい、クルトさん」


マリーからはもう悲壮感は感じなかった。冷静さを取り戻していた俺はふとマリーが右手に何か持っている事に気づいた。


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