アリスちゃん
更新遅くなりました。
誤字脱字報告くださった方、大変ありがとうございます。見直してからアップしているのですがほんと多いです、申し訳ないです。
お店を開いてから一ヶ月が経った。初日は申し訳ないほどに並んでもらうだったけれど、いまはアリスちゃんと二人でも対応できるくらいのお客数に落ち着いていた。
だからお客さんとも話す余裕も出来たし、色々な人と話しができるようになった。
あんなにも他人との距離に悩んでいたのが嘘のように、いまでは人と話すことが楽しくて仕方がない。たくさんの人と話していると価値観の違いに戸惑うこともあるけれど、違うからこそ自分の世界の狭さに驚かされることもあっていい刺激になっている。
過去の自分を振り返ってみると、こんなにも自分を変えることが出来たんだって、改めて思うと自分にだってできるんだって、また自信に繋がっていくの。
私は異世界にこられたことがきっかけだったけれど、今思えばきっかけは、この世界に来る前だって何度もあったんだと思う。でもそのときは、自分が傷付くのが怖くて、そのせいで相手を傷つけてたことにも気が付けなかったから。弱い自分を否定しながら、それを言い訳にして変わることを恐れてきっかけからも逃げてたのかもしれない。
でも変わることができたのはやっぱりベリアルさんがいてくれたから。
私の成長を側で見ていてくれて必要な時にだけ手を差し伸べてくれて、何より押し付けるじゃなくて、私が自分でどうしたいのかをちゃんと聞いてくれたから。
誰かに言われて何かをするんじゃなくて、自分で決めて行動するってやっぱり大事。自分で決めたから最後までやり切ろうって、気持ちが入っているのと入っていないのじゃ全然違うの。
だから癒しのパンだって美味しくなくなったし、癒しの効果もなくなった。
あのとき私は癒しのパンをみんなの為じゃなくて、自分から逃げる為に利用していたことに気付いたときはショックだった。
料理することは私にとって特別なことになっていたから。嫌なことがあると料理を作って食べて、気を紛らわせていたけれど、いまは好きだから料理をする、誰かに美味しいって喜んでもらいたい、食べて元気になってもらいたいって前向きな理由に変わった。
一番はベリアルさんとの食事が大切な時間になったから。だから余計に料理が楽しくなったんだよね。
ベリアルさんに出会えたから、色々な経験をさせてもらって、色々なことに氣付かされて、私は変わることができた。
だからベリアルさんには好きって気持ち以上に感謝の気持ちでいっぱいなの。
「待ち合わせですか?」
「うん、そうよ」
「みこちゃんと一緒に行きたいところがあるの」
「え、どこに行くんですか?」
「それは行ってからのお楽しみよ。私、これからお城に行かないといけないから、みこちゃんがお仕事終わったら一人で街の広場に来てね」
「わかりました」
「みこちゃん、これはデートだからね、だからジルも一緒じゃダメよ?」
ベリアルさんは私の手に指を絡めながら、耳元に近づくとそう言ってきた。
こういう時のベリアルさんは普段以上に綺麗でオーラがすごくて更にドキドキするの、有無を言わせない感じ。
私はドキドキして言葉の代わりに一生懸命頷いた。
「ふふっいー子ね」
そう言って頭を撫でた。
「...」
はぁドキドキする。こんなにも幸せなドキドキってあるんだ。お買い物とかお出掛けは、いままでだってしてたけど、デート。ベリアルさんとデート。しかも私の人生で初めてのデートだよ、どうしよう嬉しすぎる。
「みこちゃん顔真っ赤よ。デート喜んでくれているみたいで嬉しいわ、それじゃあ後でね、お仕事楽しんでね」
そう言った後、ちゅって満足するまでキスをすると笑顔でベリアルさんはお城へ行ってしまった。
「はうっ、もうダメ~っ」
デートが嬉しいのと、キスとでもう胸がいっぱいいっぱいになって、そのまま床にへたり込んでしまった。
「みことお姉ちゃん、今日一日ずっと嬉しそうだったね。ずっとそわそわしてた」
今日の最後のお客さんがお店を出た後、アリスちゃんに言われた。
「えっそうかな」
「うん、お料理しているときみたいに、ずっとニヤニヤしてた」
「やだっ、恥ずかしい~」
「何かあったの?」
「えっと、お仕事終わったらベリアルさんと、そのデートの約束してて...」
「...みことお姉ちゃんはあの人のこと好きなの?」
「えっす、好きって、あ、うん、すごく好きなの。すごく大切な人。だから本当はアリスちゃんも仲良くしてくれたら嬉しいかな」
「...そっか。...うんわかった」
「えっ本当に?」
いままでベリアルさんには会話もしないし、時々、睨むような視線で見ていることもあって心配していた。
「うん、私もあの人と仲良くする」
「嬉しいっアリスちゃんありがとう」
「じゃあ、みことお姉ちゃん、これあげる」
「ん、なぁに?飴?綺麗な色~っ」
「そうだね、みことお姉ちゃんの恋が上手くいく飴かな、食べて」
「えっそんな、でも美味しそうだね、いただきます」
「...」
「...」
アリスちゃんとジルが見ているなか、私はアリスちゃんからもらった飴を口に入れた。甘い、すごく甘い。甘くて蕩けて意識がフワフワしてきた。視界がぼやけて、意識が遠のいていく、感覚が麻痺していくような、気持ちいい、何もかも委ねてしまいそう。
そして私はそのまま意識がなくなっていった。
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本日は次話も更新します。




