カフェ・プレディーネ
ようやく、終盤に近付いてます。読んでくださっている方ありがとうございます。
あの日以降、不安になっていた気持ちが、ベリアルさんとの距離が縮まったことで心が満たされて、いまは以前のように心が穏やかに過ごせている...のかな。
「んっ、べ、ベリアルさん、はぁ...私、もう...」
「みこちゃん...」
力が抜けた私の身体をベリアルさんに支えられる。
もう毎日のようにこんな感じ。
一度、距離が縮まったことで、いまでは毎日のように、キスしている。いまはわかる、ベリアルさんってすっごくキス魔なの、朝起きてと、寝る前は必ずだし、昼間もことあるごとにしてくるの。
私は、する度に恥ずかしくて慣れなくていっぱいいっぱいなんだけど...。ベリアルさんがね、キスの後、すごく嬉しそうに笑顔を見せてくれるの、それはもう幸せそうに。その笑顔が可愛くて、もう胸がキュンって、更に幸せだなって感じられるのが嬉しくて、いつも受け入れちゃうの。
ベリアルさんと私の関係は言葉では正直何も変わっていないのだけど。でもあの日ベリアルさんがぽつりと言った”待っていて”の言葉。どんな意味かはわからないけど、きっといまの曖昧な関係でも大丈夫だって、不安に思う必要がないって思えるの。
それにね、いまはお店の準備やら忙しくなってきて、そのことに集中し始めたら自然と余裕が生まれてきて、いっぱいいっぱいになってた気持ちが楽になって力が抜けた感じがするから深く考えるのはやめることにした。
私は一つのことに良くも悪くものめり込んじゃって、考え始めると自分の中だけで色々悩んでどんどん大きくしていっちゃうんだって、ユリアとのことで気付けたから、やることがあるのは程よくていいのかなって。
だから、ベリアルさんとのこともお店のことも焦らずゆっくりでいいんだって思うようにしてるの。
「にゃお」
「うん、ジルありがとう。いま私すごく楽しいんだ。すごく幸せだよ」
「にゃっにゃっ」
ジルには、私の気持ちが言葉にしなくても伝わっているみたい。だから私の成長をずっと見守ってくれている。そして本当に困ったときは助けてくれるの。ジルは森に捨てられてしまったときからずっと一緒にいてくれているからかな、言葉にできない信頼関係みたいなものを感じている。
私ばっかり頼りにしちゃってるんだけどね、何かお礼をって話したら私の作る料理が食べられればそれでいいって、いい子過ぎるよね。本当にジルには感謝しかないよ。
それにね、一緒に働いてくれる約束をしたアリスちゃん。あれから時々、遊びに来てくれて、ジルとアリスちゃんと三人で一緒にお料理したり、お買い物したり、のんびりピクニックにも行ったりして、いまではすごく仲良しだったりする。お店のオープン間近になるとお手伝いも兼ねて毎日のように遊びにきてくれた。
アリスちゃんはあまり喋る子ではないけれど、会話がなくても一緒にいて気まずくなるどころか不思議と落ち着くんだよね。
アリスちゃんといると、ふとベリアルさんを感じるときがあるからそれのせいかもしれない。
でも、ベリアルさんとアリスちゃんは仲がよくなかったりする。
アリスちゃんは私がベリアルさんと仲良くしているのが嫌で、ベリアルさんはアリスちゃんにばっかり構ってばっかりでずるいって言ってくるの。えっとベリアルさんに関してはちょっと嬉しかったりもするんだけどね、ここだけの話。
そして、ついにたくさんの人達の協力を得て、私のお店「カフェ・プレディーネ」オープンします。
店名は私の名づけセンスがなかったってのもあったし、女神プレディーネのおかげで私はこの世界に来ることができたから感謝の意味も込めてそのまま名前を使わせてもらった。使っていいか、ジルに聞いたら喜んでくれた。
「マリー、お手伝いに来てくれてほんとありがとう、よろしくお願いします」
「また美琴と一緒にお料理できるのすごく嬉しいよ。お店の準備も楽しかったし、私こそいい経験させてもらえてるから」
「そう言ってもらえると助かるよ、ありがとう」
「アリスちゃんも今日からよろしくね」
「みことお姉ちゃん...よろしくお願いします」
いや~やっぱり可愛い、癒される~、つい抱きしめた。
「ちょっと美琴、抱き着くの禁止~っ」
マリーがちょっと嫌そうに言うと、マリーの方を見てからアリスちゃんは
「...みことお姉ちゃん」
ってアリスちゃんがぎゅってしてきた。キュン。
「むぅ~」
「...」
で、アリスちゃんは、マリーともあまり仲がよくない。
何故かアリスちゃんは、私以外の人に対して素っ気ないというか心を開こうとしないみたい。
特にベリアルさんに対してのアリスちゃんは素っ気ないどころか、私がベリアルさんと話していると必ず私にしがみついてきて、それが嫌なベリアルさんが何を言ってもスルーな感じで、あのベリアルさんでもアリスちゃんに対してはモヤモヤしている様子。
ケンカになるわけじゃないから特に口出しはしてないけれど仲良くできないものなのかな。
まあそんな感じでアリスちゃんの素っ気なさでお店の接客できるのか心配だったけど
私の心配を余所にアリスちゃんの接客は完璧だった。
痒い所に手が届く?細やかな気配りとちょっと影のある中の可愛い笑顔にお客様も私と同じくやられてしまった。みんなからキュンって効果音が聞こえてくる気さえしている。
でもお客さんから可愛がられると、照れて私のところに来てぎゅってしがみつく姿が余計に私含めたお客さん達の心を掴んで、いや鷲掴みにしていった。
そして料理の方は日替わりでランチセット三種類にデザート三種類のメニューでやってみることに決めた。
癒しのパンを作ったのが私だって知っている人達がこぞって食べに来てくれて、お客さん達が幸せそうな顔をして料理を食べてくれているのを見た時は感動で鳥肌が立ったくらい、すごく嬉しかった。
家族連れのお客さんもたくさん来てくれて”美味しい”ってわいわい食事を楽しんでもらえたし、お茶の時間も女性の方達の憩いの場になって賑わっていった。
来てくれた人達が、もれなく満足そうでまた来るねって、癒されて帰って行く姿を見るとお店を開いてよかったなって思う。
慌ただしい一週間があっという間に過ぎて行った。
今日がマリーがお手伝いに来てもらえる最終日。感謝の意味を込めて、夜はお世話になった人を呼んでプチパーティーを開くことにした。
「マリーお手伝いありがとうね、マリーがいてくれて本当に助かったよ」
「もっとお手伝いしたかったけど、ごめんね」
「そんな、十分だよ。マリーはお城の仕事もあるんだからこれ以上は甘えられないよ」
「今度はお客さんとしてくるからね」
「嬉しい、待ってるね」
「それにしてもアリスすごかったね、私びっくりしちゃったよ」
「...」
「相変わらず私には無視なのね、もういいけど」
一週間経っても、マリーに対してのアリスちゃんの態度は変わらなかった。
「ほんとアリスちゃんの接客は完璧だったよね。もう感動しちゃった」
「ホント!?みことお姉ちゃん、私がいてよかった?」
「もちろんだよ、アリスちゃんがここで働いてくれて本当に良かったって思ってる、ありがとうね」
いつものようにぎゅってしてきた。何でこんなにも懐かれているのかわからないけど可愛いからいっか。よしよし頭を撫でる。
「ゼファイルさんもほんと何から何までお世話になりました。ゼファイルさんのおかげで問題なく、お店開くことができました。本当にありがとうございます」
「いえいえ、美琴さんにはこちらも癒しのパンなり、ベリアル様のことも、お世話になってますからこれくらいお気になさらずに」
「ありがとうございます」
「美琴、リリーはまだなの?今日来るんだよね」
ゼファイルさんがビクッとした。
「?。その予定だったんだけどね、今日はお店のお得意さんが来ることになって急に来られなくなっちゃたみたいなの、だからリリーとはまた別の日にお茶会でもしようって」
「それ私も行きたいから、そのときは絶対に声掛けてよね」
リリーとマリーは一度三人で女子会を開いている。二人は気が合ったみたいですぐに仲良くなっていた。リリーのコミュニケーション能力はすごいと思う、私もリリーの飾らない自然な感じのおかげで仲良くなることが出来たし、カフェの宣伝も街の人達にしてくれてリリーのおかげでたくさんの人が来てくれた。
ジルはというと、すごい目立った。金色のライオンがお店を入るといることにまずびっくりされたけど、怖くないってわかるとすんなり受け入れてもらえて、頭の上に器用に料理を乗せて運んでくれて何かと頑張ってくれた。
「ベリアルさん、今回のこと本当にありがとうございました。ベリアルさんがこの家でお店を開いていいって言ってくれたからこそ、こんなに素敵なお店にすることができて本当に感謝してます」
「改めてオープンおめでとう、素敵なカフェになったわね」
「はいっ、あ、でも結果的に家が騒がしくなってしまって、ごめんなさい」
「それは仕方ないわよ、でも夕方にはお店閉めてるから夜はのんびりできるし気にしてないわよ、何よりみこちゃんが楽しそうにお仕事している姿が見られて嬉しいわ」
そう言って頭を撫でてくれた。ふふっ嬉しい。
一度、あまりのお客さんの多さにベリアルさんがお手伝いを買って出てくれたんだけど、もう逆に大騒ぎになっちゃって特に女性の皆さまが。
だからもう二度とお手伝いはさせないと心に誓った。だって握手とかお願いされて愛想よくしているの見たら、気になって私が仕事に集中出来なかったんだもん、仕方ないよね。
一週間経ってお客さんの数も安定してきたから、のんびりモードで営業できそうだし、私のやりたいことが形になってるって実感できて、いますごくやりがいを感じてすごく嬉しいの。
女神様の力も強くなっているってジルも言ってたから、女神様が目覚めれば、このまま平和な世界になっていくんだってそう思っていた。
まさかそれと同時に闇の王様が、私の中の光が強くなるのをを待っていたなんて思いもしなかったから。
ありがとうございます。
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