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モヤモヤからの、甘いひと時。

前半はいつものグダグダな美琴です。とにかく甘い空気にしたかったです。

 もうベリアルさんなんて知らないんだから、私の反応を面白がってからかって...

 気まずくなるの嫌なのに、明日からまたどんな顔してベリアルさんと過ごせばいいのよ。



「あら、みこちゃんおはよう」

 起きてリビングに来ると早々にベリアルさんと会ってしまった。びっくとする私。

「お、おはようございます」

 普通に、普通に...

「すぐ朝ごはん用意しますね」

「ありがとう、急がなくても大丈夫だからね」

 うん、普通に会話できてる。ベリアルさんも普通だし、やっぱり私が意識し過ぎてるだけなんだよね。

 安心したけど、ちょっとモヤってする。




「ごちそうさまでした。私、下で仕事しているから何かあったら呼んで」

「あ、はい、いってらっしゃい」

 朝ごはんもいつも通り食べて、ベリアルさんは仕事に行った。みんなが元に戻ってからも野菜作りも薬師の仕事はそのまま続けている。


 私はゼファイルさんの協力のもと、というかこの国のことがわかっていない私は、材料に仕入れや手続きなどゼファイルさんに頼るしかない、と言うかお任せ状態だったりする。自立っていいながら自立できていないけれど、意地を張っても私にはできないことだし素直に甘えることにした。その代わり私に出来ることでこの国の為に恩返しができたらいいなって考えている。


 この家の一階はそもそも広くて、ほぼそのまま使えるから特別大掛かりな工事とかは必要なさそうで、私はメニューや、営業形態など考えることに集中させてもらっている。


 こうして順調に私はお店のこと、ベリアルさんは薬師として、平和な日々を送っていった。


 ただ一つ変わったことと言えば、ベリアルさんが私へのスキンシップを一切しなくなった。ハグはもちろんのこと、頭をなでることもしてくれなくなった。不安なときには安心できて、心が安らぐあの暖かくて大きな私の大好きなベリアルさんの手。

 相変わらず優しいし、何かあれば話も聞いてくれるし、態度はいままでと変わらないから不安になるわけじゃない。からかわれることも、意地悪されることもなくなって、平常心でいられるようになったけれど寂しい。

 恥ずかしかっただけで嫌だったわけじゃなかったから。ベリアルさんに触れられるのはドキドキするけど、好きな人に触れ合えるってすごく幸せだと感じられるんだってわかった。ベリアルさんを感じることができるの。恋人達がくっついてイチャイチャしているのは相手のことを感じたいから。

 子供が親に抱っこしてもらいたがるのは、やっぱり安心できるからなんだ。


「ジル、私ベリアルさんに愛想つかされちゃったのかな」

「にゃーぅ」


 ベリアルさんは綺麗でかっこよくて、きっとすごくモテる。周りの人だって絶対にほおっておくわけがない。顔を見てるだけでもドキドキして嬉しくて幸せになれちゃうのはいまも変わらないけど、でも欲が出てきたのかな、からかわれると余裕がなくなるくせに触れられないのがこんなにも寂しいなんて。


 でもどうしたらいいの?付き合ってるわけでもないのに触れたいなんておかしいよね。だからって告白する?そんなの私に出来ると思えない。それに振られちゃったら余計に一緒にいられなくなるし、それはもっと嫌だもの、誰かを好きになったその先ってどうすればいいの?恋愛って難しい...。



 私がウジウジと悩む日々が続いたある日


「みこちゃん、私、今日はこれからお城に行ってくるから」

「えっ、こんなに早くですか?」

「色々あってね、何時に帰ってこられるのかわからないから今日は私の分のご飯は作らなくていいわ、それじゃ行ってきます」

「はい、いってらっしゃい、気をつけてくださいね」

「にゃー」


 そう言ってベリアルさんはすぐにお城に向かってしまった。

 最近、色々悩んでたから一人で家で過ごすのもいいかもしれない。


 気分を変えて今日は考えていたお店に出すメニューを実際に作ってみよう。あとケーキも焼いて久しぶりに一人時間もいいかもしれないな。

「ジル今日は実際にメニューの料理を作ってみよ」

「にゃー」

 

 ランチセットは日替わりで三種類にして、ケーキも三種類は出したいな~。作れる量も考えないとだけど、さすがに毎日営業は無理だし、昼とお茶の時間だけの営業にすれば仕込みも夜出来るしいいかもしれない。考え始めたら色々楽しくなってきて妄想が広がってきた、いい感じ。


 昼食の時間になって、ベリアルさんに声を掛けようとして今日はいないことを思い出した。ジルは一緒にいてくれるけど、この世界に来てからご飯のときはいつも誰かと食べてたから何だか寂しい。違う、ベリアルさんがいないから寂しいんだ。美味しいって喜んで食べてくれるベリアルさんの顔が見られないのがすごく寂しいんだ。


 私にとってベリアルさんの存在はこんなにも大きくなってたなんて...一緒にいるのが日常だったから気付けなかった。ユリアにも言われたのに...。

 ジルはいつでも優して、いまも私にすり寄って慰めてくれた。ジルありがとう。


 夜もジルとご飯を済ませてお風呂にも入って、ジルはすぐにベッドで眠ってしまった、私はベリアルさんのことを考えると眠れずにソファに座って帰りを待った。


 玄関で音がしたのに気付いて急いで向かった。


「あら、みこちゃんまだ起きてたの?先に寝ててよかったのに」

 顔を見てほっとした。

「あの、ベリアルさん」

「なに?どうかしたの?」

 何を言えばいいんだろう、声を掛けたのはいいけれど何を言葉にすればいいのかわからない。

「みこちゃん?」

 涙が出てくる。ダメだ、泣いたって困らせるだけなのに。

 なでなで。ベリアルさんが頭を撫でてくれた。

「一人にさせて不安になっちゃったのかしら?」


 やっと頭撫でてくれた。やっぱりこの手は私を安心させてくれる。私にとってベリアルさんがお母さん的な存在なのは変わらないけど、それ以上に好きで好きで仕方がない。もっと安心したくてベリアルさんに抱き着いてしがみつく。

「ベリアルさん、ベリアルさん」

「あ~もう、みこちゃんが可愛くて構い過ぎて、怖がらせちゃったこと反省してたのに、どうしてみこちゃんからくっついてくるのかしら」

「...ぐすっ」

 寂しかった。一人の時間がこんなに長く感じるなんて。

「ほら、もうこんなくっつかれたら私またみこちゃんに意地悪しちゃうわよ、みこちゃん嫌でしょ?」

「...嫌じゃない」

「みこちゃん?」


「...今日ベリアルさんが家にいなくて、寂しかった。全然頭も撫でてくれなくなって、急に距離を置かれたみたいで、近くにいるのに遠い人みたいで、私...どうしたらいいのかわからなくて」

「みこちゃん...寂しい思いさせちゃったのね、ごめんなさいね、ほらよしよし、大丈夫よ大丈夫」

 ベリアルさんが優しく背中を撫でてくれた、完全に子供扱いだけどでもいいの。安心して涙はやっと収まってきた。

「やっぱりベリアルさんにぎゅってしてもらうと安心する...」


「...みこちゃんのペースも考えずにごめんね」

「ペース?」

「何でもないわ、ほらお部屋行きましょ。身体冷えちゃってるじゃない、温かいミルクティー入れてあげるからソファでゆっくり飲んでて、私その間にお風呂入ってくるから、その後お話ししましょ」

「...はい」


 ベリアルさんが入れてくれたミルクティーはほんのり甘くて意外にも美味しくて心に染みていった。


「ってベリアルさんどうしてこの体勢なんですか?お話しするんですよね」

 そう私はソファーに座るベリアルさんの足の間に座っている、つまり後ろから抱っこされている状態だったりする。膝の上に座っていないだけまだいいけど、背中に体温を感じる。

「みこちゃんは私にぎゅってされると安心するんでしょ?」

 確かにさっき勢いで言ったことを思い出す。

「言いましたけど、でも...これは恥ずかしい、です」

「ふふっ私もね、みこちゃんに触れてると安心するのよ、だからこのままでいさせて?」

 ちょっと寂しそうに言われてしまった。そんな言い方ズルい...


 ベリアルさんに触れられて素直に嬉しい。素直に言えない私はお腹の前にあるベリアルさんの手をぎゅっと握ってみるとベリアルさんも握り返してくれた。

「ふふっ、みこちゃんの手やわらかくて小さくて可愛い。それにみこちゃんの体温も匂いもこの触り心地もすごくいい。安心するし、すごく落ち着くわ」

「わ、私もベリアルさんの体温とかすごく落ち着くし、いつも癒されます」

「じゃあ一緒ね」

 そう言って後ろからぎゅってしてきた。

 ドキドキする、でもそれ以上にベリアルさんの温もりすごく安心する、ベリアルさんのことが好き。大好き。


「あ、あの今日はお城で何してたんですか?」

「まぁ色々今後のことをね。あ、お米ね、苗が順調に育っているからそろそろ田植えできそうよ」

「ほんとですか?」

 私は嬉しさから上半身の向きを変えてベリアルさんの顔を見る。

「あ...」

 顔が近い...ドキドキして目がそらせない。


「はぁ、やっぱり綺麗...」

「ふふっ初めて会ったときも言ってたわね、みこちゃんは私の顔が好き?」

「え、あ、そんな顔がじゃなくて、顔も素敵ですけど、優しくて頼りになって、かっこいいベリアルさんが好きです」

 あ、私好きって。もう言葉にでちゃうほど好きなんだ。もうどうしよう。


「そっかありがとう、私にもみこちゃんの顔よく見せて?」

「はひっ」

 座り方を変えてベリアルさんが隣に座って、私の顔に両手を添えて顔を見てきた。手で押さえられてて向きが変えられない。

「目がぱっちりしてて大きくて、すごくキラキラしてる。鼻の形も綺麗だし、頬っぺたやわらかくて気持ちいい。すごく可愛い」

「べ、ベリアルさん、そんな面と向かって言われると恥ずかしいです」

「だってみこちゃんが先に言ったのよ」

「そ、そうですけど...」


「みこちゃん...」

 あ、空気が変わった。

「...ベリアルさん...」

「キス、してもいい?」

 私は言葉に出すことが出来なくて、その変わり目を閉じた。


 唇にそっと優しい温もりを感じた。


 目を開けるとベリアルさんの優しくて嬉しそうな瞳と目が合った。

「みこちゃんは唇も柔らかくて気持ちがいいのね」


 あまりの恥ずかしさ目を合わせられなくてベリアルさんの胸に顔を沈めた。

「そんなこと言わないで、恥ずかしい...」

「もう、みこちゃん、そんなところが可愛い過ぎるのわかってないでしょ」


 そんなこと言われたってどうしたらいいのかわからないんだもん。

「...」

 返事に困って無言でいたら、ぎゅって抱きしめられたと思ったら、力が緩まって

「遅くなっちゃったしそろそろ寝ましょうかね」


 どうしよう。もっと一緒に居たい、離れがたくて、でも確かにもう遅いし寝ないと...。

 寂しく思っていたら

「...それともみこちゃん、もっとしてもいい?」

「...だから、恥ずかしいから聞かないでくだ、んっ、」

 言い終わる前にベリアルさんからのキスが降りて来た。今度はちゅっちゅっと何度も唇を合わせた。

 ベリアルさんとの距離が縮まって恥ずかしいよりも満たされた気持ちでいっぱいになった。



 しばらくすると

「もうこれ以上は我慢できなくなるから、もう寝ましょうね」

「...はい」

 ドキドキし過ぎてぼーっとする。

「みこちゃん、ちゃんとするから待っていてね」

 何をって聞く前にベリアルさんからおでこにお休みのキスをされた。


 幸せでフワフワして、もう頭が働かなくて深く考えられなかった。


 私って単純。あんなに一人で悩んでたのに、ベリアルさんにぎゅってしてもらったら一気に嬉しさで心が満たされてしまった。

 しかも、キスしちゃったんだよね。きゃーっ!もうどうしよう、恥ずかしいけどすごく嬉しくて心がすごく暖かい、幸せ。


 恋愛ってまだよくわからないけど、ベリアルさんのことになると嬉しかったり、寂しかったり、ドキドキしたり、色々な感情が私を埋め尽くしていく、でも、いまはただ好きだって気持ちが溢れてくるの。だからベリアルさんにもっと近づきたいって思う。


恋愛部分って表現が難しかったです勉強になりました。


読んでいただいて少しでもキュンってしてもらえたら嬉しいです。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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