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レピアス国へ

出来るだけコンスタントに最新話を書きたいとは思っているのですが、なかなか難しいですね。

 旅の目的を果たした私達は、明日レピアス国へと帰ることになった。


 今回の旅は、私がどうしてもお米が欲しかったから無理を言って連れてきてもらったけれど、結果的に女神様のことがわかったから来てよかった。そう思うとオリュゾン国に来ることは必然だったのかもしれない。


 それに、私がこの世界に来たことすら決められていたのかな。

 ベリアルさんに出会えたことも、私がパンを作ることになったのも、ユリアと向き合うことになったのも、全て決まっていたことだったりするのかな。


 自分の意思で行動してきたことが実際は決められていたことだったとしたら、私が悩んできた今までの人生は何だったんだろう。


 考えても答えなんてでない。ただ、わかっていることはいま私は生きていて、たくさんの経験をして、色々なことを感じて、色々なことに気付けた。そして自分でも感じるくらいに成長することができたから素直に嬉しいと感じる。


 自分の中の小さな世界でひたすら他人と関わらないようにして自分を守ろうとしてきた。変わりたいって言いながらも、結局傷付くのが嫌で自分のことばっかりで、他人に嫌われないかだけを気にして、相手がどう思うか何て考えもしなかった。

 そのことに気付かせてくれたのもこの世界に来ることができたから。だから、たとえ決められていたとしても、やっぱりこの世界にくることができたことには感謝でしかない。


 やっぱりオリュゾン国に来れてよかったって思う。

 だから今日はオリュゾン国最後の日、思い残すこのとないようにしなくちゃ。



 ユリアと約束のケーキもちゃんと作った。何のケーキにしようか悩んだけれどガトーショコラを作ることにした。お店のガトーショコラはチョコ感がどうしても物足りない。スポンジも柔らかくてチョコレートケーキって感じのものが多くて、自分にぴったりのガトーショコラにはなかなか出会えなかった。

 今回作ったのは、チョコレートがスポンジ生地にぎゅっと詰まった濃厚なもの。甘さ控えめのホイップクリームを付けると、甘いんだけどさっぱり食べられる。


「んんっ、美味しいわ~!すごく濃厚で、チョコレートを食べてるみたい。だけどちゃんとケーキで、これすごく美味しいわ」

「ふふっ、よかった喜んでもらえて」

「美琴、明日には出発なんですのよね。すごく寂しいですわ。こんなに何でも話せる友達いまませんでしたもの。美琴には酷いことをたくさん言って傷つけてしまいましたけど、私は美琴に出会えて本当によかったですわ、ジルのもふもふにも最高に癒されましたしね」

「にゃふっ」

「ユリア、私もユリアに出会えてよかったよ、自分のダメなところユリアのおかげで気が付くことができたの。はっきり言ってくれる人なんていなかったから...ユリアと仲良くなることができて本当に嬉しかった、どうもありがとう」


「美琴、私いつか絶対にレピアス国へ行きますからね、そしたら毎日美琴の作るケーキ食べますわよ」

「うん、ぜひ来て!レピアス国の友達も紹介したいし、待ってるから」

「約束ですわ」

「うん約束」

 私達は指切りをして笑い合った。



 そして私とジルは、オリュゾン国の広い草原にもプレジールの種を植えた。明日出発前にジル、しかもライオンバージョンで女神様の遣いを演じる予定。


 こうして私たちのオリュゾン国への旅は終わりを遂げた。



 レピアス国への帰り道は、行きとは違ってパンを配る必要がないから時間もかからず順調に進んで行った。途中パンを配った人達が気づいてくれて手を振ってくれたのはすごく嬉しかった。

 

 ミルラちゃんに会う為にポタルの街にも寄った。たくさんの友達と元気に走って遊んでいたミルラちゃんの姿を見たマルクスさんは涙を流して喜んでいた。

 プレジールの木も、問題なく皆で美味しそうに分け合って食べていたし、しかも最近は実がなるのが早くなったみたいで食べられなくて困る人もいないみたい。


 マルクスさんに、このままポタルに残ってもいいと伝えたのだけど、最後までやり遂げると言ってくれたのでレピアス国まで一緒に旅を続けた。

 あのときマルクスさんに励ましてもらえて人に頼ることも必要なんだって思った、一人で何でもやれる、やらなきゃって気でいた、でも本当はたくさんの人がいるからこそ豊かに生活ができていてるんだよね。

 だから、ベリアルさんにも言われたけど、私って頑固みたいだから、いまは素直に人を頼れるようになれたらいいなって思ってる。


 そして、帰り路は何事もなく無事にレピアス国へ着くことができた。


 帰国したことと旅の報告の為、ベリアルさんは嫌々ながらゼファイルさん達とお城に行くことになった。私はその途中、護衛の皆さんと御者の人達にお礼を言って、マルクスさんもお店が開いたら来ますと言ってくれて、ベリアルさんには申し訳ないけれど先に家に帰らせてもらえた。



「あー疲れた~、久しぶりの家、嬉しい~落ち着く~」

 私は、帰るなりソファーに身体を沈ませた。

「にゃふ」

「わかってるけどゆっくりさせて~、この家に帰ってきたら安心して、やっぱり慣れた場所が落ち着く~」

「にゃー」

「ジル、私オリュゾン国に行けてよかったよ、たくさんの人に出会えてすごく楽しかった、たくさん経験できたし、たくさんのことに気付くことができたから。ジルにもたくさん感謝してるの、いつも私のこと守ってくれてどうもありがとうね」

「にゃおー」

 ジルに抱き着いて顔を埋める。ジルの体温を感じて目を閉じる、ちょうどいい温もり、あぁ癒される。




 そして、優しい手つきで頭を撫でられている、気持ちいい。

「...ベリアルさん、帰って来たんですか?」

「......」

「気持ちいい...」


「......プレディーネ、もうすぐだ...」




 目を開けると外は薄暗くなっていた。

 私ここで寝ちゃったんだ、ジルとベリアルさんは?

「みこちゃんただいま~、もう聞いてよお父様ったら、久しぶりに息子に会えたからってなかなか帰してもらえなくて困ったわよ」

「ベリアルさんお帰りなさい?あれ、いまお帰りですか?」

「そうよ、みこちゃんどうしたの?何かあった?」

「...あ、いえ大丈夫です。...夢でも見てたのかな...」

「そう?ならいいけど、やっと家に帰ってこられたわね、やっぱりここが落ち着くわ~」

「ふふっですよね。夕食食べますよね?」

「お願い、みこちゃんの手料理がまた毎日食べられる。嬉しいわ~」

「はい」


 さっき、確かに誰かに頭を撫でられてた気がしたんだけど...ベリアルさんじゃなかったんだよね。

 でも不思議と怖さは感じなかった。すごく愛おしく優しいく、それでいてすごく切なく感じた。


 そこにジルがやってきた。

「あ、ジル。ねぇ、さっきここに誰かいたりした?」

「...にゃー?」

「そうだよね、気のせい、なのかな...」



 はぁ、やっぱり使い慣れているキッチン落ち着くよ~。

 夕飯は早速、手に入れたお米でチキンドリア作った、久しぶりにベリアルさんが育てた野菜をたくさん使ってサラダも一緒に。

 

「みこちゃんがお米を食べたがった理由がよくわかったわ、色々な料理に合うしすごく美味しいわよね、明日早速、お米作り始めましょう」

「ほんとですか?そしたら定期的にご飯が食べられるんですね。嬉しすぎる、やったー!!」

「にゃー!!」

「みこちゃんもジルも、はしゃぎすぎよ、まだちゃんと育つかもわからないのに」

「いえ、ベリアルさんが育てるんですから絶対に大丈夫です」

「ふふっ信頼に応えられるように頑張らないとね」

「にゃお」

「ジルも力を貸してくれるの?それは頼もしいなっ、もう絶対に育つに決まってるね」



 ベリアルさんとの家に帰ってきて、またこの日常が始まるんだと思うと嬉しかった。

 オリュゾン国への旅も楽しかったけれど、いまの私にはベリアルさんとの生活が日常でとても落ち着く場所になっているんだって、今回離れてみてそれを確認することができた。


 私は目の前に座って夕食を食べているベリアルさんをチラッと見る。

 

 ドキドキする、綺麗ですごくかっこよくて直視するのが恥ずかしい。それに、見ているだけでも好きって気持ちが溢れてくる。いままでよくこんな人と一緒に普通に暮らせていたよね。私の気持ちが、ベリアルさんのことを想う気持ちが変わっただけでこんなにも違うなんて。

 どうしよう、旅の間は誰かしら一緒にいたし、二人きりになることあまりなかったから気付かなかったけど、ジルはいるけど二人きりなんだよね、緊張してきた。


「ねぇ、みこちゃん」

「ひゃいっ」


「ふふっ、みこちゃん、どうしたの?」

「はわわっ、かっこいいなって...」


 思わず思っていたことが口に出てしまった。

「あ、」


 ちょっと気まずくて、ベリアルさんの顔が見れなくて俯く。

「何?急に。ふふっ、みこちゃんもいつもすごく可愛いわよ」

「えっ」

 驚いて顔を上げた。

「あ、顔が赤くなったわ、ほんと可愛い。食べちゃいたいくらい」

「べ、ベリアルさん」

「あら、もっと赤くなった。みこちゃんそんな可愛い反応して私心配だわ、絶対に悪い人について行ったらだめよ?」

「ついて行ったりなんて、そんな子供扱いしないでくださいっ」

「じゃあ大人の扱いしてもいいのかしら?」

「えっ?」

 ベリアルさんが席を立って私に近づいてきた。

「えっと、ベリアルさん?」

 ベリアルさんが屈んで私の顔に近づいてきた、もうそんなに近づかれたらドキドキしすぎて心臓がもたないよ、ちょっと涙目になってきた。

 すると私の口元に手を伸ばしてきて人差し指で撫でられた。

「みこちゃん、口元にソース、ついてるわ」

 そうしてその指をベリアルさんが舐めとってしまう。色気が半端ない...。

「あ...」

「なーにキスされると思った?何なら、この間の続きする?」


 ボンっと頭から湯気が出た気がした。あ、もうダメ恥ずかし過ぎる~。

「ベッ...ベリアルさんの意地悪~っ。お、お風呂入ってきます」

 私は恥ずかしくてたまらず、その場から逃げるようにお風呂に向かった。


「あらあら意地悪し過ぎちゃった。何なのかしらあの可愛い生き物、どうしよう可愛すぎて止められない」



 変わったのはベリアルさんもだ、私がベリアルさんのことが好きだって気付いたときから、ベリアルさんも私に対してのスキンシップがレベルアップしている気がする。ううん、気がするじゃない絶対にそうだ。

 あれ、もしかして私、好きって気持ち外に出てるの?ダダ洩れなの?


 もしそうならベリアルさんの変化はなに?も、もしかして両想い、とか?いや~恥ずかし過ぎる。いやいや、そんなことあるわけないじゃない。だって私だよ?ベリアルさんはこの国の王子様だし、貴族のお嬢様とかが相手じゃないとダメだよね。それに、いままで気にしたことがなかったけど普通、婚約者とかいたりするよね。

 でもいまは私と一緒に住んでいるんだし、ベリアルさんがこれかも一緒でいいて言ってくれたんだし、嫌われてはいないと思うけど、私はベリアルさんにとってどういう存在なんだろう。からかって面白がって、飽きるまでの遊び相手?

 ううん、そんなことない。ベリアルさんはそんな人じゃない。私はベリアルさんのいいことも悪いこともちゃんと言ってくれるところ、一緒にいて安心できて優しいところに惹かれたんだから、そんな遊びとかするような人じゃない。


 好きって気付いたらベリアルさんの些細なことが気になる。でも知りたいけど知るのが怖い。

 好きって恋って難しい。

 好きって気持ちだけですごく幸せだけど、でもそれと同じくらい不安な気持ちも出てきた。


 また一人で考えてたら悪い方に考えちゃいそう、明日にでもリリーに相談してみよう。 


いつも読みに来てくださってありがとうございます。


ベリアルさんとの絡みは少しでもキュンを感じていただければ幸いです。

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