初めての感情
モヤモヤするみことちゃん。
今日はついにオリュゾン国に到着する、そしてこの旅の最大の目的であるお米がついに食べられる。わーい!
女神様ありがとーっ!私は空に向かって両手を上げた。
「みこちゃん何してるの出発するわよ」
「あ、はーい、今行きまーす」
オリュゾンに着くのをわくわくしながら、慣れた馬車に乗って景色を眺めている。
「美琴様ようやくオリュゾン国に着きますね」
「うん、すごく楽しみ~」
「はしゃいでいる美琴様とても愛らしい...」
手を握ってしまったことの罪悪感からかマルクスさんの言動は少しだけ落ち着いた。それに私も悩んでも仕方ないと諦めたら、あまり気にならなくなってきていた。
「ベリアルさん、どのぐらいでオリュゾンの国境に着きますか?」
「そうねぇお昼過ぎには着く予定かしらね」
「それなら、夕食にはお米料理が食べられますよね!普通に白米もいいけど、オムライスも食べたいな、ねジル、いまから楽しみだねぇ」
「にゃーう」
「みこちゃんのそんな顔見るの久しぶりね」
「作ってもらうのも楽なんですけどね、美味しいし。でも、やっぱり自分で料理したいなって、最近はパンしか作っていなかったので物足りないと言うか」
「私も、みこちゃんが作る料理が食べられないのもう流石に辛いわ~ケーキ食べたい!」
「美琴様が作る手料理きっと美味しいんでしょうね。私もぜひ食べてみたいです」
「マルクスさん、私、この旅が終わったらお店開くので、よかったらミルラちゃんと一緒に食べに来てくださいね」
「ぜひ!必ず行かせてもらいます」
オリュゾンで料理することができるならみんなにお礼を兼ねて何か作りたいな。
私がニヤニヤと一人妄想に入っていると急に馬車のスピードが落ちたと思ったら、女性の嫌がる声が聞こえてきた。
「触らないでよ、離してっ!」
「大人しくついて来てください」
「嫌だって言っているでしょ!」
「えっ誘拐?!」
「何か事件に巻き込まれているのかしらね、話を聞いてくるわ。事件なら助けないと...」
すると馬車を止めてベリアルさんがすぐさま降りて行ってしまった。気になった私も後を追うように降りる。
「ちょっと彼女、嫌がっているみたいだけど...」
声を掛けたベリアルさんに気付いた女性はベリアルさんの腕に手を回して、男の人達から逃げて隠れるようにしてベリアルさんの背に身体をくっつけた。
それを見た私は胸がモヤっとした。そんなに身体付ける必要ある?
ゼファイルさん達も馬車から降りてきた。
「ユリア王女、どうか城にお戻りください」
王女様!?何でこんなところにいるの?
「いやよ、お城にいても楽しくないもの、それに、誰も私を必要としてないじゃない」
「そんなことないですよ。わがまま言わないでください、国王様も心配致しますよ」
「お父様なんて...そんなわけないじゃない!」
ベリアルさんを挟んで続くやり取りの様子を伺っていたベリアルさんが口を開いた。
「揉めているところ申し訳ありません。私、レピアス国第二王子ベリアル・レピアスと申します。お初にお目にかかります、オリュゾン国第一王女・ユリア王女様。私共これからオリュゾン国に入国するところなのですが、よろしければご一緒していただけませんか?」
ベリアルさんは王子様らしい笑みでユリア王女様に微笑んでいる。
そして、ゼファイルさんがレピアス国王直筆の書状を男性達に見せた。
「レピアス国ですって?」
「はい、いままでオリュゾン国とレピアス国とは交流が全くありませんでしたのでこれを機にご縁があれば嬉しいのですが」
私はベリアルさんとユリア王女様との距離にモヤモヤしながら二人の様子を見ていた。
ユリア王女は私のことを見た。ドキッとする。
「彼女は?侍女かなにかでして?」
「彼女は美琴といって。、私の大切な友人でございます」
「友人ね...わかったわ。私がお城まで案内してあげるわ」
「ユリア王女様の寛大さに感謝致します」
女王様がお城に戻ることになってお付きの人達がとても喜んでお礼を言われた。
それはいいのだけれど、王女様はベリアルさんの腕に自分の腕を絡ませて身体をくっつけたまま私達の馬車に乗ってきてしまった。
王子様と王女様でこの距離間、大丈夫なの?って思ったけれど、注意するでもなく、むしろ王女様をよろしくお願いいたしますと言われてしまった。
ずっと私はベリアルさんの隣に座っていたのだけど、いま私の目の前にはユリア王女様がベリアルさんに身体を寄り添って座っている。
何これ、何なの?すっごくモヤモヤする。
「美琴様、こんな街道で王女様に出会うとは、すごい偶然ですね」
「...そうですね」
つい感じの悪い返事になってしまった。
美琴の様子を見ていた王女様がにこっと笑って、さらにベリアルさんに身体を寄せた。
(もう、隙間ないのに、それ以上くっついてどうするのよ...)
「ベリアル様はどうしてオリュゾン国に来られるんですの?」
「オリュゾン国にあるお米を買い付けにきたんだよ。それに、出来ればお米の育て方を教えていただける方を探すのが目的ですね」
「まあお米ですか、あれは庶民が食べるもので、私達王宮の者は口にはしてませんのよ、ベリアル様の口に合うとおは思えませんわ」
「そうなのですか?それなら尚更興味が沸いてきますね、私は自分で野菜も育てているので、国民に食べてもらえるものなら嬉しいですね」
「ベリアル様そのお考えとても素敵ですわ」
相手は王女様だから仕方ないけれどベリアルさんの話し方がいつもと違くて何だか遠い人に感じる。
私は二人の会話を聞いているのが嫌で、この場から逃げたい気持ちでいっぱいになっていった。せめて、二人を見なくて済むようにずっと窓から外を眺めていたけれど、王女様がそんな私を見てほくそ笑んでいることには気が付いていなかった。
皆さま毎日お疲れ様です。
そんな中、今日も読んでいただいてありがとうございます。




