2本目のプレジールの木
マルクスさん信仰心強かったw
ポタルの街の宿に泊まった早朝、プレジールが気になってジルと一緒に草原に向かった。
「すごい...ジル、ちゃんとプレジール育ったね」
「にゃっ」
ジルは木に登って行った。そして丁度いい枝の上で止まって前と同じくジルの身体はキラキラを光輝いていく。
「何度見ても綺麗...」
しばらくすると光が収まってジルが戻ってきた。
「お帰り、ジル綺麗だった」
「にゃん」
「早速、朝早いけど、プレジールの実を持って、マルクスさんの家行ってみようか」
昨日はマルクスさんはミルラちゃんのことが心配だから一緒の宿には泊まらずに家にいることになった。
「おはようございます、朝早くにごめんなさい。あのミルラちゃんの具合どうですか?」
「あ、美琴さんおはようございます、私も起きていたので大丈夫ですよ。あれからミルラもうなされることもなく眠っています」
「それはよかったです。あのそれでこれをミルラちゃんに食べてもらいたくて持ってきたんですけど」
私はプレジールの実を差し出す。
「美琴さん!!これはプレジールじゃないですか、プレジールは枯れてしまってどこにもないはずなのに、これ、どうしたんですか?」
「それは...私が、昨日プレジールの種を植えて今朝収穫したものです。とにかくいまはミルラちゃんに食べてもらうことの方が先です」
私はマルクスさんの家でまず台所を借りてプレジールを食べやすい大きさに切ってからミルラちゃんの寝ている部屋へと向かった。
「ん、お義父さん?」
「ミルラ起きたのかい?どうだい調子は?」
「うん、あんなに苦しかったのにいまは大分楽になったよ」
「ミルラちゃん、私、みことって言うの、はじめまして。ミルラちゃんに美味しい果物持ってきたんだよ、よかったらこれ食べてもらえる?」
「みことちゃん?嬉しいな喉、乾いてたから果物食べたい」
「よかった。起き上がれる?」
ミルラちゃんを支えながら起こして背中にクッションを入れてあげる。
プレジールが乗ったお皿を渡して、ミルラちゃんが食べるのを見守る。
「ん、なにこの果物すごく美味しいよ、前にも食べたことがある気がするけど、それよりももっと美味しい」
始めは少しづつ口にしていたけれど、美味しかったみたいでどんどん食べてあっという間に食べきってしまった。
「みことちゃんどうもありがとう、すごく美味しかったよ。あれ?何だか身体が変だよ」
ミルラちゃんは身体に違和感を感じてベッドから降りた。
「ミルラ急に動いて危ないよ!」
慌てるマルクスさんをよそに、その場で足ふみをしたりジャンプをしてみたり、身体を動かし始めるミルラちゃん。
「お義父さん、すごいよ身体が辛くないの、たくさん動かしても苦しくならないし、すっごく身体が軽いの」
ミルラちゃんは体調がよくなったことが嬉しくて部屋中あちこち動き回っている。
「あぁミルラよかった、本当によかった」
マルクスさんはミルラちゃんが元気に動き回っていることに感動し、膝をついて泣いている。
ミルラちゃんが元気になったのを見ることができて、やっぱりプレジールの種を植えたのは間違いじゃないって思った。よかった~
「美琴さん本当にありがとうございます、ミルラのことを助けてくれて。美琴さん、いえ美琴様、あなたは私達の命の恩人です。それなのに私はあなた方を裏切って、危ない目に合わせてしまいました。大変申し訳ございません、私の犯した罪はどんな形でも償います、私が出来ることなら何でも致しますのでお許しください」
いきなりマルクスさんが土下座をして泣きながら謝罪をしてきた。
「あ、マルクスさんそんな、私はそんな何も...お礼ならジルに言ってください。ジルがプレジールを植えるって言ってくれたので、私もそうしたいって思ったからそうしただけで...」
「ジル様もありがとうございます。お二人は私達の命の恩人です」
「にゃー」
ジルは満足げな顔をしている。
「お義父さん?どうしたの?何で泣いているの?」
父親の様子に気付いてミルラちゃんが聞いてきた。
「ミルラ、ミルラが元気になったのはこのお二人のおかげなんだ。でもお義父さんは悪いことをしてしまった。だからお義父さんはどんなことをしてもお二人に恩返しをしないといけないんだよ」
「みことちゃんと猫ちゃんが私を助けてくれたの?どうもありがとう!でも、お義父さんがいけないことしたならミルラも謝るだから許してください。ごめんなさい」
「ミルラちゃん...」
「みこちゃん、やっぱりここにいたのね」
「あ、ベリアルさんおはようございます。ごめんなさい、どうしてもミルラちゃんのことが気になっちゃって」
「まあそんなことだと思ったわよ、元気になったのね」
「そうなんです。プレジールも無事に育って実もたくさん生りました」
「ベリアル様、今回のこと本当に申し訳ありませんでした。私はどんな罰でも受けますので、本当に申し訳ありませんでした」
「そうね、みこちゃんを危険な目に合わせたことは本当に許せないのだけど、みこちゃん、あなたはどうしたい?警備隊、騎士団でもいいわよ、差し出す?」
「あ、あの私は、ベリアルさんが私のこと守ってくれたし、特に被害も出なかったからマルクスさんのこと責めたりしようとは思ってません。それよりもサバナ国の人達に誤解させてしまったことが申し訳なくて...」
「ですってよかったわね。みこちゃんならそう言うと思っていたわよ、何かあると自分を責めちゃうのよね、みこちゃんは。ほんとお人好しよね」
「そんなことないですよ。ちゃんと怒ったりもしますよ」
「あらそうよね、意外に頑固だしね」
「もうベリアルさん!」
こうして笑い合っているうちに、昨日のやるせない気持ちも少しづづ晴れていくのを感じた。
「でも、マルクスさんは、この先オリュゾンには行かないでミルラちゃんと一緒にいた方がいいと思うんです」
「美琴様...私達親子のことを考えてくださってありがとうございます、ただ...」
マルクスさんがミルラちゃんを見つめた。
「お義父さん!ミルラはもう大丈夫だからお仕事最後までしてきて。みことちゃん私はもう大丈夫だからお義父さんにお仕事最後までさせてあげてください、お義父さんのことお願いします」
「ミルラ、ありがとう。お義父さん、今度こそ美琴様をお守りして自分なりに罪を償ってくるよ。だからそれまで待っていてくれるか?ちゃんと帰って来るって約束する」
「うん絶対に約束だからね」
「美琴様、美琴様は私達親子の命の恩人、この先の旅、私が美琴様を絶対に危険な目には合わせないと約束します。どうか私も美琴様と一緒にいることをお許し下さい」
「マルクスさん、それじゃあこれからもよろしくお願いします。ただそんなかしこまらなくても今まで通りで大丈夫ですよ」
「いえ、私は美琴様を敬愛しておりますので」
「敬愛って...」
「...」
ん?ベリアルさんが纏う空気が変わった気が...気のせい?
「ベリアルさん、どうかしました?」
「ん?何がかしら?さて宿に戻って出発の準備しましょう」
ベリアルさんの笑顔、どことなく不自然なような...そして、私の肩を掴んで宿に行くように急かした。
「あ、美琴様は私がお連れしますよ」
「マルクスはミルラちゃんと、お母様とのしばしのお別れをちゃんとしてから来てくれればいいわよ、ほらみこちゃん行くわよ」
「あ、はい」
何だか不穏な空気漂うベリアルさんと一緒に宿へと向かった。
宿に戻るとゼファイルさんが出迎えてくれた。
「美琴さん、無事でよかったです」
「あ、ごめんなさいご心配おかけました」
「いえ、ベリアル様がきっとマルクスさんの家だとおっしゃていたので、その様子だとミルラさんは元気になられたんですね」
「はい、もう大丈夫です。ただ」
「プレジールの木ですよね?ベリアル様から伺っております。今日私達はここを離れるので、何もしない状態で離れていいものなのかどうか...」
「それなんですけど、ちょっと考えがあって...」
私達は旅の支度を整えてから草原へとやってきた。
案の定、プレジールの木がいきなり立っていることに動揺している街の人達で溢れていた。
すると、そこに黄金に光り輝く猫が木の上に現れた。
「サバナ国の民よ、このプレジールの木は女神様からの贈り物。みなも知っての通りプレジールは人々を癒すことできる力を宿す不思議な実、その力を独占しようとしたり、自らの利益の為に使うことがないように願う。もしもそのようなことをすればたちまちこの木はまた枯れてしまうであろう。そなた達、民がお互いのことを想い合ってこのプレジールの実を使うことを女神様は望んでおられる。そのことをしかと心に刻むよう切に願う」
そして光が眩しいくらいに強く輝いたと思ったら猫の姿が消えていた。
一瞬静まり返る人々
「おぉ女神様がプレジールを授けてくださった。猫様のお言葉心に刻みました」
「女神様の遣いのお方が現れた、ありがとうございます。大事に致します」
「プレジール、また食べることができるのね、みんな猫様の言うことちゃんと聞いたわね、枯れることのないよう、聞いてない人達にも伝えないと...」
「そうだな、みんなまずは家族に伝えるんだ」
など人々が口にしながら、みんな喜んでいる。
「ジルお疲れ様。ありがとうね」
「にゃーん!」
「美琴さんお見事でございます」
「みこちゃん、流石ね」
「へへっありがとうございます。とりあえずは、これでプレジールを悪意を持って使われることはないと思いますが、あとはこの国の人達を信じるしかないですね」
「あぁ美琴様、ジル様、あなた方は女神様の遣いだったんですね。いえ私にとっては女神様も同然、私はどこまでもあなた方について行きます」
「ちょっとマルクスさん、お願いですからほんといままで通りで、普通に接してください」
「謙虚なところもまた素敵です」
「ちっ...」
(いま何か舌打ち?のようなものが聞こえたけれど...)
ベリアルさんと目が合うと笑顔で頭を撫でられた。
(...うん、気のせいだよね)
マルクスさんには何度言っても態度を変えてもらえなかった。何でこうなっちゃったんだろう、違う意味で心配になる旅がまた始まった。
引き続き読んでいただきありがとうございます。




