旅立ち。
そして、今日私はオリュゾンに向けて旅立つ。
オリュゾンはここから馬車で早くても2週間はかかるらしい。無理をすると馬に負担がかかるからのんびりまったりの旅になる。道順はサバナ国を通ってオリュゾン国へ行くことになる。途中色々な街にも立ち寄っていくことになり、その土地の料理も食べられると思うと楽しみだったりする。
パンもたくさん用意した。それと途中パン焼けるように天然酵母も持っていく。あと、クッキーにジャムも。そして、プレジールの種も一応持って行くことにした。植えることができるかわからないけれど、もしも持っていったもの全て使ってしまってもプレジールが育ってくれれば、行く先でまた酵母も作ることが出来るし、その街の人に食べてもらうこともできるから。
実のところ私がオリュゾンに行きたいってベリアルさん達に話した時、最初は反対されてしまった。
「みこちゃん、今なんて?」
「だから、私オリュゾン国に行きたいんです」
ベリアルさんとゼファイルさんは顔を見合わせてため息をついた。
「美琴さん、オリュゾン国は、間にサバナ国を挟んだ先の国、ここレピアスから馬車で2週間以上かけていく国になります。それにレピアスとオリュゾンとは交流が全くないので、美琴さんをそのような国に行かせるのは正直オススメはできません」
「そうよ、そもそも何でオリュゾンに行きたいだなんて思ったの?」
「私、ご飯が食べたいんです。白いお米。マリーに聞いたらオリュゾンにあるって教えてもらったので、それなら行きたいと思ったんです」
ベリアルさんとゼファイルさんがマリーを見た。
「えっと、あれ、私何かまずいこと言った...のかな?」
「マリーそんなことないよ、マリーが教えてくれたから、やっと私はお米が食べられるんだから、ずっとご飯が食べたかったの...だからマリーが教えてくれなくても私はオリュゾン国のこときっと調べてたはず」
私がお米欲しがったのに、マリーが責められるのはおかしいもの。
「お米、それなら私が商人から取り寄せるから、それでいいでしょ?わざわざ、みこちゃんがオリュゾン国に行く必要はないわ、ゼファイルお願いね」
「かしこまりました。手配いたします」
私すごくわがまま言っているのはわかるけど、初めてここに来て自分の意見が頭から拒否されたことがすごくショックだった。勝手だけどベリアルさんならいいわよって言ってもらえると思っていたから。
「...」
「みこちゃん?」
「...わかりました。それならゼファイルさん、これから王宮に一緒に連れて行ってもらってもいいですか?」
「構いませんが、美琴さんどうされました?」
「ご迷惑だとは思いますが、国王様にお願いしてみます」
「みこちゃん、そんな...何でそんなにもオリュゾン国にこだわるの?」
オリュゾン国...お米が欲しいのは本当だけど、マリーから聞いてからオリュゾン国のことが、どうしても気になって直接行かないといけない気がする。何でなのかははっきり説明はできないけどそう感じるの。
だからかな、拒否されたことでベリアルさんに対して何だかイライラしてしまう。
「...行かないといけない気がするんです。ベリアルさんには迷惑かけませんので、ゼファイルさん、王宮に連れて行ってください」
自分に振られてゼファイルさんが動揺しているのがわかる。ベリアルさんの方を見てから
「...わかりました。美琴さんのお願いでしたら国王様から出来るだけ叶えるように言われているので王宮にお連れしますね」
「すみません、よろしくお願いします」
王様にお願いしたら、他国に癒しのパンを普及していくついでに連れて行ってもらえるかもしれない、他に頼れる人いないし、ダメなら今日作ったジャムとクッキーと交換で説得してみれば...
「みこちゃん、わかったわ。私が協力するわ」
「ベリアルさん...いいんですか?」
「よくないけど、だって、みこちゃんにそんな顔させちゃったし...それに私はみこちゃんのこと応援するって約束したのにね、ごめんなさい。言い訳させてもらえるなら、みこちゃんに危ない目にはあってほしくなかっただけで、でも、それも私の勝手な言い分よね」
「私、ベリアルさんなら絶対にいいわよって言ってもらえるって勝手に思っちゃって。私のわがままでごめんなさい、迷惑かけることになるのはわかってますが、でもやっぱりどうしてもオリュゾン国に行きたいんです」
「みこちゃんの気持ちはわかったわ。本当に強くなったわね、こんなにもはっきり自分の気持ち言えるようになって。出会ったときは気弱で一生懸命に頑張って自分の気持ち伝えようしてたけど、いま迷いが見えないもの。決めたことは突き進む、こんなにも成長しているみこちゃんの道を止めようとして応援するだなんてどの口が言えるのって話よね、失礼だったわ本当にごめんなさい」
「ベリアルさん...ごめんなさい。本当にありがとうございます」
気持ちが伝わったことがすごく嬉しい。
「でも条件があるの、私も一緒にいくわ、離れて心配するより一緒にいた方がいいもの」
「えっベリアルさんも一緒に行ってくれるんですか?すごく嬉しいけど、それこそ王子様が危険かもしれない旅に出るのはまずいんじゃ...」
「みこちゃんがいない間、みこちゃんが作った料理食べられないなんて、そんなの嫌よ。それにお米を手に入れても、食べたらなくなってしまうのよ、それなら私が一緒に行って育て方を教わって、このレピアスでも作ればいいわ」
そうだ、ベリアルさんの畑の野菜はみんなすごく美味しいし元気に育っているんだから、お米もベリアルさんに作ってもらえたら美味しいお米が育つんじゃないの!?
炊き立てのふっくらご飯に沢庵とお味噌汁。更に香ばしく焼いた塩鮭、あと厚焼きだし巻き卵、ほうれん草の胡麻和えに緑茶。あぁ素敵、最高。
「みこちゃん、私のこと心配してくれたわりに顔がにやけているわよ」
「はうっ」
みんなに言われてから気にしてたのに食べ物のこと考え出すとどうしても顔に出ちゃう。
「ふふっじゃあ決まりね。ゼファイル王宮に戻ったらこのことを父に伝えてくれるかしら、あと腕の立つ信頼できる護衛も必要ね、準備が出来次第すぐにでもオリュゾンに向かうわ」
「かしこまりました、人員の方もこちらで揃えますのでお二人は旅の準備をしておいてください」
そんな感じでオリュゾン国に行けることになった。
正直ベリアルさんが一緒に来てくれるのはすごく嬉しい。オリュゾンに行くのに不安がないと言えば嘘になる、だけど何でかな大丈夫だって、それどころか行かないと行けないって強く思うんだよね。
「ジル、ついにオリュゾンに行けるよ、楽しみだね」
「にゃんにゃん」
ジルもオリュゾン国に行くのが楽しみみたい。ジルもお米が楽しみなのかも。
今日も読みに来ていただいて、どうもありがとうございます。




