ご褒美
「それで~ベリアルちゃん、ずっと気になってたんだけど、その可愛らしい子は?ベリアルちゃんの恋人かしら?えぇお母様寂しい~」
えっ私、恋人って
「えっこ恋人なんて、そんなんじゃ...」
「お母様、私のこと一体いくつだと思っているの?もう27歳になるのよ、いい加減子離れしてちょうだい。この子は美琴。あの癒しのパンを作ってくれたのよ」
えっベリアルさん恋人ってとこ何で否定しないの。
「あ、あの、初めまして、私、佐伯美琴と申します。ベリアルさんには大変お世話になっております。でも決して恋人ではないので安心してください」
「あらそうなの?残念ねぇ、こんなに可愛い子ならお嫁さんに来てほしかったのに」
「お、お嫁さん、えっ、そんなっ」
「あら、ホントに可愛いっ。それにしても、あの癒しのパン、ほんと美味しかったわ~」
「でしょ。みこちゃんの作る料理はどれも最高なのよ。食べると幸せな気持ちになれちゃうの」
「あら、是非食べてみたいわね」
あわあわ、何をどう話せばいいの~
「そなたがあのパンを、それじゃああのジュースを作ったのもそなたが?」
ダメージが大きくて項垂れてた王様が復活した。
「あ、はいそうです」
「それであのジュースには何が入っている?」
やっぱり気になるよね、私はベリアルさんを見ると目が合って大丈夫と頷いてくれた。
「あのジュースにはベリアルさんが一生懸命に育てた野菜と果物と、それにプレジールが入っています」
「やはり...」
「まぁプレジールなのねぇ」
その後、私はこの世界にアインスさんを通じて来たこと、ベリアルさんと出会って家に住まわせてもらっていること、ジルと出会ってプレジールを見つけたことなど、私の説明で足りないところはベリアルさんが話してくれて、いままでのことを全て話した。
王様と王妃様は話を聞いて驚いていた。ジルのことを紹介すると何か感じるものがあったのか素晴らしいと感動していた。
そして王様は深刻に色々考えている様子。それにひきかえ王妃様は何故だかすごく楽しそうにしている。
「美琴と言ったな、まずは私を含め国の人々を救ってくれたこと感謝いたす。そして上の息子のせいでこの世界に呼んでしまったこと大変申し訳ない」
お礼と謝罪で頭を下げられてしまった。
「あ、あの頭を上げてください!そもそもアインスさんがこの世界に呼んでくれなかったら私はきっと死んでいたので、いまはこの世界に来られたこととても感謝しているんです。それにパンも自分がやりたくてやった結果、みんなを救えただけなんです。それにみんなが癒されて元に戻ったことは私もすごく嬉しいですから」
「そう言ってもらえると助かる。だが、それでも美琴には何か褒美をやらねばならない、何か望むものはあるか?国を救ってもらったのだ、それ相応の褒美を与える」
「ご褒美ですか?」
「そなたは、欲しいものや、これからやりたいことなどはないのか?何でも言ってよいぞ、それほどのことをしたのだから」
私のやりたいこと...。
「美琴の今後の生活のことも考えねばなるまい。家と爵位を与えるのもいいかもしれないな、貴族としての方がそなたを守りやすくもなる」
「えっ、爵位って、あの私は元の世界ではごくごく普通の一般市民だったのでそれは...あのそれなら、もしわがままを言ってもいいのなら、私はこれから自分のお店を開きたいと考えています。癒しのパンでたくさんの人を救えて、美味しいって食べてもらえてすごく嬉しかったんです。だからこの先もっと私の作った料理でみんなを笑顔にできたら幸せだなって思いました。なので、出来ればその想いを実現する為に協力していただくことはできますか?」
私は素直に自分の気持ちを言葉にした。決めたことを話すのはドキドキしたけど、言葉にしてみて自分の中で何かがすとんっと落ちた感じがした。
私の横でベリアルさんが少し焦っているのを感じた。
「みこちゃん、私そんなの聞いてないわ...」
ベリアルさんが悲しそうな顔をしている。あ、ベリアルさんにはたくさんお世話になったのにこんな形で気持ちを伝えることになってしまった。私、失敗しちゃった...
「あのごめんなさい、昨日の夜にやっと自分の気持ちに整理ができたので、ベリアルさんには今朝話をしようと思っていたんですけど、急に王宮に行くことになってしまって、緊張してすっかり忘れてました。ベリアルさんにはちゃんと話聞いてもらいたかったのに、前もって相談できなくて、本当にごめんなさい」
「みこちゃん...」
「そなたの想いとても強く感じる。よく考えてのことだろう、もちろん全面的に協力させてもらおう」
「私もみことちゃんのお料理ぜひ食べてみたいわ」
「早速街の空いている土地を調べさせよう、ゼファイルなら美琴も見知っているし、アイツは仕事ができるからな頼りにするといい」
「ちょっと待って!!」
話がどんどん進んでいくなか、ベリアルさんが声をあげる。
「みこちゃん、そうよお店、私のあの家でお店やればいいのよ!!そうしましょう。居住スペースとは別れているし広さも十分にあるわ。台所もみこちゃんだって使い慣れているし、それにプレジールの木だってあるのよ。何よりお母様が用意してくださったあの場所は護りの力がとても強いから安心だし、ね、みこちゃんそうしましょ」
ベリアルさん何だか焦ってる?早口にまくし立てている。
「あの、このまま私があの家にいても、ベリアルさんの迷惑にはならないですか?」
「迷惑なわけないじゃない、それともみこちゃんは私と一緒にいるのが嫌だったりするの?」
ベリアルさんが寂しそうな顔する。
「そんなことないです!私ベリアルさんのこと好きです。これからも一緒にいてもいいなら、ぜひお願いしたいです」
「好き...」
あ、つい勢いで。
「あ、あのえっと、人としてというか...何と言うか」
「ふふっありがとう。私もみこちゃんが好きよ。だからこれからも一緒にいましょ」
「はいっこれからもよろしくお願いします」
「そういうことだから、みこちゃんのことはこれからも私が一緒にいるから大丈夫よ」
「...わかった、美琴のことはベリアルに任せるとしよう」
「あらあらベリアルちゃん、だからそのドレス...そうゆうことなのね。わかったわ、それじゃあ必要なものはこちらの方で用意するから何かあれば言ってちょうだいね」
王妃様はベリアルさんの言葉を聞いた後、私のドレスを見て何か思ったみたいで納得している。結局、いままでと同じくあの家にいられるってことだよね。
「あ、あのありがとうございます。私のわがままを聞いてくださって」
「みこちゃん、わがままじゃないでしょ。やりたいって思ったなら出来る限りやってみましょ。後悔しないようにね」
ベリアルさんが笑顔でそう言ってくれた。
「はいっ!ありがとうございます」
「おっほん、あのなんだ、お店が開いたらぜひ行かせてもらう。それと、またベリアルと一緒に王宮にも顔を出してもらえるとありがたい」
「そうよ、ベリアルちゃんまたみことちゃんと来てよね、みことちゃんベリアルちゃんのことよろしくね」
「あ、はいこちらこそよろしくお願いします」
思いがけずお店をやりたいことを話しちゃったけど、あの家でお店ができることになったのはすごく嬉しい。ベリアルさんとの生活もこのまま続けられるしよかった~。
それにすごく緊張したけど、王様も王妃様も話しやすい人で安心した。王様と王妃様の力関係にちょっと驚いちゃったけど、でも歳をとっても相思相愛な姿を見て羨ましく思ってしまった。
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