一人さ迷う森の中
そして私は、いま暗い森の中に一人立っております。
何なの――――っ勝手に呼んでおいて森に放置とかありえない!
と言っても私、アインスさんにここの世界に呼ばれなかったら確実にあの世行きだったんだから、感謝しないといけない?すごく複雑...。
はあぁ、それにしても今日は何て日なの、色々あり過ぎて頭の整理が追い付かない...
一番信じられないのが異世界召喚だよね。小説の中だけの話だと思ってたけど、まさか自分が体験することになるなんて。いまだに現実だと思えないもの。
でも、あのアインスって人、すごく辛そうな顔してた。いまにも泣き出しそうなくらいに。きっとそれだけ辛い人生を送ってきたのかな...気にはなるけど世界に終止符って、具体的に何をすればいいのかわからないけど協力したいと思えなかった。何より異世界人のエネルギーって言われても私にそんな大層な力あるとは思えないし。
とにかくだ、ここが異世界だって言うならこの先どうしよう。獰猛な動物とかいるのかな?夜の森は危ないだろうけど、このままここにいるのもなー。
グ――――――――ッ
あ、お腹空いた。こんな時でもお腹空くんだ。
うん、大丈夫だ私、ちゃんと生きてる。家族に会えないのは寂しいし、仕事も今までの生活も全部なくなったけど、一度死にかけた今の私なら何でもできる気がする。不安がないわけじゃないけど、今日色々あって、私だって変わっていけるんだって思えたから、逆にこの状況にワクワクしてるかも。
色々考えても仕方ないし、いまはできることをするしかないよね。まずは、やっぱりこんな森にずっと一人でいるわけにもいかないし、とりあえずこのまま先に進んでみようかな、何か食べる物もあるかもしれないし。
はぁ、はぁ、一時間くらいは歩いたかなー、禁断の森とか言ってたから危険な森かと思ってたけど、何も危ないことは起きていない。小動物はいるみたいだから大きな動物は近くにはいなそうだし大丈夫みたい。でももう流石にお腹が空いたよぅ~
お腹の空きが限界になりそうなとき、目の前に小さな猫?かな。手のひらサイズの金色の毛をした動物が突然現れた。
「にゃー」
可愛いぃ~!可愛すぎる!!
「にゃーにゃー」
あれ、呼ばれてる?何となくそんな感じがして、とりあえず猫ちゃんの後を付いて行く。
「にゃー」
着いた先には大きな木に、真っ赤なリンゴのような実がなっていた。
「あなた、この実を私に教えてくれようとしたの?」
「にゃぅん」
「そっか、ありがと~!」
早速、実を取ってそのまま一口食べてみる...
「ん、んまあぁ――――い!!」
何これ、何なの!甘いのにさっぱりしていて、こんなに美味しい果物食べたことないよ。美味しすぎる!
あぁこの実を使ってフルーツタルト作りたい、絶対に美味しいに決まってる。あーケーキ作りたい!
美味しすぎてあっという間に食べてしまった。猫ちゃんにも取ってあげると、にゃん!と言って上手に食べる姿に癒される。
すると猫ちゃんは食べ終わるなり、にゃん!と私の首に長いしっぽを巻き付けて肩の上に収まった。
本当は警戒しないといけないんだろうけど、正直、知らない場所に独りぼっちで歩き続けて寂しかった。だから、この小さな温もりが心を温めてくれて嬉しくて安心してしまった。
それにこの子からは何となくだけど悪い感じがしなかったから。
お腹も満たして、不思議と元気が出てきた私は、ジャケットを風呂敷代わりにして、持てるだけ実を持って更に進み始めた。
更に進んだ先に広大な草原が見えてきた。
そこに足を踏み入れると、ぶわぁっと何か抜けるような感覚がして、何だか身体が軽くなったような気がした。
草原を見渡すと1軒の建物が見える。嬉しくて駆け足で建物の前まで行くと、3階建ての可愛らしいデザインのツリーハウスだ。入り口にはたくさんの花畑に脇にはブランコまでもある。可愛すぎる~。
「よかったー、家だ。これで助かったー」
そして安心して気が抜けたのか身体がふらっとして私はそのまま意識を失ってしまった。
3話目も読んでくださりどうもありがとうございます。




