次にやりたいことは何?
「みこと、お疲れさま。お父さんを元に戻してくれただけでなく、この国の全ての人を救っちゃうんだもん、癒しのパンすごいよね~すごく美味しいし、注文もすごいよ」
「えへっありがとう。私も街がこんなにも賑わっていて活気が溢れている人達を見ることができて本当に嬉しいよ。パンもみんなに喜んで食べてもらえて嬉しいっ」
色々と落ち着いたところで、今日はリリーの所にベイクドチーズケーキを持って久しぶりに遊びに来ている。
お天気もいいからお店の外にテーブルとイスを出して、街を見ながらのんびりとお茶をしながらリリーとの会話を楽しんでいた。ジルはケーキを食べるなり、気持ちよさそうに椅子の上で寝ている。
「うん、みんな前より元気になっちゃって、これから頑張っていこうってみんな張り切ってるよ。それもこれもみーんな、みことのおかげ、本当にありがとうね」
「えへへっありがとう、ちょっと照れるね」
私はケーキを食べながら、街の人達を見て思う
「みんなもこれからのこと考えてるんだね...」
「ん?どうしたの?」
「私ね、みんなの為に頑張ろうって目的があったらからそれにひたすら向かってきたけど、癒しのパンがうまくいって、あとのことは国が絡んでいるから王宮の人達がどうにかしていくみたいなの。いまではリリーがパンの注文取ってくれているからやることあるけれど、私の次の目標?やりたいことが何なのかまだわからなくて、いまはまだベリアルさんの所でお手伝いをしながら住まわせてもらっているけど、このままでいいのかな~って考えちゃって」
「ベリアルさんは何て?」
「特には、まだ何も話してないし」
「家のこともあるなら、それはまずベリアルさんに話した方がいいんじゃないの?」
「やっぱりそう思う?」
「言いづらい気持ちはわかるけどね」
リリーが意味深に笑う。
なんだろう?でも、そうだよね...でもでもベリアルさんには何となく言えなくて。何か新しく始めたい気持ちもあるけど、ベリアルさんとの生活が終わってしまうかもしれない気持ちもある...自分のことなのに何だかモヤモヤしてわからない。
やりたいことをみつけないと先に進めない気もするし...
「うーん、みことはやりたいこと何かないの?」
「やりたいこと...ねぇリリーは何でこのお店開いたの?」
「私はやっぱり洋服が好きだからかなぁ~何かをやるのって好きな気持ちだけで充分始める理由になると思うけどな、まあ私は後先考えずなところあるし、みことはたくさん悩んでみたらいいよ」
「好きな気持ちで充分か...」
料理を仕事に出来たら素敵だけど、好きなだけで動くには私にはちょっと不安かもしれない。いまのところ、この世界で頼れるのはベリアルさんだけだし、失敗したら迷惑が掛かっちゃうよね。
このままお世話になってるのも申し訳ないから自立できたらって思うのに、それすらも迷惑がかかると思うとなかなか前に進めなかったりする。
「んん~っこのチーズケーキも美味しい~っ」
リリーが幸せそうにチーズケーキを食べている。
自分の作ったケーキを食べて幸せそうにしている姿を見ることに喜びを感じる。
「でしょでしょ、シュワ~ってとろけるスフレチーズケーキも、プルンっとしたレアチーズケーキも美味しいけど、私はチーズケーキはやっぱり固く焼いたベイクドチーズケーキが一番好きなんだよね、うん美味しい~」
「もうみこと、全種類食べたくなるからそういう説明しないでよ~」
「あははっごめん」
やっぱりリリーの食いしん坊は見ていて癒される。
「みこと、チーズケーキだよ!」
「チーズケーキがどうしたの?」
「だから、みことが作るケーキやパンをいつでも買えるようになったら素敵だなって。私はこうしてたまにケーキを食べさせてもらっているけれど、いまケーキが食べたい!ってときがあるのよ、そんなとき美琴がお店だしていてくれたらその食べたいが叶うでしょ。いまだって美琴のパンを食べたい人が私を通して買ってくれているけれど、それだってお店があれば食べたいときに買いに行るようになるんだし、美琴は絶対にお店を出すべきだと思う」
リリーが怖いくらいに力説してきた。
「そ、そうかな?」
「そうだよ。というか私がそうして欲しいだけ、あ~でもそうなったら毎日ケーキ食べたら太りそう、それは悩むな~」
「毎日って、まぁ、ベリアルさんほぼ毎日食べてるけど...って私もだ、太っちゃうかな...気を付けないと...」
「ほらぁ、それだけみことのケーキは美味しいんだよ。ベリアルさん、ズルい~、いいな~」
ズルいって何よ~ってリリーと笑い合う。でも自分が作ったものを美味しいって言って喜んでもらえるのは嬉しいよね。
「みことはさ、みんなのことを想ってパンを作ったんでしょ?いまはみんなが癒されて誰かの為に、まあベリアルさんの為には作っているけど、もっとみんなの為に料理作って、もっとみんなが幸せそうな顔して美味しいって食べてくれたら、みことは嬉しいんじゃない?だっていっつも料理のこと考えてるときのみことは幸せそうに顔緩んでるからね~」
「あうっ、それマリーにも言われた、みことは楽しそうに料理して、作るのも食べるのも好きなんだってわかるって...私そんなに顔緩んでるかな~」
ほっぺに両手を当てて、そんなことないと思うけどなってほっぺを軽く押してみる。
「マリーって王宮の料理人だっけ。ほら、みんな知ってるじゃん。みことが作る料理、たくさんの人を幸せな気持ちに出来ると思うけどな」
「そうかな...」
確かに、前にジルと二人でのんびりカフェをやるのもいいかなって思ったけれど、何となくそう思っただけでリアルに考えたことはなかったけど、やっぱり私は料理をするのも食べるのも好きだからお店できたら楽しいかも。リリーの言う通り食べてくれた人達が美味しいって喜んでくれたら嬉しいから前向きに考えてもいいかもしれない。
「リリー話聞いてくれてありがとう。おかげで色々とごちゃごちゃ考えてたのが整理できそう」
「大丈夫?」
「うん、決めたらわくわくしてきた。私、まずはこれからのことちゃんとベリアルさんに話してみる」
「私はみことが決めたこと応援するからね!」
「うん」
新しいことを始めるのは、決めるのも行動するのも怖いけど、一歩踏み出してみたらあっけなくできちゃったりする。失敗するんじゃないかって自分が怖がっているだけで、どうなるかなんてやってみないとわからない。
この世界に来てパンを作ってみんなに食べてもらうことができて、前みたいに不安なんて感じる余裕がないくらいに楽しい日々を過ごしている。
私にも出来ることがあるんだってわかったから、新しいこともまた頑張ってみたいって思う。
失敗したらどうしようって思うけど、何もしないで後悔することの方がまた自分のこと否定しちゃうと思うし、新しい経験をしたからこそ、いままで気が付かなかったことに気が付いたこともあった。気が付いて自分の言動に「うっ」ってなったり、それに対して恥ずかしかったり、自己嫌悪したりするときもある、でもそれを受け止めることができた後、また自分が変わったことに気付いてすごく喜びを感じるの。
一つ一つの経験がいまの私を作っている。やらない、逃げるの経験はたくさんしてきたから今度はやってみるの経験をたくさんしていきたい。
それに今の私にはベリアルさんがいてくれる。ベリアルさんには初対面から自分の弱いところを見せちゃっているせいか、ベリアルさんの穏やかな空気のせいなのか素の自分でいることができる。
頼りきるつもりはないけれど、ただそこにいてくれるだけですごく安心できる存在。だからベリアルさんには自分の決めたことちゃんと話したい。
続きを読んでくださってありがとうございます。




