油断
そして季節は巡り、もう6月になった。
ほぼ毎日のように、軽い発作が起きて、もう発作に慣れてしまった。
あーくんに報告する事も無くなったし、気をつけようと思う事も無くなった。
ちゃんと気をつけていれば、こんな事にならなかったのかな…
「けーい、投げよう!!」僕がいつものように圭とピッチング練習をしようとしたら、
「陽斗、もう甲子園まで無いんだから、今どのくらい投げれるか測ろうぜ」そう言って機械を持ってきた。
「よっしゃ!!じゃあいくぜ」
僕は何球か軽く投げたあと、本気で投げた。
最高の数値は158km。かなり速くなっていた。
「じゃあいったん休憩~」そう言って圭はみんなに休憩をさせた。
「圭、あとちょっと投げよう」そう言って僕はマウンドに向かった。
何球か投げたとき、いつもの痛みが僕を襲った。
「うぅ…はぁはぁ」
「陽斗?」
「いや、大丈夫…」そう言って僕は、この痛みに気づかないふりをして、投げ続けた。
そのとき、今まで感じたことの無いような痛みが僕を襲って、息が苦しくなった。
「おーい陽斗?」
「……」僕はそのままマウンドに膝から崩れ落ちた。
「陽斗!!」
「ゴホゴホ…」口元を押さえた手からは、赤い血が零れ落ちていた。
「おい陽斗!!って血…」
「はぁはぁ…」
僕はみんながマウンドに集まってきた所で、意識を手放した。




