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甲子園
試合は5回まで、0対0だった。
試合が動いたのは6回裏、相手の攻撃だった。
先頭バッターにレフト前に運ばれ、ノーアウト一塁。
続くバッターを三振に討ち取ったものの、その次のバッターへの2球目だった。
カーン
甲高い音がして、打球はライトスタンドに飛び込んだ。
このあと2者とも内野ゴロで打ち取ったものの、致命的な2点が入った。
甲子園は7回まで。あと1回で2点入れなければならない。
「嵐山~ファイトー」僕らはスタンドから叫んだ。
先頭バッターはフォアボールで出塁した。
しかし、続くバッターの打球はレフト前に抜ける前にショートが飛んでキャッチし、ゲッツーをとられた。
-あと1アウト-
次のバッターはみんなの期待を背負ったキャプテン。
そして3球目、豪快に降ったあたりはぐんぐん伸びて、バックスクリーンを直撃した。
-1対2-
『勝てる』その雰囲気が漂った。
次のバッターはファーストの先輩。4球目、打った打球はサード正面に転がった。
ファーストにヘッドスライディングしたかいもなく、判定はアウト。
-先輩達の夏は幕を降ろした-




