149.シンクロする真実
聖騎士たちの処遇が決まったところで、彼らはどこに行くのでしょう?
ショタンニはミュゼを守る気満々ですが、それができるかと言われると……。
そしてミュゼとフビンダも、自らユリエルの力になると心を決めていました。
そんな新しい同志たちを導くための、真実暴露大会!
今既に戦っている同志、そして同志になりそこねて罰せられた元聖女……それぞれの道を行く先輩たちを見て、彼らは何を思うのか。
ひとしきり赦しのふるい分けが終わると、ユリエルは聖騎士たちのその後について提案した。
「それでね、あなたたちの罪の償い方なんだけど……」
「はい、誠心誠意、ミュゼ様をお守りしていきます!!」
ユリエルの言葉を遮って、ショタンニが決意を込めて叫ぶ。赦された喜びと使命感で、目はキラキラと輝いている。
しかしユリエルは不機嫌そうにため息をつき、クレバーノに目配せした。
すると、いきなりクレバーノがショタンニの頭を掴んで叱りつけた。
「んな訳ないだろ低能が!!
できるか考えて物を言え!!」
「え……だってこれから僕たちは、本当にこの世の正義と真実のために……」
「ここまでのことをやらかして、おまけにタカネノラがこれから破滅するのに、のこのことミュゼと同じ所に戻れる訳がないだろう!
せっかく赦されたのに、自殺する気か馬鹿野郎!!」
そう、これが現実である。
ショタンニとクレバーノは、もう教会に戻れる立場ではない。
ミュゼのことは修道女隊が助けたことにして教会に戻すつもりだが、聖騎士二人がついて行くことはできないのだ。
せっかくの正義を潰されたと口をへの字に曲げるショタンニに、クレバーノは自分たちが置かれた状況を叩きつけるように説明した。
「いいか、私たちは教会へ戻るなりタカネノラともども破滅だ!
なぜなら私たちは、タカネノラやワイロンの嘘を守っていた共犯者だからな。タカネノラが民心を失って裁かれれば、私たちの罪もすぐ明るみに出る。
そうならないためには、タカネノラが勝って嘘を守り通す必要があるが……できると思うか?
そしてもしそっちなら、私たちの立場はどうなる?」
「いや、タカネノラがここから勝つのは……ほぼ無理でしょう。
でも、もしそうなったら……僕たちは敗北者として戦力外通告ッスね」
「そうだ……だが逆の場合、私たちの立場はさらにヤバい!
いくら教会とて、タカネノラたちがここまでやらかしたら、もう庇えないだろう。むしろ教会の正しさを守るために、徹底して罰するはずだ。
その時にいくら謝ったって、教会と民が私たちを赦し信じると思うか?
もう私たちに、教会の下でまともに生きる道はないんだよ!!」
その言葉に、ショタンニは愕然とした。
だが、クレバーノの言葉はおそらく正しい。
いくらミュゼが赦しても、教会上層部がタカネノラを切り、民の怒りがタカネノラを守っていた全てに向けば、自分たちは助からない。
それこそ、いくら謝っても悔いても赦してはもらえない。怒れる民を鎮めるために、スケープゴートとしてとことん悲惨に潰されるだけだ。
償いなど、石を投げられながら死地に突っ込まされる以外にないだろう。
そしてその時ミュゼは、クレバーノたちを庇う訳にいかない。下手に加害者を庇えば、ミュゼが怪しまれ民心を失うからだ。
せっかく救われたミュゼを守りたければこそ、せっかく赦された自分たちを守りたければこそ、二人はミュゼと共にはいられない。
教会の下から外れて、さらなる茨の道を行かねばならないのだ。
それを突きつけられると、ショタンニの目からどっと涙があふれた。
「ええっそんなぁ~!!あんまりだ!!
やり直そうとしても、それすら許されないなんて……僕は、そんなに悪い事してたのか!?
うう……あんな詐欺しか能のない女、抱かなきゃよかった!嘘なんて、つかなきゃよかったあぁ!!」
今さら己の行いを心の底から悔い、号泣するショタンニ。
しかし、もう遅い。
ショタンニとクレバーノは己の罪により、これまで勝ち取って来た聖騎士の立場も、人として当たり前にあるはずの教会の庇護も、すべて失うのだ。
その状態で、罪を償いながら生きていかねばならない。
絶望するショタンニの頭を軽くポンポンしながら、しかしクレバーノは希望を持って語り掛けた。
「ああ、とんでもないことをしてしまったものだ……普通なら、人生詰みだろう。
だが、幸いにして私たちには、別の道がある。
教会の今の勢力は、私たちを赦してはくれない。だが、それ以外ならば?そして、そちらが将来上に立つとなれば?」
「え……な、何言ってるんスか、クレバーノさん?」
困惑するショタンニを離し、クレバーノはユリエルにひざまずいた。
「そういうことでしょう、ユリエル殿。
これから私たちは償いとして、貴女の真実のために戦う……そういうことですね?」
ユリエルは、満足そうにうなずいた。
「そう、よくできました~!
まあ控えめに言っても茨の道だけど、うまくやれば堂々とお天道様の下に戻って来られるから……自分のために頑張ってね」
そう、降伏した聖騎士二人に残された道は、ユリエルの味方となることだ。
教会の敵になるが、元々もう教会の下では生きていけないので仕方がない。
そしてその教会の追手から逃れるには、教会と対立している勢力に身を寄せるのが一番だ。
二人きりで逃亡していても、多勢に無勢で追い詰められてしまうだろう。
しかし、既に教会と戦っていて、教会が攻めあぐねている所に合流すれば……。
さらに将来的にそちらが勝つか、せめて独立勢力として長く生き残ることができれば……二人はそこで、人として生きられる。
その未来図に気づくと、ショタンニは呆然とした。
「そんな……神敵の味方になるだなんて……。
いくら生きていても、それは……僕は、そんなこの世の敵に加担するために力を磨いてきたんじゃない!!」
ショタンニは、絞り出すように叫んだ。
これまで正義の味方としての自分に誇りをもって生きて来たショタンニにとって、この道は受け入れられない。
だがクレバーノは、ショタンニに問いかけた。
「その神敵というのは、誰が決めた?
その決めた奴が本当に正義の味方で、嘘をついていない保証はあるのか?」
「えっ……!」
きょとんとするショタンニに、フビンダも皮肉っぽく突っ込んだ。
「あなた、正義の味方気取りの自分も大嘘ついて人々から絞り取っておいて、他にも同じことをする奴がいるって思わないの?
少なくとも、真実を明らかにする役目なのにそれを悪用して好き放題する奴がいるって、間近で見て知ってるでしょうに。
どれだけ頭が空っぽなのかしら!」
「あ……い、言われてみれば……」
そこまで言われてようやく、ショタンニは自分と周りの事を思い返した。
清らかな聖歌手として有名なタカネノラに気に入られて一夜を過ごして、天にも昇るような心地だった。
しかしタカネノラが相変わらず清純と崇められ、なのに他の聖騎士や有力者とも実は関係を持っていると知り、違和感を覚えた。
それをリーダーのパッショニオに問うた時の答えが、これだ。
「大丈夫だって、このくらいみんなやってるから!
選ばれた者に特別なごほうびがあるのは当たり前だし、結果として教会にいいことなら罰なんか当たらねえよ!」
その言葉が本当なら、教会は上から下まで腐っていることになる。
それでもたまには不正が摘発されている以上、上が全く知らないということはないはずだ。
となると、上も自分たちの利益のために黙認しているか、もっと穿った見方をすれば自ら悪事の指揮を執っていることも……。
そう考えると、教会の言う事全てが怪しく思えてくる。
考え込んでしまったショタンニに、クレバーノはさらに問う。
「それで、審問官の判定とオトシイレール卿が言い出したこと以外に、ユリエルが邪淫を犯した証拠はあるのか?
逆に、いきなり魔族が強化されての反攻が、ユリエルの血のせいでないという明確な証拠は出てきたか?」
「いや……でも、それは調査中だって……」
「その調査を担当しているはずの学者連中だがな、まともな調査を提案した奴しっかりデータを集める奴ほど、閑職に追い込まれたりクビになったりしているらしい。
こんな事をすれば、長期的に見て教会自体を弱めるだろうに……一体誰が何の目的で、こんな事をするんだろうな?」
クレバーノは知識をも武器とする戦闘スタイルの関係で、教会内部の学術部門ともつながりがあった。
そこを通じて、ユリエルの反逆と魔族の反攻後に起こった学者たちの異変をいち早く察知していたのだ。
さらに詐欺に加担している己の行いと照らし合わせて、上の発表に疑問を持った。
そして教会が何かを隠そうとして有効な手を打てないのを目の当たりにし、このままで大丈夫かと危惧を抱いた。
「私は最初、このダンジョン攻略に反対だった。
しかしタカネノラを止められないならば、いっそこの手で禍根を断つべきだと考え、ついて来た。
そうしたら、まあ……思っていたのと違ったが、生きる道は開けただろう」
クレバーノは、自嘲気味に呟いた。
要するにクレバーノは、上の悪事を隠すために沈みゆく教会と一緒に沈没したくなかったのだ。
その意図に気づくと、ショタンニはぐっと唇を噛みしめた。
「僕たちも、騙されて無駄に戦わされてたってことですね」
「そっちも今のところ証拠はないがな、可能性は高いとみている。
というか、証拠なら手に入る。私たちに真実のために戦えと言うのなら、今ここで見せてもらえないだろうか?」
クレバーノの言葉に、ユリエルの顔に喜びが弾けた。
待ってましたと、見るだけで聞こえてきそうだ。
「うん、あるよ……あなたたちが心を開いて見てくれるなら、いくらでも出せるよ!
気が済むまで見て、これからの道を考えてよ!」
その言葉を聞いた瞬間、ショタンニとクレバーノはこの道が正解だったと確信した。
と方針が決まったところで、ユリエルはフビンダとミュゼを下がらせようとした。
「悪いけど、二人はちょっと離れて休んでてくれるかな。
こいつらはともかく、あなたたちはこれから人間社会に戻るんだからさ……命取りになるようなことを、見せる訳にいかないの」
ユリエルの真実は教会にとって、知ったことを知った時点で知った奴を消さねばならない重大機密だ。
もしミュゼやフビンダが何かの拍子に審問にかけられ、真実を知ったと知られれば、最悪命を絶たれることになる。
ユリエルは、せっかく救った二人にそうなってほしくなかった。
しかしそう言うユリエルを押さえつけるように、ミュゼがとびついた。
「悲しい事を言わないでください!
あなたに嘘の地獄からお救いいただいた時点で、あなたは私にとって真実の恩人です!
そんな尊い方の真実に、寄り添わずにいられますか!?」
フビンダも、ユリエルのよろけた足腰を抱きとめてすがりつく。
「そうよ、私もあなたに、かけがえのない助けをいただきました!
生きる喜び、生きる意味そのものを取り戻してもらったのに、そんな方のために命懸けでお返しする覚悟はできております」
ミュゼもフビンダも、ユリエルの味方になる気満々だ。
ユリエルは喜びを隠しきれないながらも、もう一度警告した。
「本当にいいの?後で後悔したって、証拠を刻まれたらもう戻れないんだよ。
あなたたちは修道女隊に助けられれば、きちんと今の人間社会で幸せを掴むことができるの。
もう人を捨てた私のために、あなたたちが自分を捨てることに……!」
「あなたこそ、勝手に心の友を捨てないでください!!」
ミュゼが、どこまでも澄んだ鐘のような声で叫んだ。
「私とあなたは、同じような辛苦を共にした同志です。
なのに自分だけ救われてあなたを見殺しにするなんて、そんな残酷な事できる訳ありません!
あなたは悪くない、あなただけが苦難を背負う必要なんかないんです!!」
ミュゼは、絶対に離さぬとばかりにユリエルをきつく抱きしめた。
ミュゼの少し早い鼓動が、ユリエルの胸にじかに伝わってくる。
「そう……か。でも、本当にその気持ちだけで……」
なおも迷うユリエルの腰に、フビンダの腕が妖しく絡みついた。
「ええ、私はとっくに、その気持ちになっていますもの。
あなたがミュゼ様とご自分のお力をためらいなく他人のために使った時点で、私たちはあなたがいい人だって確信しましたの。
もう既に、審問にかけられたらそこはごまかせないのですから……今さらよ!」
「!!」
その言葉にユリエルは、この二人の心がもう自分の側にあると理解した。
二人はユリエルが自分にしてくれたこと、手を貸させたことを自分で感じ考え、ユリエルが悪ではないと結論を出したのだ。
さっきショタンニが別件の行いでミュゼに拒絶されたのと、真逆である。
ユリエルは心から他者を思っての行いで、ミュゼとフビンダに言わずとも真実を悟らせていたのだ。
ユリエルは涙を飲んで、二人の手を握った。
「分かった、ありがとう。
ただし、これだけは約束して。地上に出て人間社会に戻っても、時が来るまでは私の真実を話さないで。
そしてこれから見せる真実を知っている人脈は、あなたたちが本当に危なくなった時に命を守るのに使って」
「ええ……あなたが見せてくれる真実と救ってくれた命、決して無駄にしません!」
「私も、見えないところから力になれるよう考えます」
ミュゼとフビンダとユリエルの思いは、ただ一つ。
自分たちが遭ったように、教会の嘘によって貶められて不幸になる人が、これ以上出ない世の中になってほしい。
そのために、証人としての己を守りつつできることをすると誓った。
こうして、ミュゼとフビンダもユリエルの真実を目にすることとなった。
それからユリエルは、同志二人と聖騎士二人にこれまで撮ってきた映像と実際の魔物の進化を見せてやった。
「こうやって、魔物化したけど弱い植物に私の血をあげるとね……ほーらアルラウネになっちゃった!
それに、これから映像を見せてくれるミツメルも……もうヘルズアイデーモンじゃないからね」
「は!?……ちょっと待て、そんなに……!」
進化したミツメルの本当の姿を見せると、ショタンニは仰天し、クレバーノは唸った。
「ううむ……さすがは処女のまま破門された血というところか。
処女の聖女の血といえど、破門されて神の力が抜けていなければこれほどの力はない。
オトシイレール卿も、とんでもない墓穴を掘ったな!
この真実を隠していて、ユリエル殿や魔族の強化に有効な手など打てるものか!」
「ぼ、僕たち……今降伏して本当に良かったッスね」
これを見ただけで、聖騎士二人は教会の不利を悟った。これに気づいてしまったら、もうまた不利になったら教会に戻ろうなんて考えは粉々に砕け散る。
一方のミュゼとフビンダは、これならユリエルが簡単にやられることはないと安堵した。すぐ何かしなくてはという焦りが、取り除かれた。
しかし、見せるのは心が軽くなることばかりではない。
吐きそうになる程胸糞悪いものも、見てもらわねば困るのだ。
インボウスやギルドマスターが、ユリエルを陥れた時の記憶も。
「ほーら、僕の言う事聞かないから。……これはねえ、天罰だよ!君はねえ、神に見限られたの!
ねえ、今ど~んな気持ちいぃ!?」
自分の言う事が全てこの世の真実になるんだとばかりに、ユリエルにありもしない罪を着せて嘲笑うインボウズ。
それに乗っかってユリエルの心を折ろうとするギルドマスターと、何の疑問もなく信じてユリエルの生きる道を閉ざしにかかる人々。
「ひどい……神の名のもとに何てことを!!」
「これはもう、地獄の底が抜けるくらい突き落としてやらないと!」
ミュゼとフビンダは、頭が噴火しそうなほど憤った。
自分たちの遭った仕打ちもこの世にこんなひどい事があるのかと思ったが、これはもう悪意の底が抜けている。
しかもこれで数えきれない人々が巻き込まれていると思うと、インボウズの罪は地獄の天秤でも測れないほどだ。
一方聖騎士二人は、この映像に映りこんでいる一人の聖女に目を留めた。
「……この謝らされてるのが、聖女ミエハリスか!」
「そして話している相手は、セッセイン家……真実を知っている人脈とは、このことか」
ユリエルはインボウズたちの悪行を見せる時、以前ミエハリスと実家に自分の記憶を見せた時の映像を使った。
直接自分の脳から記憶を映すとその時の感情のフラッシュバックが辛いし、ミュゼたちに、万が一の時の避難先を知らせたかったからだ。
すると、クレバーノがこんな提案をしてきた。
「どうでしょう、ミエハリス嬢を我々に同行させていただけませんか?
貴女たちのために働くにも、聖女が一人いるかいないかでは大違い……」
「ダメに決まってんだろ、あんな奴!!」
次の瞬間、ユリエルとフビンダが鬼の形相で吠えた。
そして見せられる、二人とミエハリスの因縁。その一連の流れを見終わると、聖騎士二人は頭を抱えて納得した。
「げえ……処女なのにこんな奴、おる?」
「なるほど、彼女は初犯で理解せず繰り返したという訳か。
ユリエル殿のことで己の過ちを分からされ涙しても、実際に被害を受けたフビンダ殿を前に己の正しさを疑えず謝らなかった。
……このような女に背中を預けたくはないな、いない方がマシだ!」
同時にミエハリスの姿は、聖騎士たちに再犯すればどうなるかを突きつけた。いくら一度赦されても、また同じことをしたら今度こそ赦されないのだと。
それは、ユリエルから彼らの胸に贈る重い釘でもあった。
最後に、ユリエルはこれから聖騎士二人が共に戦う同志……ロドリコたちのことを見せてやった。
ロドリコもある意味、この二人と同じ立場である。ユリエルに対して許しがたい罪を犯し、それを償うために戦っているのだから。
そのロドリコの所業を目にすると、全員がひっくり返った。
「ええええ……あのタイミングでユリエルさんの破門理由を気にしてなかったとか……!
これもう、聖騎士っていうか公のために戦う者としてやっちゃダメなやつでは?」
「あ、有り得ないわ……ある意味、悪意よりもっとヤバいじゃない!」
「思うことより思わぬことの方が怖いとは言いますが……ここまでのを見ると、悪意があるのとないのとどちらがいいか分からなくなってきますね」
ドン引きする一同に、ユリエルは怒りを帯びた笑顔で告げた。
「うん、ある意味最高にひどかったよ。
……で、何がムカつくかって、そんな奴を誘惑して堕としたって理由で私が神敵にされたの!
誰があんな奴欲しがるよ!?求婚されたって願い下げだよ!だから、それを理由に私を淫売扱いする奴は一発アウトだと思え!!」
ユリエルの魂の叫びに、一同はうなずくしかなかった。
しかし、こんなのでも一応初犯で反省し、謝って償い中の同志である。
「でね、一応こいつが独立勢力を作って教会と戦ってくれてるんだけど……やっぱ、類は友を呼ぶって感じで情熱やノリに流されやすいバ……まっすぐな奴が多い訳よ。
そのせいで、教会の策略に振り回されてジリ貧になっててね。
こういう所にこそ、クレバーノが必要だと思うの!頑張ってね!」
「ハハ……全力で善処します」
クレバーノは、乾いた笑みを漏らした。
皆目の前に広がるのはいばらの道。しかし真実という地に足がついていることに何よりも感謝して、進むしかないのだ。
ロドリコとミエハリスは、ユリエルに赦しがたい罪を犯した先輩でもあります。
その二人の未来を分けたのは、初回で痛い目に遭って反省し、それを次に生かして変われるかでした。
ロドリコが深く反省して償いを行動で見せたのに対し、ミエハリスはのど元過ぎれば、それとこれとは別という感じで変われませんでした。
世の中、初犯なら執行猶予がついても、再犯となるとそうはいきません。
こうしてユリエルたちがその後の事を話すのは、もう勝利を確信しているからです。
教会の致命傷たる真実も知らず、目を塞がれたまま進軍する討伐軍は……。




