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無能だと追放された僕ですが、99階層の偵察に行きたいと思います

ふと地下室を出ると、部屋の外から騒ぎ声が聞こえる。


「こスイレン!また他のダンジョンで無双していたでしょう!」

「ここのダンジョンは魔物湧かないじゃないか!」

「ダンジョンの民を含め私たちは世界機密なのですよ!」


扉を開けるとスイレンの髪をつかんでるナノと、

逃げようとしているスイレン。


(まるで虐待の絵面だ。)

「ご主人様?!」


彼らは即座に並び、何事もないように演技をしている。

いやいや、もう遅い。


有能ながら、私生活では子供のようなそぶりのスイレン。

スイレンだけには本来の性質を表すナノ。

正直良い組み合わせではある。


「ナノ、スイレン。ここになんの用事だい?

さっき帰ってただろう?」


ただ目を逸らして、

何事もないように背を向ける二人。


「もう一度聞く。

今日はなんの用だい?」

「えっと...はい。第100回層に大きな改善が発生しましたので偵察の要求を。」

「思念伝達でいいじゃないか。」

「....」


(会いたかったのか。

些細なきっかけのたびに、会いに来る配下にも困ったものだ。)


「仲間どうしで乱暴してはいけないよ。」

「もちろんでございます。」

「もしろんますますだ。」


絶対に反省してないスイランだが、

それが彼女の魅力ーーか。


「うん。じゃあ行こうか。」

「では、ご案内いたします。」

「行こう!主様!」


ダンジョンで階層を上がる方法。

攻略をせずともナノの魔法陣が設置されている。

しかし101階層は特に、重い扉で閉ざされ一般人では突入は不可能と言っていい。


そしてここは100階層。

血族外の民の集落ーー町である。


「来たのは久々だなあ。」

「ええ、前回と違ってかなり町並みは栄えたかと。」


石畳の道路。

空中を走る魔導列車。

翼人が荷物を運び、

獣人が露店を開き、

精霊が街灯代わりに漂っている。

99階層の整然とした都市とは違う。


「...翼人もやってきたのか?」

「はい、最近は計50の新しい血族外の民が発見されました。」

「増えたな...」

「ええ。」


もしもここに、報告された組織のスパイがいるならば。

傷つけることになる。


「彼らが”強すぎる”のは確かなのか?」

「念入りに確認しております。」


もちろんナノやマルスの調査を信用していないわけではない。

だがあまりにも。


『増えすぎじゃないか?』

「はい、詳細はわかりませんがマルスによると、

強者が増加しているーーそうです。」

「だが、元は君たち。20人ほどの住処だったはずだ。

なぜもっと早く報告をしなかったのか。

それに、世界を陥れるほどの強者がこの10年で30人増えているとなると、大問題だぞ。」


それに、そのようなデータベースは登録されていなかった。


「申し訳ありません。

言い訳ながら、職場の振り分けなど、マルスが苦労していて。

ルチアも建造に手をかけていて、お知らせする隙がなかったのです。」

「いや、君たちのせいじゃない。

俺が管理を信頼しすぎてしまった。」


仲間たちはどうしても僕の責任感が心配なようだ。


「問題ないよ。

ここは僕たちの。

俺の町で仲間なのだから。」

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