無能だと追放されたダンジョンの王
こんにちは、ルアです。一つ目の作品ーぜひお楽しみください。
「アル。お前をダンジョンから追放する。」
それは、突然のことだった。
予兆もなく、昨日まで笑っていたことが嘘だと思えるほどの。
「待ってよミルクス!俺は役に立っていたはずだろう?なんでっ」
「ダンジョンに行こう者なら、君の空間操作で最下層へ落とされる。
君は、いつか仲間を傷つけるーーあの日みたいに。』
正論ーーそれ以外にあるだろうか。
ナイラは顔を逸らし、
サイヴスは嫌悪の目で見ていた。
「みんなで話し合ってーー決めたことなの。」
「そもそもあなたには才能がないでしょう?
この世界で重視される戦闘の才能が。
あなたの能力は強力ですーーーが、制御不能ならば単なる足手纏いなのです。」
知ったのは初めてだった。
反論したいのに声が出ないこと。
緊張と緊迫で流れる汗が、こんなに冷たいことも。
これ以上の緊迫、を僕は知っているはずなのに。
『あの時のようにーー』
ただその言葉が、自信を一番苦しめている。
「どうかーーどうか消えてくれ。」
正義感あふれるミルクスが、こんなにも冷え切っている。
それなのにーー同時に。なぜ...こんなに辛そうなのか、わからなかった。
ああ、これは、全て俺が作っているんだ。
「やっぱり僕はーー、」
「消えろと言っている。」
混乱しているのか、怒っているのか。
様々なミルクスの感情は、どんどん僕を地に落として行った。
楽しかった。
笑った日々、冒険の日々ーー勧誘された暖かさはいまだに残っている。
知っていたのかもしれない。
このーー運命を。
「アル。ごめん...でもどうか。」
「消えてください。アルメル。」
「ーーーアル。荷物をまとめて、出ていくことだ。
次の後方支援ももう、決まっている。」
本当に楽しく、悪夢なような最後だよ。
「わかった...今まで、ありがとうございました。」
たとえ苦しくても、あの日々は忘れることができない。
それがーー記憶だ。
「どうか....どうか、 僕はーー」
それ以上はもう、声は出なかった。
やはりミルクスの手は震えている。
顔はーー冷え切っているのに。
ナイラは、明らかに罪悪感に飲まれる顔を。
サイヴスは、いつも通りの、俺を嫌う表情をしていた。
本当にーーーありがとう。




