表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「役立たず鑑定士」と捨てられた俺、全部鑑定したら勇者より強くなった  作者: 愛田茶々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/94

79 囚われ人の解放

 ベネディクトに回復魔法はかけたものの、骨は折れたままだし、体力も回復しない。

 ただ、傷口だけは内側も外側も塞がったらしく、出血は収まった。


「俺はもう、大丈夫だ。ありがと……な」


 薄目をあけ、ベネディクトが弱々しく喋る。


「あぁ。あとはこれを飲んでおけ。俺はクロニカをみにいく」


 寝そべる彼のもとにポーションを一本置き、俺は痛みに顔をしかめながらクロニカの元へ移動する。


 ──が。


 さっきまでガラスケースに寄りかかっていたはずの、彼女の姿がない。

 慌てて視線を巡らせると、背後から声がした。


「こっちよ」


 見れば、クロニカはエリナたちに合流し、捕まった人たちの救助をしていた。


 どうやら、自前のポーションか何かで、自力で回復したらしい。

 そのタフさには頭が下がる思いだ。


 俺がそちらへ向かうと、ようやく救出されたピクシー族やスラムの住人たちが這い出してくるのが見えた。


「みんな、本当に無事でよかった……!」


 フェイが涙を拭いながら、救出されたピクシー族の仲間たち、そしてスラムの住人たちの間を忙しなく飛び回る。


 繋がれていたチューブから解放された彼らは、まだ顔色こそ悪いものの、自力で立ち上がれる程度には体力が残っているようだった。


 どうやら、間に合ったようだ。


 俺たちは心の底から安堵の息を漏らした。





「さて、めでたしめでたしと行きたいところだけれど、問題はここからね」


 すっかり平常運転に戻ったクロニカが、きっぱりと言い放つ。


「私たち、どこからここを出ればいいのかしら?」


「え?そんなの、来た道を戻れば……」


 俺は階段を指差し、くぐってきた入口を見て愕然とする。


「入口が……ない??」


「ええ。さっきの科学者が出て行った時に、ついでに扉を閉めていったようね」


「嘘……だろ」


 一難去ってまた一難。

 今やこの大部屋は、前も後ろも塞がれた袋の小路だった。


 さらに今の俺は、スキルの代償で全ステータスが10%に超低下している。

 決して無理はできない。


「――それなら、私にお任せください」


 その時、フェイが抱きしめていた大人のピクシーが名乗り出た。

 長めの美しい髪を持った、弱々しくも毅然とした声。


「あなたは……?」


「私はエルフィ。フェイの姉にあたる者です。人間の皆様、妹と私たちを救っていただき、本当にありがとうございました」


 エルフィは異国の礼をとると、背中の翅をかすかに震わせ、ふわりと宙に浮き上がった。


「私たちピクシー族は、ヒト族の追ってから逃れるため、独自の隠蔽魔術を発達させてきました。これほどの人数を隠ぺいするのは難しいですが、ここにいるピクシー全員の力を使えば、皆さんを境界の繭で包むことは可能です」


「境界の繭?」


「私たちはそう呼んでいます。気配を完全に遮断する、亜空間を作り出す魔法です」


「それ、ひょっとしておとぎ話の妖精の隠れ家ってやつじゃない?」


 エリナが目をキラキラさせている。


「……なるほど。それなら、脱出口さえどうにかなれば、魔導院の奴らに見つかることなく先へ進めるというわけだな」


 俺の言葉に、エルフィは深く頷いた。


「ええ。ですが……問題は」


「問題は、そもそもどうやってこの部屋から……いえ、この封鎖された空間から出るかってことね」


 エルフィの言葉を遮り、クロニカがかぶせるようにして核心を突く。


 この部屋の入り口の扉は閉ざされ、そもそもこの空間に入ってきた時の転移ゲートはとっくに閉じている。


「……いや、方法はある。あの科学者の足取りをたどるんだ」


 長い沈黙の後、俺は一つの答えにたどり着く。


 いや、答えなんていう大層なものじゃない。


 もしかしたら、万に一つに、あるいは億に一つの確率でできるかもしれない──。

 そんな、一縷の望みに近い解決策だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ