47 死闘の戦果
しばらく内容薄くなるかも
焚き火の番をベネディクトと交代し、俺は一人、少し離れた大樹の根元に腰を下ろした。
暗闇の中、そっと右目に魔力を集中させる。
(……ステータス表示)
視界に浮かび上がる黄金の文字列。
そこには、昼間の死闘を経て変質した俺の「今」が刻まれていた。
【久遠 依人】
【レベル】31
【職業】鑑定士
基本ステータス
【HP】950/950
【MP】110/496
【筋力】142
【防御】190
【敏捷】228
【魔力】198
【精神】320
スキル
『突進Lv3』『棍棒術Lv4』『剣術Lv6』『斧技Lv1』『不意打ちLv2』『水属性魔法Lv6』『土属性魔法Lv5』『風属性魔法Lv3』『妨害魔法Lv2』『魔力吸収(小)』『鑑定Lv10』『観測者Lv2』『物理耐性Lv7』『魔法耐性Lv5』『擬態Lv5』『気配察知Lv5』『魔力感知Lv6』『逃走Lv3』『硬化Lv4』『粘液Lv2』『指揮Lv1』『状態異常耐性Lv3』『隠密Lv6』『重装歩兵Lv1』『跳躍Lv4』『反射Lv1』『使役Lv1』『蛮力の咆哮』『野蛮な生命力』『生命の加護』『泡沫足場』『粘体分身』『吸血』『解読者』『絶対威圧』『加速領域』
レベルは、さほど変わらない。
戦闘はほとんどベネディクトに任せていたからな。
気になるのは、スケルトンから陰でこそこそと盗み続けていた『剣術』スキルが急上昇したことと、『観測者』レベルの上昇だろう。
そこに意識を向けると、使用可能なスキルが二つ表示されている。
『因果の強奪』:対象の事象・属性を剥奪する。
『因果の縫合』:複数の因果を編み合わせ、新たな結果を構築する。
(奪うだけだった力が、作る力に変化したわけか。勇者の呪いを解くヒントになればいいが……。このスキルについても、今後検証していかないとな)
このスキルが発現したときの感覚を思い出す。
あの時は、状況を打開しなければと無我夢中で、必死になっていた。
そこに、たまたま材料が落ちていたのだ。
ベネディクトの聖なる魔力と、エリナの奇跡の力。
仲間の存在と、強敵に立ち向かう大切さを感じる。
成長には、この二つはとても重要だ。
だが、クロニカが言った「存在が書き換わる」という言葉が胸に刺さる。
(どういう事だ?勇者みたいに、俺も性格が捻じれていく、ということか?)
「……まだ起きてたの?」
静かな声に、俺は慌ててステータスを閉じた。
見上げると、毛布を肩に羽織ったエリナが、申し訳なさそうに立っていた。
「ああ。目が冴えちゃって。エリナこそ、寝なくていいのか?」
「少し、怖くなっちゃって……。依人の隣、いいかな?」
俺が頷くと、彼女は少し距離を置いて隣に座った。
焚き火の遠い光に照らされた彼女の横顔は、昼間の凛々しさが嘘のように幼く見える。
「今日、みんなを助けてくれて……ありがとね。あの時、もうダメだって思った」
「……あれは、エリナの『不確定未来』があったおかげだよ。お互い様だ」
「ふふ、そうだね。自分でも制御が出来ない力なのに、それを引き出してくれるんだから、私たちっていいコンビよね」
エリナが膝を抱え、小さく微笑む。
その信頼が、少しだけ眩しかった。
「……明日には、この森ともおさらばだ。王都に着いたら、まずはゆっくりお風呂に入って、ふかふかのベッドで寝ような」
恐らく、そんな待遇は期待できないが。
ちょっと夢を語るくらいは、許されるだろう。
「うん。約束だよ?」
エリナはそう言うと、少しだけ眠たそうに目を細めた。
「……もう寝よっか。おやすみなさい、依人」
「ああ。おやすみ、エリナ」
彼女が自分の寝床へ戻っていくのを見送り、俺も深く息を吐いて横になった。
硬い地面と、遠くで聞こえる野獣の遠吠え。
それでも、今日は少しだけ穏やかな夢が見られる気がした。
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