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「これで終わりだ、僕の最高傑作!!」
勝利を確信したアルレッキーノが、ステッキの先端から最大出力の仕込み刃を繰り出し、亜留々の喉元へ一撃を叩き込もうとした——その瞬間。
「……ふふ」
窮地にあるはずの亜留々の唇から、鈴の鳴るような小さな笑い声が漏れた。
倒れ伏していた亜留々の唇から、小さな可笑しそうな笑みが漏れた。
「何が可笑しい……!?」
「忘れたの? 師匠」
亜留々は背後に回していた左手を、すっと前へと滑らせた。
その手に握られていたのは——スクランブル交差点で最初に出会った時、彼女が差していたあのカラフルな赤と黒のアーガイル模様(ひし形)の傘だった。
「あなたが私にくれたものよ」亜留々はアルレッキーノに残酷な笑顔を向ける。
亜留々は濡れた黒髪をかき上げながら、ゆっくりと立ち上がった。その手には——彼女の背中に隠されていた、もう一本の傘が握られていた。
「傘が……もう一本ある……!?」
矢吹が目を見開く。
そう、傘は最初から2本あったのだ。
喫茶店で持っていた「黒い傘」 そしてもう一本——
最初に出会った時に差していたそれは、アルレッキーノのジャケットと同じ「カラフルなひし形の黒と赤の模様」が施された傘。
亜留々がその傘をパサリと開いた瞬間、雨の渋谷の暗闇に、鮮烈で禍々しい光景が広がった。
「な……っ!?」
アルレッキーノが息をのんだ。
亜留々はカラフルで美しい傘を優雅に一回転させた。雨粒がひし形模様の上で弾け、まるで万華鏡のように妖しく輝く。
「あなたから教わったすべてと、それを超えた私のすべて……ここで引導を渡してあげるわ!」
「おのれぇぇっ!!」
狂乱したアルレッキーノが突進する。
だが、真の傘を開いた亜留々の動きは、先ほどまでとは別次元だった。
黒と赤のひし形模様の傘が防弾の盾となり、アルレッキーノのステッキの猛攻をことごとく無力化する。カン! カン! カン! と甲高い金属音が夜空にこだまする。
そして、アルレッキーノが体勢を崩した一瞬の隙を、亜留々は見逃さなかった。
「終わりよ、師匠」
亜留々は傘を固く閉じると、内側から、極細のワイヤーと隠し刃を一気に放った!
水流をまとった黒と赤の刃が、雨を切り裂いてアルレッキーノのステッキを木っ端微塵に砕き、彼の胸元を正確に貫いた。
ドッ……!
「ガあぁぁっ……!?」
鮮血が雨の中に舞い散る。
アルレッキーノは血を吐きながら、信じられないという目で自らの胸元と、亜留々が手にする黒と赤の傘を見つめた。
「……見事だ……僕の教えた真の姿……そして、それを超える強さ……」
「……まだそんな世迷い言を!」亜留々は吐き捨てるように言葉を吐いた。
大城が体勢を立て直し、マグナムの砲門をアルレッキーノの頭部へ向ける。
だが、アルレッキーノは狂気に満ちた笑みを浮かべたまま、懐から一つの黒い小型リモコンを取り出した。
「ゲームはこれで終わりじゃないよ。……真の『フィナーレ』の開幕だ」
アルレッキーノは狂ったような笑い声を上げた。




