第十九話 ヤーンの独白
その日の夜、雷の轟音と共に激しい嵐が吹き荒れた。
外は滝の様な雨が降っていた。
その瞬間、地響きと共に雷鳴が轟いた。
「キャー!」
リルシリスとリシリスは同時に悲鳴を上げた。
あらゆる物を打ち付ける猛烈な雨音に、その悲鳴は殆ど消し去られた。
しかし、その声をヤーンは僅かに聴き取る事が出来た。
皆、今までの人生のなかで、これ程までに激しい嵐を経験するのは、今夜が初めてだった。
リルシリスとリシリスは、土間にゴザを敷いた上に、二人で寄り添って蹲っていた。
ヤーンはダイニングテーブルの椅子に座っていた。
嵐や雷を怖がっている二人を見てヤーンは呆れていた。
ヤーン『泣き叫んだところで嵐は収まらん』
ヤーンはコップで水を飲みながら、先程のリシリスの言葉を思い出したりしていた。
『ヤーンさんって誰かお好きな方とかいらっしゃるんですか?』
ヤーン『俺が好きなのは君だけだ、それだけは未来永劫変わらない。頼む付き合ってくれ、必ず幸せにする。約束するよ』
ヤーン「言えない!そんな軽い気持ちで大好きなリシリスの心を踏み躙るなんて、俺には死んでも!…くっ」
雷鳴は繰り返し鳴り続けた。
その度にリルシリスとリシリスは悲鳴を上げていた。
リシリスを想うヤーンもまた、こぼれ落ちた涙の入ったコップの水を自棄になりながら、煽るように飲んでいた。




