第十五話 木の上の小部屋で
翌々日になると外は激しく雨が降っていた。
物凄い雨の轟音で、話し声は殆どかき消されてしまうのだった。
皆は各々横になったり、お茶を飲んだり寛いでいた。
しかし、一人不眠に陥っていたのがヤーンである。
ヤーンは家の隅の方で横向きに蹲り、睡魔と覚醒の境界で、得も言えぬ苦痛に耐え続けていた。
そして、頭の中では繰り返し同じ様な事を考えていた。
ヤーン『木の上の小部屋で二人の異性と一夜を、いや、二晩を共に過ごしてしまった…。だがしかし、今のところ奇跡的にも何事も致していないというこの精神力。正に神業、いや俺こそが正に善そのものなんだ!俺こそが正義だ!かっこいいぞ俺!…』
ヤーンは横になったまま、強く拳を握って涙を流している。
そんなヤーンの事を横目にリルシリスは、丸いちゃぶ台でお茶を飲みながら寛いでいた。
リルシリス『コイツが私の未来の相手って本当に?私だって元の世界の牧師様っていう好きな人がいるのに、なんでこんな奴な訳?…でもコイツが好きなのはリシリスなんだよね?でもリシリスは、この世界の牧師様の事が好きな訳で…』
リルシリスの横でリシリスは座って居眠りをしていた。
それぞれ違った想いを抱いている様だが。
外では雨が強く降っていた。
時々雷鳴も鳴っている。
ちゃぶ台の上の蝋燭に灯された火が、小さく揺れていた。




