第十四話 一途なヤーン
大樹の枝にあるリシリスの家の中に入るには、家の入り口の下に取り付けてある、縄ばしごを登らなければならない。
リシリス「これを登って中に入ります。じゃあ先ず私から行きますね」
リルシリス「待って!」
リルシリスは後ろにいるヤーンの方に振り向いた。
リルシリス「アンタ先に行って!」
ヤーン「なんで俺からなんだ?」
リルシリス「いいから早く!」
ヤーンは言われた通り縄ばしごを登って行く。
リシリス「どうしてヤーンさんからなんですか?」
リルシリス「下から覗かれるでしょ!」
リシリス「あっ!」
続いてリシリスとリルシリスも、順番に登って行く。
家の中は外から見るよりも、意外と広く感じられた。
リルシリス「良い家ね」
リシリス「何も有りませんが、一人で暮らすには丁度いいんです。お二人ともゆっくりしてて下さい。今、飲み物でもいれますね」
リシリスは奥の方で飲み物を用意している。
リルシリスとヤーンは家の中央のゴザの敷かれた所の上にある、大きめの丸いちゃぶ台を囲む様に座っていた。
ヤーンは何気にリシリスの居る方を見てしまう。
リルシリス「アンタってもしかして、案外一途な訳?」
ヤーン「俺も自分でこれ程までに真面目一徹だという確信は無かったが、今回正にそれを証明する事態に相成った様だ。俺の恋心がこれ程迄に、純粋で優しい物だなんて思いも寄らなかった…」
ヤーンは胸が張り裂けそうに苦しかった。
リルシリスはそんなヤーンを見ていて、少しだけ見直した。
リシリス「お茶が入りましたよ」
リシリスはマグカップが三つ乗っているトレイを両手で持って、二人の所にゆっくり戻って来た。




