第十一話 儚い片想い
リシリス「こちらです」
一行はリシリスが住む世界にある、街の教会に着いた。
入り口のドアは開いていたので、そのまま三人で入って行く。
リシリス「牧師様、いらっしゃいますか?」
牧師「こちらですよ」
牧師は聖壇の前に居た。
リシリス達はそこまで歩いて行く。
リシリス「こんにちは牧師様」
牧師「こんにちはリシリス。今日はどうされましたか?」
リシリス「こちらの旅人のリルシリスさんとヤーンさんが命の水を探しにいらっしゃったのですが、私には分からないので、牧師様にお尋ねしたくて参りました」
牧師「なるほど、命の水ですね?」
リルシリス「何かご存知ありませんか?」
牧師「勿論、知っています」
リルシリス「本当ですか!」
リシリス「やっぱり!」
その時ヤーンは、リシリスの牧師に対する表情を見て、リシリスが牧師に好意を寄せている事に気がついた。
ヤーンの片想いは儚くも崩れ去った。
ヤーン『俺の初めての恋心とは、こんなにも脆く、儚いものだったのか…自分の事が不憫で哀れに思えてきた、なんてザマなんだ…クソ!…』
そんな事など露知らず、牧師はリルシリスに、命の水の説明をする。
牧師「ですが、簡単には手に入りませんよ」
リルシリス「構いません、教えてください」
牧師は小さな咳払いをしてから、話を続ける。
牧師「命の水は草原にある大樹から取れる雨露です」
リルシリス「雨露?朝露じゃなくて?」
牧師「雨が上がった時に大樹に付いている水滴です。それが大樹の雨露、命の水です」
リルシリス「じゃあ雨が降るのを待たなければならないんですね?」
牧師「ですが、もう一つ大切な事をお伝えしなければなりません」
リシリス「もう一つ?」
牧師「命の水は、違う世界にある大樹の雨露しか、この世界では使えないのです」
リルシリスは元の世界の、リルシリスの基地を思い出した。
リルシリス「私とヤーンは違う世界から来たんです。その場合は、この世界の大樹の雨露を命の水として、元の世界で使えるという事ですか?」
牧師は優しい表情で頷く。
牧師「正しくその通りです」
リシリス「でも今は干ばつが続いていて、なかなか雨がふらないんです」
リルシリス「え、そうなの?」
牧師「ですが、いつかは降ると思いますよ。気長に待たれてはいかがですか?」
リシリス「それまで私の家に泊まって下さっても構いませんし」
リルシリス「え、いいの?」
リシリス「ヤーンさんもご一緒でも大丈夫ですよ」
リシリスの言葉も、皆の話し声も、ヤーンの耳には入っていなかった。
こうしてリルシリスとヤーンは、しばらくの間リシリスの家に泊まる事になった。




