おまけ回第5話、死ぬ直前のお話
おまけ回
そういえば、このゴミのような世界に来る前、俺は何をしていたのだろうか、思い出してみるとあの時はまだ日常だと思えていた今だと高嶺の花の生活だな。
「前回と同仕様でABS樹脂500kgをお願いします、納期は2026年8月31日以内でお願いします。」
「はい、色は前回と同仕様でお間違いないでしょうか?」
「はい、相違ございません。前回より数量が増加している点を除きまして、変更点はございません。」
「では代金として30万円のご送金をお願いいたします。」
よし、商談成功だな、まあ当然か、前回も商談してるし、なにより俺天才だし。
・・・商談が終わり戻るところ、新人の西山が話しかけてきた。
「す、凄いですね、あんな華麗に商談を・・・」
「あ、西山、ありがとう、でもお前も凄いぞ?なんてったってお前のお陰でお前の部署の成績が見違えるほど上がったんだ、お前も期待の新人って奴だな、俺の席の近くに来るときもそう長い時間じゃないのかもな、期待しているぞ、西山。」
まあ俺は最下位だった部署を最上位に持って行ったけどな。
「ッ、有難うございます、精進します。」
「おう、頑張れよ。」
新人はこの会社を支えるからな、やる気は出しておかないと。
「はあ、春夏冬、お前なあ。」
「あ、おはようございます、坂本常務、今回の商談も上手くいきました、送金の方はお願いします。」
「そっちじゃない、お前なあ、新人は褒めるがお前の所の近くだと現実を見せて、新人の心も考えてみたらどうなんだ?」
はあ、そのフレーズは社長の口からも聞いたよ。
「お言葉ですが、社員というのは甘やかすだけじゃ成長しないのです、アメとムチという物です、この会社を良くしていくには、時に優しく」
「あのなあ、お前なんて言われてるか何か分かっているのか?鬼の春夏冬さんなんて言われてるんだぞ?時に優しくといったがお前はただただ厳しいだけだ、ムチを振ってアメはあまり渡していない、これだと新人社員も育たないぞ?」
自分の考えは曲げない、それだけは譲れない。
「でも実際、自分が教育した新人はかなり上位の位についているでしょう?」
「だがな春夏冬、お前が教育した新人は他の奴らに比べ止めやすい、もう少し優しく出来ないのか?」
「そんな弱い精神力じゃこの世界やっていけないですよ?もう定時なので帰りますね。」
「はあ、分かった、お前の意思を尊重するよ。」
定時になった、さあ、帰るか、ついでに猫カフェにでも寄ろう。
「小説に出るキャラみたいなことしたら異世界に転生したりしてな、ハハハ。」
俺の口から独り言がこぼれ出た。
「心の中で自己紹介でもしてみるか。」
俺の名前は春夏冬 流星、二十五歳、独身だ。
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