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エルフ王は唯一むに! ~隠居して趣味で刀作りにハマったら、僕、いつのまにか創剣神と呼ばれてた?~  作者: 茉森 晶


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026話『惨劇のステージ』



「ルーラ! 応答しなさい!」



 光のドームに駆け寄り手のひらを触れると、なりふりかまわない大声で叫ぶハレッタ。


 その声は魔力に乗ってドーム内の空気を震わせ、響き渡った。



「敵に捕まってしまった……のでしょうか?」



 ガードゥナが冷静な口調で言う。


 が、ハレッタも取り乱しているわけではなかった。



防壁(バリア)の表面にはヒビひとつ入っていないのですよ。術者が生きているのは当然です」



 あらためて、職人の仕事をまじまじと見つめる。


 内部ではアンデッド共がひしめいているが、その外壁は見事なまでに美しい曲面と魔法コーティングを保っていた。



(注文通りの機能に仕上がってますね。悔しいですけど……このまま予定通り始めてしまいましょう。悔しいですけど)



 ハレッタは(ロッド)を構えると、ひとつ大きく深呼吸。



「ガードゥナ! わたくしの中へ!」


「仰せのままに……」



 ハレッタの身体を後ろから優しく包み込むように抱きしめるガードゥナ。


 そのまま溶け込むようにひとつとなったかと思えば、ハレッタの全身は輝き、碧白く輝く光の羽が背に現れた。



あの子(ルーラ)を信じると……決めたのですからね!」



 力強く羽ばたき、青空へ。


 騎士たちの多くが、思わずその姿に見とれていた。



「あのエルフ……なんて美しい姿だ。精霊魔法を使うだけでなく、融合して妖精そのもののような……」


僧侶の娘(ルーラ)と協力して、この大魔法を仕掛けているようだし……神託通り、神の使いなのかもしれんな」



 騎士たちの仕事はもう、漏れたアンデッド共を抑えるくらいしかなく、とにかくハレッタにすべてを託していた。


 そんな視線を感じながら、上空のハレッタはドームの全体を確認する。



「まったく……意地を張る人間も大変ですわね。まぁ、そんな姿も、ある意味美しいと思いましたよ」



 ドームの外周を1周するように飛行を開始。


 飛びながら、防壁(バリア)表面を規則的に(ロッド)でノックしていく。


 そのたび、各ポイントにエメラルドグリーンの魔法陣が貼り付けられ、それぞれがクルクルと回転を始める。



「ふう……こんなものでしょうか」



 無数の魔法陣で彩られたドームの頂点に降り立ったハレッタは、ひと息ついた。


 やはり体力不足は否めず、こうしてじっくり準備できるのはルーラの仕事あってこそ。



「ルーラ……言った通り、ちゃんと耳を塞いでなさいね?」



 (まぶた)を閉じ、足下に(ロッド)をかざすと、最後の魔法陣が浮き上がった。


 光翼を最大まで広げ、周囲の元素(エレメント)を自分の元へ呼び寄せる。


 ハレッタの魔力が膨れ上がっているのは、魔法専門でない騎士たちも肌で感じるほどになっていた。



「行きます…………【乱嵐千刃アンコントロール・サイス】!!」



 ハレッタの手のひらは魔法陣と接続(リンク)したように鮮やかな光で繋がり、一気に魔力がぶち込まれていく。


 キーになる魔法陣へ流れた魔力は周囲の各魔法陣に繋がっており、すべての子機が同時起動する。


 そのすべてから、風の鎌刃(れんじん)が連続乱射。


 ドーム内に撒き散らされ、アンデッド共を否応なしに切り刻み始めた。



「くっ……反射効率が良すぎ! ふふ……ほんっと、無駄に高性能ですね!」



 撃ち出される鎌刃は、防壁(バリア)を通過すると内側にコーティングされた魔法反射の術法により加速して撃ち出される。


 注文通りなのだが、あまりにも高効率な式が組まれていたため、ハレッタは自分の命力が持って行かれそうな気さえした。


 そして、飛び回った後ドーム内側の壁に当たった鎌刃は当然反射して危険度を上げる。


 動きが止まるのは地面に刺さったものだけだが、それはある意味、地にも反射板が敷き詰められる状態とも言える。



「ふ……ふふ…………んふふふふふふふふ……!」



 ハレッタは高揚していた。


 魔物(モンスター)とはいえ、人の姿をしたアンデッド群。


 決して、それを八つ裂きにすることを楽しむようなヤバい願望があるわけではない。


 元々暴走しやすい性質のハレッタ、大量の魔力を注ぎ込むことで酩酊状態になっていた。



「ふ…………あははははははははははははははは!! まだまだいっぱい出せますよっ! ほらほら……兄様、見てますかぁ~っ!?」



 ギャンギャンという魔法の刃の斬撃音。


 名状しがたい肉と骨が微塵切りになっていく光景。


 観客の目にも耳にも心地よいとは言えないカオスなハーモニー。


 その頂上で神々しく光翼を広げ指揮棒(タクト)を振るハレッタは――



「お、おい……なんか、その……」


「ああ……ちょっとヤバい……かな?」



 考えうる限り最悪の演目が繰り広げられる舞台(ステージ)を眺めながら、騎士たちは引きつった笑みを浮かべる。


 恩人としての働きは変わらないはずだが、先程まで『神の使い』だったのが一転、正反対の評価に傾きかけていた。


昨日(2026-0616)は、一日お休みしてしまい、すみませんでした。

能力不足でお恥ずかしいですが、アクションシーンをイイ感じに書こうと思っても、『面白そう』と『わかりやすい』を両立させるのは、やっぱりいつも難しいですね……。


更新ペースとしては、なかなか大変な見通しになってきましたが、

もう少し頑張ってあまり結果が出ないようなら、月水金に戻すことも考えようかと。

(この程度の文字数でヒーヒー言っててすみません)


応援よろしくお願いします!

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