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エルフ王は唯一むに! ~隠居して趣味で刀作りにハマったら、僕、いつのまにか創剣神と呼ばれてた?~  作者: 茉森 晶


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024話『役立たずですわ!』



     *          *



「僧侶班! 各自、入力を維持しつつ後退! もし門へ到達されても、慌てず対処すれば結界が破られることはない!」



 鼓舞するように指揮官が叫ぶが、戦況は目に見えてよくないものだった。


 アンデッド軍は人間たちを攻撃しつつ、目的である結界破壊を優先してジリジリとラインを上げてくる。


 指揮官の指示通り後退しながら、ルーラは迷っていた。



(どうしよう……私も攻撃を試すべき? 浄霊の術法なんて本物には使ったことないし、もし効かなかったら……)



 そもそも戦闘参加自体、後方支援くらいしか経験していないルーラは、いまだにブルブルと震えていた。


 昨日、オークの人質になったが、それもむしろ苦手意識を強めてしまっていた。



「大丈夫、怖がっちゃダメ。本当に危ない場面になったら……ザクト様が来てくれる!」



 そう自分に言い聞かせ、ゾンビ兵士の1体に一歩踏み出す。


 が――



「ひぃい……ッ!」



 視覚的な【死】そのものを感じ、全身が勝手に硬直してしまう。


 戦意喪失してしまったルーラに、ゾンビ兵士の手が伸びる。



「っ……ザクト様ぁッ!!」


「【昇気流(トルネード)】!!」



 ヒュゴウッ!!



 ルーラの呼び声を合図に、足下から小さな竜巻が発生。


 目の前の(ゾンビ)は上空へ巻き上げられ、戦線復帰できそうにない方向へ消えた。



「まったく……何をやってるんですか。人間の頑張り、見せてくれると思ったのですけど?」


「ハレッタ様! す、すみません……」



 軽やかに降り立ったハレッタの姿が、ルーラには天使のように見えた。



「防御魔法、得意なのでしょう? 私が攻撃を担当しますから、しっかり守ってもらいますよ」


「は、はい! あ、あの……?」



 ルーラは不思議そうな顔で、キョロキョロと()のエリアを確認する。


 が、今回は【ハレッタ参戦!!】の更新だけだった。



「兄様なら、正門へ向かいましたわ」


「えっ? そうなんですね? 北門(こちら)が終わってから行かれるものだと……」


正門(あっち)の状況がもっと悪いようですからね。あのジードって人が頼りないから……もう」



 ハレッタは頬をふくらませ、また1体近づいてきていた(ゾンビ)を今度は気弾で吹き飛ばす。


 吹っ飛んだゾンビは2・3体のスケルトンに激突し、ドンガラガッシャンと気持ちよく散らばった。



「ま、待ってください! 私は言わば、今回の依頼人。自分の命を懸けたからには……ザクト様をお守りしないと!」


「傲慢ですわね、ええ」


「えっ?」



 いまだ目を合わせず、ハレッタはルーラに強い口調でたしなめた。



「責任感、といえば聞こえはいいですが……あなたがそれを優先するということは、こちらの現場を見捨てるということですよ?」


「そ、それは……! 私ひとり居ても役に立たないですし、優先順位としては上級魔族の方が……」


「でしたら、兄様のところへ行っても、あなたは役立たずですわ! いいえ、足手まといで逆効果かもしれませんね?」


「あう…………っ」



 また1体、ハレッタの魔法が(スケルトン)を吹き飛ばす。


 その光景は、まるで敵兵士たちがハレッタに八つ当たりされているかのようにも見えた。



「もういいです。あなたは(バリア)の中にでも入ってなさい」



 ルーラに背を向けたハレッタは、足を肩幅ほどに開き(ロッド)を構えた。


 精霊魔法特有の元素(エレメント)が激しく共鳴する感覚に、周囲の空気がピリッと肌触りを変える。



「兄様は……エルフ王は、あなたを信頼して正門へ向かったのですよ。大事な(わたくし)を残しても、ルーラ(あなた)がいれば大丈夫だろう、と」


「ッ………!」


「わたくしが任されたのは、敵を倒し、この場の命を守ること。最初からひとりで十分でしたね。あとで頭ポンポンされるのは……わたくしですわ、ええ」



 ルーラの脚はまだ震えていたが、その顔はもう迷いなく、(ロッド)を握る手は力強さすら感じられた。



 バチン!



 もちもちほっぺを平手でサンドしたルーラは、今まで出したことのないような気合の入った声を絞り出す。



「ハレッタ様! 私がお守りします!!」


「……本当にやれるんですか? 足手まといはイヤですよ」


「大丈夫です! やらせてください!」



 ルーラは(ロッド)を両手で強く握り、法詞(フレーズ)を詠唱する。


 光の元素(エレメント)が編み込まれるように集結。


 ルーラの代名詞になっている亀の甲羅のような防壁(バリア)がハレッタの全身を包んだ。



「これなら……上級魔族の攻撃でもない限り大丈夫です。ちゃんと移動もできますし、透明度も上げてますので索敵もしやすいかと!」


「……まぁ、防御性能は信じていいのでしょうけど。『索敵しやすい』といっても、攻撃のたび解除しなければいけないでしょう?」


「大丈夫です! 通常の魔法防壁と同じように、使用者の魔法は通過するよう内側には別の法式で加工してあります!」


「え? 防御特化のこの性能で、そんな利便性を融合できるわけが……」


「できます! 私を信じてください!!」



 キラキラと曇りのないルーラの瞳に、ハレッタは思わず後ずさる。


 そして、訝しげな顔のまま、風の刃を手のひらに浮かべ、近づいてきた(スケルトン)に投げつけた。



 バシュンッ!



 ハレッタの魔法は勢いよく飛び、敵の頭は真っ二つになった。



(……っ! 利便性、どころじゃないですわ。魔法が通過する瞬間、外表面の術法が(それ)の性質に反応して……加速させ撃ち出した?)



「ど、どうでしょうか? 何か問題があれば改善しますが……」



 ふと、ルーラの顔を見つめていた自分に気づき、ハレッタはプイと顔を背ける。



(防御魔法専門とはいえ、底知れなさすぎて怖いですね。兄様が気になるのも納得……)



「問題ないですわ。これなら、効率よく……」



 言いかけて、ハレッタは何か思いついたような顔をした。



「ええ……そうですね。ルーラ、あなたこういうのはできますか?」


「え……?」


読んでくださってる皆様、ありがとうございます!

ブックマーク&★評価も日に日にいただけるようになって、

毎日更新でひーひー言いながらもヤル気マシマシでがんばっております。

余裕なくて、あとがきとか書けてなく……すみません!


あとは、このくらい余裕なくギリギリ更新するのは

なかなかないので、ミス(誤字だけじゃなく、設定・内容でも)が心配ですね。

何か気づいた点がありましたら、あたたかいご指摘お願いします!

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