021話『シャノンさん、御――意』
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決戦の朝。
ケイト王城は朝焼けに照らされ、まるで燃えているように見えた。
「では、打ち合わせ通り、ロックス隊と第一騎士団は正門へ。第二・第三は北門へ。くれぐれも『必ず敵軍が現れる』という想定で動くことを忘れぬように!」
総指揮官がそう締めると、騎士たちは胸に拳を当てガキンと鉄の声で応えた。
「さーて……んじゃ、北門へ向かいますか」
ザクトは身体の各部を伸ばしながら、大きなあくびを手で押さえる。
「ザクト様、あまり眠れませんでしたか? 気付け薬とか必要でしょうか」
「あはは、大丈夫だよ。なんだか気がはやって寝つけなかったけど、熟睡はできたと思う」
ルーラがザクトを気遣うのを横目に、居づらそうなハレッタは杖で石畳をコンコンとつつく。
「ハレちゃん? 絶対危ないことはしないようにね。ルーラの防御魔法に守ってもらって……」
「子供扱いしないでくださいったら! 念を押さずとも、兄様に心配かけるようなことはしませんわ」
目を合わせずむくれるハレッタに、ザクトは苦笑いしながらルーラに目くばせする。
「あっ、ザック! ハレッタ! おっはよー!」
ザクト達の前に、馬に乗った甲冑姿のユーティカがさわやか笑顔でやって来た。
「いやー、緊張するね。アタシ、ちゃんとした実戦は初めてみたいなもんで……」
「そうなの? ユーティカさん、正門って……第一騎士団なんだよね」
「ケイトは戦争とかなかったからね。魔物の討伐はそれなりにやってるし、今日はジードの補助だから大丈夫だと思うけど」
これから部活の対外試合にでも行くくらいの緊張感で、ユーティカは屈託なく笑う。
(この人、軽いノリだけど……『ジードから一本とった』とか言ってたよな。キャラで誤魔化されてるだけで、彼に次ぐくらいの若き天才剣士って感じなのか)
『人は見かけによらないもんだ』と、誰よりギャップだらけのはずのエルフ少年が思う。
一方、ハレッタは、そんなユーティカが印象通り危なっかしそうに見えていた。
「わたくし達は北門に回されて、助けてあげられませんからね。せいぜい死なないようにしてください」
「わ、ハレッタ、心配してくれるんだ? 嬉しいな~、ありがと!」
「心配ではありません! 化けて出られそうで、余計にめんどくさそうだからです!」
「だよね! 作戦が終わったら、また普通に生身でおしゃべりしてね!」
話が通じてるのか微妙なユーティカに、ハレッタは呆れて頭を振る。
「おいコラ! ユーティカ・アイズ!! 何してる? 早く来い!」
「あ……は、はーい!! じゃ、みんな、あとでね!」
ジードの怒声が響き、ユーティカは慌てて部隊に合流する。
それを見送りつつ、ザクトはシャノンにアイコンタクト。
しゃがんで顔の高さを合わせる彼女に耳打ちした。
「シャノン、単独で正門の方へ行ってくれるかな?」
「……御意に。加勢に入りますか?」
「いや……一応、約束だからね。気づかれないように監視して、どうしてもヤバいって時だけ命を守って」
「……まぁ、やってみます」
シャノンは相変わらず、ほとんど表情を変えない。
が、準備運動のつもりか、指をグニグニ動かしながらガニ股気味で脚の筋を伸ばす。
「3分だけ戦況を見て、連絡おねがい。もちろん……ほんとにダメそうなら、もっと早めでも」
ザクトはそう言って、腕のリングを見せるジェスチャー。
「御――意。んでは……」
本来、王に対してありえないような返事とともにシャノンは立ち上がる。
そして、耳飾りを指でピンと弾き、他人に聞かれないよう唇を手で隠し法詞を詠唱した。
ヴン――
耳飾りから魔法陣が浮き上がり、シャノンはそれを人差し指で引っかけ、皿回しのように頭上へ。
パッと見、まるで天使の輪のように頭の上で白い光を放つ。
「ザクト様、しつこいようですが……エルフ以外のことを優先しないようお願いしますよ」
「わかってるってば。最優先は自分とハレッタ、それからルーラかな」
シャノンは無表情ながら、どこか不満そうな色が混ざった顔。
だが、すぐに両手を頭上の魔法陣に添え、そのままグイッと広げた真円へ体をくぐらせた。
「えっ…………シャノンさん!? ま、魔法陣の中に飲み込まれちゃいましたよ!?」
シャノンの消失マジックに、ルーラは目を白黒させる。
「姿が視認できなくなっただけだよ。こっそり正門の方を見に行ってもらったんだ」
「そんな魔法もあるんですね……私、防御魔法以外は本当に疎くて」
『これ自体は、エルフの里で独自に開発した魔法なんだけどね』と思いつつ、ザクトは要らない解説を省いた。
FUNA先生のご紹介と、亜方逸樹のTwitter(X)漫画のお陰で、たくさんの人に来ていただけたみたいで……すでに感無量です!
亜方逸樹のTwitter(X)漫画はこちらで
https://x.com/akataizki/status/2064279687820673319
もちろん、これからが大事だと思いますが、これまでどうしてもPVが伸びなかったので、今の時点で成仏してしまいそうでダメですね笑。
とにかく多くの人に見てもらいたい気持ちでやっていたので、この機会に「キャラ好きになれそうだし、もうちょっと見てみよう」と思ってもらえるよう頑張りたいです。
現在【月・水・金】更新を考えていましたが、せっかくの機会をいただいたので、しばらく可能な限りで毎日更新してみようかと思います。
ストックがあるわけでもなく、夏コミの作業もあるので、正直どこまでやれるかわからないですが……応援してもらえたら嬉しいです!
……すぐにミッション失敗したら、ごめんなさい汗。
そうならないよう、気合い入れます!




