020話『恥じらいがないわけではなく』
「ハレッタ様、お兄様のことが本当に大好きなんですね」
「え? あ、そ、そうだね。僕の方が今まで過保護だったから……ちょっと育て方に問題あったかもなぁ」
「素直でいいと思いますよ。家族は仲いいのが一番です」
ニコニコ顔で言うルーラに、ザクトは照れ笑いしながら思う。
(ルーラは今、家族いないんだもんな。家族の元にも、記憶も、戻れればいいけど……)
「この件が片付いたらさ……ルーラの家族捜し、本格的に考えてみようか」
「え? な、何をおっしゃるんですか? 危険な任務をお願いしてる立場ですのに、私がそんな親切を受けるわけにはいきません!」
ブンブン首を振り恐縮するルーラに、少し笑ってしまう。
「まぁ、明日の仕事が終わってからの話…………へっくち!」
湯冷めしたわけではないが、ザクトは大きなくしゃみを爆発させる。
「まぁ、大変! ザクト様に風邪ひかせたら、私はメイド失格です」
「あはは……ま、大丈夫でしょ。あったかくして寝るよ」
「本当に……気をつけてくださいね。明日、どうかよろしくお願いします」
どことなく照れかくしのような笑みを続けるルーラが、ペコリとお辞儀して部屋を出て行く。
ちょっと久しぶりな自分ひとりだけの部屋の中。
大きく伸びをして、ザクトは今日の出来事を反芻する。
(新刀が生まれ、国を救う勇者だって言われ、妹に魔法で襲われ、ケイトの王様に会い、トドメが風呂でラッキースケベ……)
「いや、今日だけで情報量多すぎだって」
あえて考えないようにしているが、七神剣【神の紅炎】のこともある。
それについても、仕事が終わってからの話だった。
(しかし……刀鍛冶に没頭する時間も好きだけど、人と繋がってくこの感じを『嬉しい』と感じるなんて。僕、意外と人恋しかったのかな)
ハレッタに『カタナと添い遂げるのか』とイジられたことを思い出し、ザクトは自嘲気味に微笑んだ。
* *
「ハッ…………ここは……」
少しだけ時は戻り、ザクトが目覚めた頃、隣の部屋でハレッタも目覚めていた。
「ハレッタ様、大丈夫ですか? これ、何本に見えます?」
シャノンは指を何本だか立て、超高速で手を振った。
ハレッタは眉根を寄せ、目を凝らす。
「見えないですわ……」
「正常みたいですね。あ、お水どうぞ」
水の入ったコップを受け取り、ハレッタは短く溜息をついた。
「うう……わたくし、なんて恥ずかしいことを……。もう兄様と顔を合わせられない……」
のぼせて倒れたばかりだが、自分の行動を思い出し、ハレッタは真っ赤な顔を手で覆う。
『男性がいないエルフなので恥じらいがない』わけではなく、ハレッタなりに決死の覚悟でとった行動だった。
「種族の未来を想っての行動、ご立派でしたよ。見た目はアレですが、ザクト様も20歳。少々強引に意識させなければ、いつまでも趣味の鍛冶に明け暮れていそうですからね」
「でも……翌日戦いが控えている時にやることではありませんでしたわね。兄様の調子が狂ったらどうしよう……」
「神の指名ですし、ザクト様なら大丈夫だと思いますけどね。もちろん、私も命に代えて守りますが」
失ってはいけない【唯一のエルフ男子】のはずだが、今ひとつ危機感ないシャノンの受け答え。
エルフ特有の精神性もあるが、10年間、王として里を発展させてきたザクトへの信頼は揺るぎなかった。
コンコン――
ノックの音が響き、ルーラが部屋へ入ってくる。
「ルーラ、兄様は?」
「先ほど目覚められました。特に気分が悪いこともないようです」
「そう……それはよかった。けど……」
言いよどむハレッタを見て、ルーラはニッコリ笑って言う。
「ザクト様はハレッタ様のことが本当に大好きなんですね」
「なあッ!? 何? 何を言ってたの!?」
「いえ、とにかく気にしておられたので。常に妹想いでいらっしゃるんだろうなぁって」
「…………そ、そう」
とにかく、裸を見られたことが気になるハレッタ。
が、確認するわけにもいかず、もごもごと言葉を詰まらせる。
「あっ、見られたことでしたら大丈夫ですよ。ザクト様は『見てない』とおっしゃってましたし」
「何をバカ正直に信じてるんですか! いえ、それ以前に、わたくしは追加で自分から見せちゃってるんですよ!」
「いいじゃないですか。エルフは人間と違い、兄妹でも結婚していいことになるんでしょう? 健全ですよ!」
「あ、あ、あ、あなたは何でもかんでもツルツルと受け入れすぎですわ! ええっ!!」
明朝、国を滅ぼす上級魔族が襲来する。
とは到底思えない、わちゃわちゃなノリ。
現在、瞑想の真っ最中なジード・ロックスがこれを見れば、激怒していたことだろう。
このエルフ王の更新、あらためて頑張っていこう!
と気を引き締めた矢先、PCが不調になり……
そろそろ年数も経っていたので、新しいマシンを新調しました。
が、
「これがやりたくなくて先延ばしにしてたんだよなぁ……」
と、セットアップの大変さ&最新Windowsの機能デバフのひどさに
ストレスがマッハです笑。
そんな感じで、新環境に対応する時間とられたり、
書き溜めストックもなくなってきたのでドキドキですが……
なんとかこの困難を乗り切り、
『エルフ王は唯一むに!』
今週から【月・水・金】更新でがんばっていけたらと。
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