019話『エルフ王の明るい家族計画』
「ちょッ…………な、な、な、何を!」
「兄様がエルフ女子に興味なければ、種族の存亡に関わるのです。さぁ、何がダメなのか考えてください!」
突然の荒療治、ザクトは呆気にとられ固まっていた。
それはルーラも同じで、『信じられない』という顔のまま、無意識に自分の体を抑え込もうと腕に力が入る。
シャノンは相変わらずの無表情だったが、なんとなくワクワクしているようにも感じられる。
「『エルフ女子に興味ない』なんて言ってないよ!」
「じゃあ、わたくしの体を見て、興奮するんですね?」
「いや、エルフ云々じゃなく、ハレちゃんは妹だからね!?」
「『男性がいない種族』という環境で100年やっているエルフに、そんな人間の常識は通じませんわ!」
生まれて18年、エルフの生活しか知らないハレッタにとっては『何がいけないのか』という感じだった。
むしろ『絶滅の危機にそんなことを言っている場合なのか』くらいに思っていた。
「この際、ハッキリしてください! エルフ女子なのか、人間女子なのか……それとも、カタナと添い遂げるのか!」
「ちょ……スゴいカッコでスゴいこと言ってるよ!?」
瞼を閉じ、目に焼きついた映像を振り払おうとする。
が、振り払おうとすればするほど、イメージしてしまう。
(ハレちゃんってば……そんなに種族の未来を真剣に考えてたんだ? 僕がこの見た目だからか、他の女たちはみんな冷めた感じなのに……やっぱ一番若いからか)
『考えているのが自分だけじゃなかった』という嬉しさもあり、『妹にここまで言わせてしまって』という罪悪感もあり。
しかし、『子孫繁栄のプロジェクトはもっと先でよくない?』というのが本音なザクトだった。
「私のような一シノビが、エルフ王の明るい家族計画に口を出すのはおこがましいのですが……」
いまだ無表情は変わらないが、どこかフニャ気味のシャノンがボソッと喋り出す。
「男性がひとりしかいない現状……可能性はすべて保持しておくべきではないでしょうか」
「な、何? 可能性って?」
「100年ぶりの男性……妊娠確率どころか、神がエルフ同士の繁殖を許したのかも不明ですし。絶滅回避を優先するのなら、混血を含め、あらゆる可能性は押さえておくべきかと」
淡々と、感情など入らない持論を並べる。
が、確かに正論ではある。
「シャノンの言う通りですわ。これから兄様には、様々な女子に興味を持ってもらいましょう。どんどん他種族とふれあうため、旅に出るのもいいですね」
「本人の意思を無視したメチャクチャなスケジュールが組まれてる!!」
女性陣の方から一夫多妻制を推進され、一般的な男性には夢のような環境かもしれない。
が、今のザクトには戸惑いしかなかった。
(確かに『種族の未来』というテーマは、王として心の片隅にある。けど……やっぱまだ早いって!)
そんなザクトの手を握り、ハレッタは最後に告げる。
「兄様! それでも……第一王妃はエルフでお願いしますよ!」
「は…………はい……」
その返事を最後に、のぼせきったザクトは湯に沈んだ。
* *
「んっ…………あ?」
瞼を開くと、ザクトは客室のベッドに寝かされていた。
「あ、ザクト様、起きました? 大丈夫ですか?」
傍らで書き物をしていたルーラが、柔らかな笑顔で覗き込む。
「あれ……僕、風呂でのぼせて……」
「シャノン様が目にも止まらぬ速さで運んできたので、誰にも見られてないですよ。あっ、私も見てませんから……」
頬を赤く染めながら、冷やした手ぬぐいをザクトに手渡す。
「あはは……恥ずかしいところ見せちゃったな」
「いえいえ、予想外な出来事がたくさんありましたし」
最強おばちゃんにひん剥かれ、全裸で『エルフの明るい家族計画』討論会。
ほんのりしか進んでいなかったラブコメ成分が一足飛びに展開され、ザクトの脳は処理落ち気味だった。
「そういえば、ハレちゃんは?」
「あのあと、ハレッタ様も同じように倒れたんですよ。隣の部屋で休まれてます」
「そっか……あの子も無理してたんだな。まったく、思い詰めすぎだって」
そう言いながらも、ザクトは嬉しそうな顔でコップの水を飲み干す。
くっきりと脳裏に焼き付いてしまった細っこい身体については、できるだけ考えないようにして。
状況的にまだわからないですが、
『バズり女王なのに俺の声にだけフニャるひよの先輩』
の方を更新お休みして、こちら
『エルフ王は唯一むに!』
の更新にあてていけたら……と思っています。
とりあえず、スケジュールの都合で
今週から『フニャひよ』は休止となります。
『エルフ王』の方、楽しく頑張っていきますので、
ブックマーク&★評価よろしくお願いします!
『フニャひよ』の方もやりたいところなんですが、
夏コミの作業も色々あり、難しそうかなと。
あっちも楽しんでくださってた精鋭の方々には
申し訳ないですが、ご了承くださいませ。
また予定を立てて、のんびり更新していきたいです。




